バルト諸国旅行記(7日目)

(1999.7.9) Riga

朝8時頃起床し、ホテルのレストランで朝食。この日は1日中リガ市内にいて、旧市街といくつかの博物館を見ることにしていた。また、この日に泊まるホテルについては、”Riga In Your Pocket” に載っていた空港近くの唯一のホテル “Latavio” を前日にホテルの部屋から電話で予約しておいた。これは、明日のモスクワ行きの飛行機の出発時間が早く、空港近くに確実に泊まりたかったから。

9時頃、ホテルをチェックアウトしていったんリガ駅へ。ここの地下に手荷物預り場があるのを2日前に確認していたので、ここでバッグを預け、身軽になった。

最初に、ぜひ見てみたいと思っていた「占領博物館」へ。旧市街の外れにあり、入場料は無料。内容は、第2次世界大戦中のドイツによる占領、ソ連時代のスターリンによる粛清などが中心で、当時の新聞記事や出版物、捕虜からの手紙や遺品などが多数展示されている。来館者はわりと多いが、館内は重い雰囲気になっている。

バルト3国のように海や山で他国と隔てられていない国の場合、容易に外国に行くことができるが、敵も簡単に入ってきてしまう。その点で日本は恵まれていると思うが、バルトと同様に他国と接しながら独立を通したタイはすごい。

館内には、シベリア送りになった人の住居が再現されていた。2段ベッドがいくつもある粗末な木造住居内にストーブが1個だけで、言うまでもないが寒くてかなわないだろう。すっかり暗い気分になって、占領博物館を出た。

次に、旧市街の外にある「薬学史博物館」へ行ってみたが、改装中ということで残念ながら閉まっていた。落胆して外へ出ると、隣にビール博物館があったので入ってみた。しかし、こちらはたいした内容はなく、すぐに外へ出た。

旧市街に戻り、今度は聖ペテロ教会に入ってみた。入り口でドアを開けてくれる老婦人がいて、礼を言って中に入ったのだが、よく見たら小銭を入れる箱を持っていた。つまり、このドアを開けてやることによって、小銭をもらっているわけである。気づくのが遅く小銭を渡すことができなかったので、帰りに渡すことにした。

礼拝堂はかなり広く、大きなパイプオルガンが目を引く。一通り見た後、エレベーターに乗って尖塔に登ってみた。

リガ旧市街(聖ペテロ教会の尖塔からの眺め)
リガ旧市街(聖ペテロ教会の尖塔からの眺め)
リガ旧市街(聖ペテロ教会の尖塔からの眺め)

ここからは、360度にわたって地平線を見ることができるが、リガ市街地以外は緑に覆われているように見える。なかなか日本では見られない景色だと思う。

エレベーターで下へ降り、礼拝堂内を歩いていたところ、パイプオルガンの演奏についてのポスターが掲示してあった。それによると、本日の夜7時から、演奏が行われるようである。聴いてみたいのだが、7時にホテルに着くと連絡してあるので、残念ながら聴くことはできないようである。まあ、再びここへ来ることはあるだろうから(多分)、そのときに聴くことにする。

教会から出ようとすると、待ち構えていたように数人が外からドアを開けてくれた。その人たちに小銭を渡し、外へ出た。このように、エストニア、ラトビアでは何とかして小銭を稼ごうとする老人たちを多く見かけた。街角でアコーディオンやバイオリンを弾いて小銭を集めている人もいれば、手のひらを上に向けて腕を前に出し、じっと立っている人もいる。ソ連から独立して自由社会になったのはいいが、それによって貧富の差が拡大し、年金生活者などはかなり苦しいことになっているようである。「物価が安くていいな」と思いながら気ままに旅している私のような人間が、すごく恵まれた存在に思えてくる(実際にそうなのだが)。

旧市街を歩き回っていたらインターネットカフェがあったので、入ってみた。ここで、紅茶を飲みながら日本の知人宛のメールを何通か送った。(日本へ帰ってから、世界の窓 というホームページでこのインターネットカフェのライブカメラを見つけた。このとき、私はそのカメラに映っていたわけである)

その後も旧市街を歩き回り、CD店でラトビアのCDを買ったり、帰国してから配る土産をデパートで買い込んだりしてすごした。CDはラトビアのフォークを買ったのだが、かなり暗かった。


やがて夕方になったので、”Sena Riga” レストランで夕食後、ホテルへ向かうことにした。リガ駅で荷物を受け取り、駅前から空港行きのバスに乗って約20分でリガ空港に到着。ターミナルビルの周囲に建物がいくつかあるだけの、ローカルな空港である。まずホテルを探すことにして、ターミナルビルのすぐ前にそれらしいホテルがあったので行ってみた。しかし、ここは “Viesnica” というホテルで、名前が違う。それから周囲の建物を見て回ったのだが、”Latavio” というホテルはない。

“Riga In Your Pocket” にはホテルは空港のすぐ前と書いてあったので、これだけ探しても見つからないというのはおかしい。そこで、ターミナル内の公衆電話から、予約したときの電話番号にかけてみることにした。

ところが、電話はつながったのだが、どうもおかしい。なんだか、ホテルではなく一般の家にかかってしまったようなのである。最初に出た奥さんらしい人が英語を話せなかったので、夫らしい人に替わり、その人が何とか英語で対応してくれたのだが、お互いに片言の英語しか話せないわけだから、どうにも意思の疎通ができない。それでも、先方がホテルではないということはわかったので、お詫びを言ってから電話を切った。

しかし、なんだか釈然としない。リガのホテルから電話したときは、確かにホテル “Latavio” につながり、ちゃんと予約できたのである(リガ市街地とリガ空港付近は同じ市外局番なので、市外局番が違うという問題ではない)。しかしまあ、考えていても仕方がないので、ターミナルビル前のホテル “Viesnica” に入ってみたところ、空室があったのでここに決めた。値段は9ラット(約1,800円)。空港前のホテルにもかかわらず、フロントの女性がまったく英語を話せなかったので、ジェスチャーと絵で意思の疎通を行った。

部屋のほうは、壁紙が剥がれかけていたり、窓よりカーテンの幅が狭かったりするが、まあきれいなほうである。しかし、トイレとシャワーについては、汚いとは言わないが長く居たくはないようなところで、シャワーは水は透明だが湯は濁っていた。明日は早く起きないといけないので、しばらくテレビを見た後、ぬるま湯のシャワーを浴びて就寝。

明日でラトビアを離れることになるが、旅の終わりが近づくといつも憂鬱になってしまう。一度、終わりを決めない旅をしてみたいものだ。