台湾旅行記(台北 / 関渡宮)

いよいよ台湾旅行の最終日になった。最後の目的地は台北郊外の関渡宮という寺院。ちょっと面白そうな地下通路がある寺院で、今回が初訪問になる。


朝7時半に起床。9時にチェックアウトし、午後まで荷物を預かってもらうことにしてホテルを出発。

台北駅からMRTの淡水行きに乗り、途中の関渡駅で下車。終点の淡水は観光地としても有名で、捜奇博物館や失恋博物館などのB級スポットも訪問したことがあるが、関渡駅で下りたのは初めて。

この関渡駅、なぜか駅舎がかなり立派。最初「モデルは国技館?」などと思ったりしたが、やはり関渡宮を模していると考えるのが普通だと思う。

駅を出て、地図を見ながら関渡宮のほうへ歩く。途中、Qバーガーというハンバーガー店があった。

2020年のアメリカ大統領選以降、Qという文字を見るとどうしても Qアノン を連想してしまう。この店、陰謀論界隈で「配る配る詐欺」が続いているうちに忘れられてしまった「Qフォン」が使えそう。

しかし X(旧Twitter)には「日本国民全員に無料で配られる」「すでに配達準備が完了して全国の郵便局に保管されている」などと本気で信じている人が大勢いて、陰謀論者たちの思考パターンは本当に面白かったなあ。

という話はともかく、駅から20分ほどで関渡宮に到着した。

門をくぐり、寺院内へ。まずは本堂に参拝。

ここは媽祖廟なので、祀られているのは媽祖様。つまり、前日に参拝した高雄の岡山寿天宮と同じ神様ということ。

岡山寿天宮の媽祖様は萌えキャラ化していたが、こちらの寺院では大人の女性風のイメージ。

と思ったのだが、こちらは隣接する「玉女宮」に祀られている玉女様の姿らしいことが後でわかった。

本堂の参拝を終え、周辺を歩いていると「財神洞」という表示があった。

今回この寺院へ来た最大の目的は、寺院内にある「財神洞」「古仏洞」という洞窟みたいな地下通路を見ること。旅行前、台北周辺の面白そうな寺院を探しているときにこの洞窟のことを知り、なんだか珍寺みたいな面白さを感じたので訪問してみた。

階段を下りると、赤く光っている煌びやかな空間があった。たくさんの赤い電球は「財神灯」という名前だそう。

こちらにも参拝して先へ進むと、2つの洞窟が並んでいるところに到着。

では、まずは財神洞の中へ。

公式サイトによる財神洞の説明は以下の通り。

財神洞は正殿の真後ろに位置し、1981年から掘削工事が始まり、2000年に洞内外の施工と装飾が完了し、現在は凌霄宝殿の1階が入口となっています。洞内に祀られている神明は天官と財神で、それぞれ「天官賜福」「文比財神」「季倫財神」「武明財神」「万山財神」となっています。財神洞の入口には一対の鳳凰と二頭の龍の石柱があり、洞内両脇には金箔の施された石彫が設置され、五路財神を引き立てています。

両側にいろんな神像やレリーフが並んでいて、それを見ながら先へ進む。ちょっと大げさかもしれないが、探検気分があってなんだか楽しい。

この方は武明財神だそう。

財神洞の終点には、大きな神像が並んでいた。

財神洞の出口は道路に面していて、道路を渡ったところから眺めるとこんな感じ。

財神洞を引き返し、続いて古佛洞へ。

公式サイトによる古佛洞の説明は以下の通り。

古仏洞の入口は凌霄宝殿の外に位置し、全長103メートルで1973~1976年に掘削と内部の施工、装飾工事を完了させています。主神は千手千眼観世音仏祖が祀られ、両脇には護法神の韋駄と伽藍が控え、さらに帝釋天・緊那羅等の二十八尊の天王が見られます。本殿の周囲には四大金剛を配置し、中央に千手千眼観世音菩薩を祀り、台湾では珍しい仏教石窟の造形となっています。

財神洞と同様、古佛洞にも神像とレリーフがずらり。財神洞よりも距離が長く、探検気分を味わえる。

財神洞と違うのは、神像が安置されているスペースが青く光っていること。おかげで神様たちの姿が写真映え。

こちらの神様は阿修羅王。3つの顔が特徴で、それぞれ幼少期、思春期、青年期を表しているそう。よく見ると表情が違っていて、笑みを浮かべている顔も。

古佛洞の終点には、主神の千手千眼観世音仏祖が祀られていた。

「佛済大千」ってどういう意味なんだろう。

古佛洞出口付近の風景。

財神洞と違って古佛洞の出口は2階にあり、テラスみたいな感じになっていた。そこからの眺め。

これで2つの洞窟を見たので、あとは寺院内をしばらく散策してから帰ろうと思ったのだが、実は関渡宮は予想以上に広かった。見どころも多く、予定以上に長く滞在することに。

関渡宮正殿横の階段を上がっていくと「廣渡寺」という寺院があった。

ここには阿弥陀仏、観世音菩薩、大勢至菩薩が祀られていたが、写真は撮っていない。

ところで、この寺院の額は「廣渡寺」と左から書かれている。こういう表示は全部右からと思っていたので、これは意外。ということは、先ほどの「佛済大千」も正しくは「千大済佛」なんだろうか。

