ジョージア旅行記(ズグディディ~トビリシ)

ジョージア西部の滞在を終え、この日で首都トビリシへ戻ることになる。アブハジア潜入が主目的だったが、ジョージア西部のクタイシとズグディディもかなり雰囲気のいい町だった。

ただ、ジョージア西部にはスワネティ地方という魅力的な観光地がある。今回はアブハジアを優先したため行くことができなかったが、次回ジョージアを旅行する際はぜひとも訪れてみたい。


朝7時半に起床。前日までの晴天とは一転して、この日は小雨だった。ちょっと離れたところにあるバスターミナルまで歩く必要はあるものの、アブハジア滞在中にこういう天気にならなかったのは幸運だったと思えた。

朝食後、8時半にチェックアウトして雨をよけながらバスターミナルへ。

途中、ちょっと驚いた景色がこちら。ここだけでなく、倒れている ATM が他にもいくつかあった。もしかして夜中に暴動でも起きたのかと思ったが、さすがにそれはないはず。いくら天候が荒れていたとしても ATM が倒れたりはしないはずで、今でも原因はわからずにいる。

途中にあったマーケットを歩いてみたい気もするが、諦めてバスターミナルへ急ぐ。

20分ほど歩いてバスターミナルに到着した。トビリシ行きのマルシュルートカはすぐに見つかり、乗り込んで出発を待つ。マルシュルートカは「満員になったら出発する」というシステムだが、さすがに首都行きなので乗客は集まってくる。

25分ほど待ったところで出発した。料金は15ラリ。わりと大型の車なので、車内は快適。

ただ、天候が小雨なのであまり景色は見えない。ズグディディから約3時間、次第に雨がやんできたころドライブインみたいなところで休憩があった。トイレに行き、犬を見ながらしばらく散策。

20分ほどの休憩時間の後、トビリシへ向けて出発。途中「5+1」という文字が書かれた店がいくつも並んでいる地域があった。ここでは「5個買ったら1個おまけ」というのが一般的なんだろうか。

ふと、魔夜峰央の漫画で「1本1ドルで、1ダース買うと1本おまけになります」「じゃあ1ダースもらう」「13ドルです」「えげつない商売してるな」という会話があったのを思い出した。だから何というわけではないが、これらの店も6個買ったら6個分の値段だったりしたら笑える。

車窓に現れる古そうな教会を見ながら東へ向かう。

天気は次第に回復し、晴れ間が見えてきた。景色が雄大なので気分がいい。

休憩地点から約2時間、ズグディディから5時間半かかってトビリシに到着した。長い移動だったが、車内は快適だし景色もきれいなので特に疲れなかった。

4日前にトビリシからクタイシへ移動したときはディドゥベ・バスターミナル出発だったので、このときも ディドゥベ に着くものと考えていたが、到着したのはトビリシ駅裏のターミナル。こちらの方が旧市街に近いので、これは助かる。ターミナルから駅の線路を見下ろした風景がこちら。

今回は残念ながらジョージアで鉄道に乗る機会はないが、次回ここへ来るときは列車でズグディディへ移動してスワネティ地方を旅行してみたい。

駅裏からターミナルビルに入り、エスカレーターで下りていくとトビリシ駅の正面に出た。

ここから地下鉄で旧市街へ向かう。M のマークが地下鉄駅。

地下鉄でアヴラバリ駅へ移動(0.5ラリ)。地上に出て、予約してあるホテルへ向かう。4日前は Four Brothers というホテルに宿泊したが、この日は違うホテル。なぜホテルを変えてあるのかというと、いろんなホテルに泊まってみたかったから。

ムトゥクヴァリ川を渡り、遠くに見えるナリカラ城塞を眺めながら歩く。

急な坂を上がったところに、予約していた Greeting Hotel があった。Four Brothers ホテルよりもグレードが高く、宿泊料金は212.5ラリ。

チェックインし、部屋に入るとこの広さ。もちろん快適極まりない。こういうところを泊まり歩いていると、もう安宿には戻れないような気持ちになりそう。

部屋からの眺め。大きく目立っているのがアルメニア教会の Surb Gevorg(英語名は St. George)Cathedral で、教会の屋根と上空を行き来しているロープウェイのゴンドラとの対比が面白い。

部屋で30分ほど休憩し、外出してトビリシ市街を歩いてみた。5日前にトビリシを観光したときはメテヒ教会とナリカラ城塞が中心だったので、この日は旧市街から新市街の方へ行ってみることにした。

路地の間から「ジョージアの母」像が見える。実写版マグマ大使。

小さな公園にあった街灯が、なんだか「キノコの山」みたいに見える。

こういう重厚な建物って、まさにヨーロッパという感じがする。コーカサス地方がヨーロッパなのかと思う人もいると思うが、一般的に北コーカサスはヨーロッパに区分されるらしい。

旧市街と新市街を分ける境界線になっているのがバラタシュヴィリ通りで、そこにタヴィスプレバ(自由)広場がある。金色の像は聖ゲオルギオスのドラゴン征伐の場面だそうで、馬が踏みつけているのがドラゴン。

