台湾旅行記(高雄 / 岡山寿天宮)

高雄滞在最終日。この日は午前中に高雄近郊の岡山地区にある「岡山寿天宮」という寺院を見て、それから台湾高速鉄道で台北へ移動することにしている。

高雄には何度も来たことがあるので、変わった寺院についてはあらかた見たように思っていた。しかしながら、旅行前にインターネットでいろいろと調べていると岡山寿天宮に驚異的な姿をした神像が祀られていることがわかった。

この寺院のことをどうして今まで知らなかったのだろうという気がしたが、ともかくも新たなスポットを見つけることができたのは嬉しい。


朝9時にホテルをチェックアウト。このホテルも4絡みの部屋がない。今回の旅行まで、日本と同様に台湾でも4が忌み数字ということを知らなかった。

ホテルを出て、MRTで新左営駅へ移動。ここにコインロッカーがあることは事前に調べていたので、荷物を預けて身軽になった。ロッカーの料金は30元。

新左営駅から国鉄で岡山駅へ。台湾国鉄では、今回の旅行でも下車した「田中駅」が日本のしなの鉄道と姉妹駅の関係を結んでいるが、この岡山駅はJR西日本との提携みたいなことやっていないみたい。

ホームを歩いていると特急列車の自強号がやってきたので、停車中の写真を撮ってみた。

ここから岡山寿天宮までの距離は約1.6キロ。駅を出て、目的地のほうへ歩く。

途中、いくつかの案内表示があったので、特に迷わずにたどり着くことができた。

この岡山寿天宮は大きな公園の中にあり、その公園の入口に立っているのがこちらの鳥居。

日本統治時代、ここには「岡山神社」という神社があったそう。終戦後、神社自体は廃社となったが、この一帯は公園として整備されている。こちらの本型の石碑で、日本時代の風景などが紹介されていた。

公園入口の鳥居にしても、台湾は日本統治時代を決して否定しないところが嬉しい。

公園の中央に池があり、その向こうに寺院の建物が見える。

池の周りを歩いて、岡山寿天宮の前に到着。写真では見ていたが、しかし予想以上に大きな寺院だった。

では、寺院の中へ。

その前に、こちらの2体の狛犬を紹介。これらの狛犬は岡山神社時代のもの。

終戦からすでに80年近く経つというのに、かなり状態がきれいなことに驚く。今は岡山寿天宮に祀られている媽祖様を守っているのだろう。

寺院に入り、まずはこちらで参拝。

寺院の奥へ進むと「玉皇殿」という大きな本殿がある。目的の物件は、この建物の中。

中に入り、まずは中央の祭殿に参拝してから、その左にあるこちらの神像へ。

今回どうしても見たかった神像と対面。あまりにも素晴らしい姿に激しく感動。

その神像とは、ボルトとナットとワッシャーで作られた3体のメタル神像。

それぞれの姿を近くで見てみた。いやあ、これは本当にすごい!

なぜこういう神像が祀られているのかというと、この岡山という地区がネジの生産で有名な工業地帯だからだそう。

それにしても、いくらネジの生産で有名だからといって、こういう神像を作るという発想はなかなか出てこないと思う。考えた人は本当にすごい。

近くで見ると、ワッシャーの使い方が実に効果的でうまい。神像の衣装や帯が格好よく表現されている。

神像の眼球にはナットと鉄球が使われている。顔の曲率の表現も絶妙で、この辺りの設計もうまい。3D設計をやったことのある人なら、この感覚がわかるはず。

感動のあまり、しばらく立ちつくしてしまった。この姿は、工作好きの人にもぜひ見てほしいと思う。オブジェとしても、これほどの造形を見る機会は滅多にないはず。

メタル神像の姿に感動した後、玉皇殿の中を少し歩いてみた。どこを見ても金色と朱色の洪水。

天井の作りも豪華絢爛。

こちらには羅漢さんたちもいた。

羅漢さんといえば、眉毛が長い長眉羅漢さんを探さないわけにはいかない。その特徴的な姿は、こちらにいらっしゃいました。

こちらは、古来からの様々な親孝行の場面を描いたもの。ここではもちろん 乳姑不怠 の絵を探してみた。

日本人にはちょっとイメージできないかもしれないが、ここではこれも立派な親孝行のひとつ。

玉皇殿の外に出ると、大きなレリーフがあった。

人々の生活が生き生きと再現されている。来ているシャツのブランドが adidas と PUMA なのが何とも。

大きな壁画もあった。

寺院の一番奥には「福德祠」という祠があった。

さらに歩いていくと道路に出て、向かい側に「小虫の愛魚世界」という店があった。おそらく、観賞魚を扱っている店だと思う。

ここで引き返し、再び玉皇殿へ。

本当に、この姿は何度見てもすごい。こういう神像を見られるのは、間違いなく世界でここだけ。

かなり長時間にわたってメタル神像を眺めた後、名残惜しいがこれで岡山寿天宮を出ることにした。日本時代の狛犬にも挨拶し、寺院の外へ。

この岡山寿天宮には「メタル神像」「日本時代の狛犬」の他に「日本時代の神輿」が置かれていることを旅行後に知った。写真を確認してみると、玉皇殿の祭殿の横に小さく写っていた。
見逃したのは残念だが、メタル神像にはいつかまた再会したいので、そのときに見ることにする。

寺院の正面には、ここで祀られている媽祖様の像が作られていた。

媽祖は航海や漁業の守護神とされる女神。ただ、さすがにこの姿は「萌え化しすぎでは?」と思わなくもない。

まあ、媽祖様は台湾でもっとも親しまれている神様だそうなので、外国人がとやかく言うことでもない。

では、これで岡山寿天宮を後にして岡山駅へ。

ここは高雄でもあまり有名ではないスポットだと思うが、3体のメタル神像は一見の価値は十分ある。ぜひ多くの人に見てほしいし、私もいつかまた再訪したい。


岡山駅に戻り、パンと缶コーヒーを買って駅構内でしばらく休憩。

13時15分発の普通列車で新左営駅へ移動。前日に佛光山行きのバスに乗ったバス乗り場付近など、周囲を少し歩いてみた。

ここから台北へは台湾高速鉄道で移動。駅構内に戻り、15時発のチケットを購入した。指定席の料金は1,490元。

改札口を通る前に、こちらの店で台湾高速鉄道の名物といえる台鉄弁当を購入。

台湾高速鉄道には何度も乗ったことがあるが、この弁当を買ったのは今回が初めて。値段は100元。

では、弁当を持ってプラットホームへ移動。

入線してきた列車に乗車。

定刻に出発。早速、台鉄弁当を食べることにした。この内容で約400円は安いと思う。色どりもよく、台鉄名物なのも納得。

いろんな具材が乗っていて、味はどれもうまい。車窓を眺めながら弁当を食べるのも、旅行気分が盛り上がって楽しい。

台北までの所要時間は約2時間。台北到着後については、次のページで。