さらに階段を上がっていくと「花燈展示第二館」という建物があった。

この建物の壁画がなかなか面白い。

この時点でB級スポット的な内容を予想してきたので、建物内の風景に期待が高まる。

ところが、入口まで来てみるとシャッターが閉まっていた。「関渡歴史走廊」ということは、この地方の歴史や風習が展示されていたんだろう。中に入れないのが残念。

ここが「花燈展示第二館」ということは第一館もあるはず。そう思って先へ歩いて行ったのだが、こちらはシャッターは開いているものの建物内はもぬけの殻。

この感じだと、展示館は2つとも廃館になってしまったのだろう。どんな展示内容だったのか、知ることができないのが残念。

気を取り直して、さらに階段を上がってみる。

こちらは「薬師仏祖殿」に祀られていた薬師瑠璃仏の姿。赤い光明灯に照らされた金色の姿が見事。

薬師仏祖殿には十八羅漢もずらりと並んでいた。

というわけで、十八羅漢といえばもちろんこの方を探さないわけにはいかない。眉毛が異常に長い長眉羅漢さん。

薬師仏祖殿を出ると、その先は霊山公園という庭園になっていた。

公園内をしばらく散策。

丘の上にあるので、ここからの眺めはきれい。淡水河という川が一望できる。

ただ、ちょっと気になったのがこちらの煙。先ほど古佛洞出口のテラスから眺めたときは、こういう煙は見えなかったはず。もしかして火事が起きているんだろうか。

煙は気になったが、しかし考えても正体はわからないので、ときどき座って休憩しながら公園内を散策。景色がいいので気分がいい。

上がってきたときとは別の階段を下りていくと「出口」と大きく書かれた建物があった。ここは、先ほどシャッターが閉まっていた「花燈展示第二館」と同じ建物。入口からは入れなかったが、出口からは中を覗くことができた。

花燈展示第二館の中は、この通りほぼ物置と化していた。あの白い首は何だろうと思ったが、顔が3つあることから製作途中の阿修羅像なのかもしれない。

はたして、ここが何か形を変えて公開されることはあるだろうか。次回、関渡宮へ来る際に確認してみたい。

寺院の建物が並んでいるエリアに戻り、太歳殿に入ってみると「干豆媽文化館」という展示室があった。

入ってみたかったが、案内書きを見ると開館時間は土曜と日曜の午前9時半~11時半と午後2時半~4時半のみ。この日は火曜日なので、中には入れず。残念だが仕方がない。

代わりに、YouTube に動画があったので載せておく。

干豆媽文化館には入れなかったが、この太歳殿は赤色の太歳灯が見事。空間内が赤一色で、写真を撮ると真っ赤になってしまう。

続いて太歳殿の隣にある凌霄宝殿に入り、三官大帝に参拝。

歩き疲れてきたので、この店で金酥餅(20元)、好彩頭(25元)、銭餅(25元)を買って休憩。

休憩後、古仏洞と財神洞を再び歩いてみた。ちょっとした探検気分を味わえるので、この2つの洞窟は本当に面白い。

しかし古仏洞の出口から眺めてみても、あの煙は本当に火事に見える。このとき何が起きていたんだろう。

財神洞の出口からは道路に出られるので、ここから関渡宮に沿って道路を歩いてみた。

道路に面して関渡黄帝神宮という小さな寺院があった。こちらにも参拝。

関渡玉女宮という門があったので、こちらの階段を上がってみる。

階段の先にあった玉女宮にも参拝。

この玉女宮は関渡宮に隣接しているものの別の寺院だそうで、祀られているのは玉女様。子供のころから関渡宮に参拝していた女性で、強い神通力を持ち、干ばつが起きたとき雨乞いをしたら雨が降ってきたという伝説があるとか。

玉女宮から関渡宮のエリアに入ることもできるが、この付近は階段が入り組んでいてダンジョンみたいな感じ。先ほどの2つの洞窟に続いて、ちょっとした探検気分を味わうことができた。

関渡宮に戻り、これで周辺を一通り見たので関渡駅へ戻ることにした。

今回が初訪問だった関渡宮だがメインの目的だった「財神洞」「古仏洞」の2つの地下通路以外にも見どころは多いし、ダンジョンみたいな探検気分を味わえるエリアもあるし、なかなか楽しかった。台北で半日ほど時間があるときなどはおすすめ。


関渡駅からMRTで台北駅へ。ゲストハウスに立ち寄って荷物を受け取り、台湾国鉄の台北駅へ。ここから普通列車で桃園駅へ移動した。桃園駅前から、706番のバスで空港へ。

台北駅から空港へはMRTでも行けるし直行バスもあるのだが、あえてこのルートを選んだのは値段が安いのと国鉄の列車に乗ってみたかったから。

料金は台北~桃園が38元で桃園駅~空港が44元。MRTだと150元なので、約半額で移動できる。もちろん時間はかかり、このときは乗り継ぎ時間を含めて1時間半ほどかかった。

空港でチェックインを行い、台湾を出国してラウンジへ。プライオリティパスが使えるのは、こちらのプラザ・プレミアム・ラウンジ。

プライオリティパスを持っていると、空港での食事が無料になるのが助かる。魯肉飯、うどん、豆腐スイーツなど、どれもおいしい。

午後4時半、台北を出発。7時50分に福岡空港に到着した。約4年ぶりの海外となる台湾旅行は、これで終了。それにしても、本当に見どころ盛り沢山の旅行だった。やはり台湾は面白い。


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