近くにあったダンキンドーナツで遅めの昼食にして、広場からルスタヴェリ通りに沿って歩く。新市街でもっとも大きな通りで、この通りに面して旧国会議事堂の建物があった。ジョージア国旗の他にEUの旗も掲げられているが、ロシアの妨害にめげずにEUに加盟できる日は来るだろうか。

トビリシの地図を見ると、新市街を見下ろす Mtatsminda という標高727mの山までケーブルカーが伸びている。展望所があるということなので、乗り場の方へ歩いてみた。

石畳の急な坂道を上って行ったところに乗り場があったが、写真からわかる通り長い行列ができていた。かなり時間がかかりそうな感じで、これを見てケーブルカーは諦めることにした。トビリシの旧市街は5日前にナリカラ城塞から眺めたので、それで満足しておく。

ここからは、石畳の坂道をゆっくりと歩いてルスタヴェリ通りへ。この石畳の道も、かなり雰囲気がいいので歩いていると楽しい。

新市街から旧市街の方へ歩き、ムトゥクヴァリ川を渡って対岸へ。歩行者専用の橋は、かなり斬新なデザインになっていた。

橋の上から眺めたムトゥクヴァリ川。

川を眺めていると、小さな遊覧船が行き来しているのが見える。できれば乗ってみたいと思い、川沿いを歩いてみた。

遊覧船の乗り場については、探すまでもなく客引きの女性が声をかけてきた。特にチケット売り場があるわけでもなくプラスチックのテーブルと椅子が置いていあるところに案内され、料金の30ラリを払ってボートが到着するのを待つことになった。セルフサービスのインスタントコーヒーを飲みながら、しばらく待機。

こちらが遊覧船の乗り場。

午後6時半過ぎに出発。川の水はそんなにきれいではないものの、風が涼しいので気分がいい。

最初は川の流れに沿って、先ほど渡ってきた歩行者用の橋の方へ進む。

それにしても、なかなかのデザインだと思う。もしかしたら、誰か有名なデザイナーが設計したんだろうか(丹下とか黒川とかザハとか)。

橋の下をくぐると、ロープウェイのゴンドラとメテヒ教会が見えてきた。古いものと新しいものの対比が面白い。

続いて、地下鉄駅からホテルまで歩いたときに渡った橋の下をくぐる。斬新なデザインの歩行者専用橋と対照的に、こちらは重厚な印象。

この橋をくぐると、メテヒ教会の横を航行する。

メテヒ教会付近から下流側の眺め。

崖の上に建物が並んでいるが、崖の途中に開いている穴は何だろう。地上とつながっていて、川沿いに下りられるようになっているんだろうか。

このあたりでUターンして、元の方へ戻ることになった。

丘の上にナリカラ城塞が見える。5日前はあの辺りを歩き回っていた。

再びメテヒ教会の横を通る。川の上からでないと、この角度で騎馬像を見上げることはできない。夕陽を浴びた教会と騎馬像の眺めがきれい。

停泊している他のクルーズ船も見えたが、ここには日本の国旗も描かれていた。ちょっと嬉しい。

ちょうど30分のクルーズを終え、元の船着き場に戻ってきた。小型ボートによるミニクルーズだが、しかし楽しかった。トビリシ滞在中は、このクルーズには乗ってみてほしい。かなりおすすめ。

スタッフに挨拶して船着き場を離れ、旧市街を歩いていると露店で棒状の菓子がたくさん売られていた。これはアーモンドやクルミなどのナッツ類を糸で数珠状につなぎ、それを小麦粉またはトウモロコシ粉とグレープジュースに何度も浸して作られたもの。この菓子を最初に見たのは2001年のキプロス旅行のときで、個人的にこれを見ると当時のことを思い出して懐かしい。あれから20年近く経つのか。

キプロスでは「シュシュコ」という名前だったが、ジョージアではこの菓子は「チュルチヘラ」と呼ばれている。元々はジョージア発祥の菓子だそう。

食感は柔らかいゴムのような感じでほんのり甘く、固いナッツとの食感の違いを楽しめる。ジョージアの他にキプロス、ギリシャ、トルコなどでも広まっている菓子で、安いものなので見かけたら買ってみてほしい。

まだ開いていた両替所で100ドルを両替して269.2ラリを入手し、ワインの専門店でジョージアワインを1本購入した(75ラリ)。その後、8時過ぎに Friend’s House という旧市街のレストランで夕食。

注文したのはジョージア郷土料理のスープハルチョーとチキンタバカ。スープハルチョーは牛肉と米を煮込んだもので、スープというよりシチューやリゾットという感じ。味は濃厚でうまい。チキンタバカは鶏肉を鉄板で焼いたもの。トビリシに宿泊するのはこの日が最後なので、ちょっと贅沢してみた。

上記2品にビールと食後のコーヒーを合わせて値段は46.6ラリ。私が酒を飲むのは旅行中くらい。

大賑わいの旧市街で、最高の食事を楽しむことができた。

夕食後、しばらく散策してから夜10時前にホテルに戻った。ホテルから外を眺めると、あちこちがライトアップされていてきれい。この日は旧市街の真ん中にあるホテルに宿泊しておいてよかった。

遠くに見えるメテヒ教会もライトアップされていた。

翌日はジョージア北部にあるカズベギ地方へ行くことにしている。この日は1時過ぎに就寝。