国内旅行編(大阪 / 石切劔箭神社)

個人的に、あまり行く機会のない関西方面への旅行。主な目的としている珍寺の他、いかにも大阪らしい風景を見るのも楽しみ。


伊丹空港に到着し、バスで大阪駅へ。地下鉄と近鉄奈良線を乗り継いで石切駅で下車。ここが今回の大阪旅行最初の目的地「石切劔箭神社」参道の最寄り駅になる。

ここは、神社本体よりも参道のほうが濃いという特徴を聞いていた。そこで、どんな雰囲気なのか楽しみにしながら訪問したのだが、予想とはちょっと様子が違っていた。

石切大佛

駅から神社のほうへ歩いていくと「石切大佛」という表示が見えたので、まずはこちらへ。こういう大仏があるとは知らなかった。

それほど大きな大仏ではないものの、姿は立派。後で調べたところ像高6メートル、台座を合わせて8メートルの阿弥陀如来だそう。

大仏の周囲に黒御影石の石碑が乱立しているところは、若干B級スポット的な感じがしなくもない。「土地時価約壱億圓」「個人寄付」なんていうのも、いかにも成金が好きそうな言葉。

刻まれている「日本で三番目」というのがどういう意味かと思ったら、建立当時(1980年)日本で三番目の大きさだったということらしい。しかしこの大きさで三番目だったというのは本当だろうか。

もっとも、日本で大仏といえば「奈良」「鎌倉」はすぐに思いついても、3番目はどこかわからない人が多いはず。それを利用して「日本で3番目の大仏」を名乗っているところは日本各地にあるそうなので、ここもそのひとつかもしれない。

この大仏を建立した阪本昌胤という人の像もあった。阪本漢方製薬の4代目当主だそう。

では、このくらいで石切大佛を後にして、参道のほうへ向かうことにした。

石切劔箭神社

ところで、なぜ今回この神社へ来たのかというと、別冊宝島378・全国お宝スポット魔境めぐり という書籍で紹介されていたのを読んだため。1998年刊行という古い本で、関連する部分を以下に引用しておく。

ここは神社自体よりもそこに至るまでの参道がすごい。
(中略)
神社までの長い下り坂、その両側にはいろんな店が占い屋と漢方薬屋を中心として並んでいる。「ひふかゆいひとご相談ください」「あらゆる黒焼きを取り揃えております」「最新式コンピューターで御先祖の肖像画描きます」…。
驚愕のコピーが次から次へと現れる。中でも異様な人体模型とシュールなイラストで人目を引く漢方薬屋(店内には「あほう / かべつち食べる子、薬あります」の紙が!)や、参道内にチェーン化する占い屋などはかなり素晴らしい。

出典:別冊宝島378「全国お宝スポット魔境めぐり!」宝島社、1998年

この記述を読んで行ってみたくなったのだが、2010年になってようやく実現することができた。

というわけで、どんな不思議な風景が広がっているのかと思って参道へ入ってみた。しかし…

占い店はところどころにあるものの、取り立てて変わった商店街という感じはしない。その占い店も閉まっている店が目立つ。3連休の初日だから、店休日というわけではないと思うが。

開いている占い店を見ても、いたって健全な感じ。占いの内容を見ても、特に「驚愕のコピー」ということはなさそう。

参道を歩いていても「驚愕のコピー」は現れないし、「異様な人体模型とシュールなイラストで人目を引く漢方薬屋」らしい店も見当たらない。釈然としない気持ちのまま、参道の端まで来てしまった。

もしかして場所を間違えたかと思ったが、旅行後に調べてみたところ(おそらく2000年代前半に)雰囲気が大きく変わってしまったということらしい。以下のサイトでは、参道が濃い時代に訪問したことのある人が「夢でも見ていたんだろうか」と感想を語られている。

上述の漢方薬屋(高木薬房という名前だったそう)については、2000年ごろに店主が死去し、2001年には解体されてしまったらしい。まだ存命時の貴重な風景が以下のサイトに載っているので参照してほしい。

しかし店主渾身の作品だったらしい人体模型と「かべつちをたべる」は見てみたかったなあ。残念。


すっかり健全な雰囲気になった参道を不思議に思いながら、ともかくも神社に参拝。こちらが本殿の前にある絵馬殿。

絵馬殿をくぐって本殿に参拝。なぜか本殿の写真を撮っていないので、姿を見たい人はネットで検索してほしい。

この神社には「上之宮」という奥の院がある。歩いて15分ほどの距離で、続いてそちらへ行ってみた。

石段を上がり、奥の院に参拝。先ほどの本殿よりは人が少なく、ひっそりとしている。

こちらは御礼池。立札には「満願成就の喜びを御礼亀と共に何時までも御神徳に感謝しましょう」と書かれていた。

この池を埋め尽くしているのが、その御礼亀。この亀は先ほどの本殿がある上之社で買い求めるそうで、用意していなかったので奉納は断念。

この後、再び神社と参道周辺を散策。明るい雰囲気の参道に戸惑ったものの、ともかくも来てみてよかったと思う。ただ、できれば「駅から神社までたどり着くのに2時間はかかる」と言われるほど怪しげな店が並んでいた当時、ここを訪れてみたかった。


大阪での宿泊先は、おなじみの楽天トラベルで予約しておいた。場所は地下鉄の動物園前駅近くで、宿泊料金は2,500円(2010年当時の料金)。

住所でいえば大阪市西成区。これで、宿泊したのがどういうホテルかわかると思う。部屋はこんな感じで、広さは3畳。こういうホテルに泊まるのは2007年に飛鳥坐神社おんだ祭を見に行った時以来。

布団を敷くとほとんどスペースがなくなってしまうが、テレビと冷蔵庫はある。テレビは必ずイヤフォンを使って見るようにと書かれていて、これは壁が薄くて隣の部屋の音がよく聞こえるため。

まあ、寝るだけならこれで十分。西成のホテルは外国人旅行者に人気になりつつあるという話を聞いていて、実際に外国人は何人も見かけた。西成といえば治安を心配する人もいると思うが、今後はバックパッカーの街に変わっていくのかも。

道頓堀

夜は、せっかくなので大阪らしい風景を見るために道頓堀へ行ってみた。ここへ来るのは、実は初めて。

まさに「ザ・大阪」という風景。大阪にはあまり来る機会がないので、こういう定番の風景も感動する。

こちらの人物との初対面では、家族連れの記念撮影に便乗して写真を撮ってみた。

もちろん、こちらの定番の風景も。

散策の途中、土産物店で買ってみたのが「たこ焼風ラムネ」。ラベルに書かれているのは「ソース風味」「たこ焼は入ってまへんで」。味はどうかというと、まあ飲めなくはないかも。

しかし「被害者の会」が結成されるほどまずいというのが世の中一般の評価らしい。ネタとしては面白いので、見かけたら買ってみて。

しばらく散策。しかし、すごい人込み。

夕食後、ホテルに戻った。超定番の大阪の風景を楽しめたので満足。

(2010.3.20)