国内旅行編(埼玉 / 神秘珍々ニコニコ園、巌窟ホテル)

(注)2006年11月、橋本園長の死去により神秘珍々ニコニコ園は完全に閉園になりました。

2000年2月3,4日に仕事の関係で久しぶりに東京へ行った際、ついでなので土日も東京にいて近郊のスポットに行ってみることにした。

まず行き先として選んだのは以前から行ってみたいと思っていた「神秘珍々ニコニコ園」で、所在地は埼玉県東松山市。ここは本屋で見つけてつい買ってしまった「別冊宝島378・全国お宝スポット魔境めぐり」で「関東第一の秘境」として大きく紹介されているところになる。内容もさることながら、その名前にインパクトがある。なかなか人前では発音できない名前だと思う。

また、埼玉県東松山市といえば有名な「巌窟ホテル」があるところでもある。そんなに遠くないようなので、こちらも訪ねてみることにした。

神秘珍々ニコニコ園

東武池袋駅から東上線で1時間弱。高坂駅で降りると、駅前の不動産屋の「老若男女いこいの場・神秘珍々ニコニコ園 徒歩18分」という看板が嫌でも目に入ってくる。最初はこの看板に書いてある矢印の方向に歩き出したのだが、すぐに道がわからなくなった。仕方ないのでいったん駅前へ戻り、不動産屋に入って「神秘珍々ニコニコ園への行き方を教えてほしい」と言うと、初老の男性が道を教えてくれた。しかし私が車ではなく歩いていこうとしていることに気づくと、ちょうど昼時で家に帰ろうと思っていたところだから乗せていってやろうということになった。(徒歩18分とあるから歩いていってもいいと言ったのだが「いや、とても18分じゃ行けないよ」とのこと。じゃあ、あの看板は何なんだ。)

実はこの人は「別冊宝島」にも登場している園主の橋本さんで、神秘珍々ニコニコ園はこの人の自宅の一部になっている。「初老の男性」と書いたが、実際には80歳を越えているという。しかし、とてもそんな歳には見えない。

橋本さんの運転する車に乗り、田んぼの中ののどかな道を通って神秘珍々ニコニコ園へ向かったのだが、途中に道順を示すような看板はまったく無いので道を知っていなければとても辿り着くことはできないと思われる。車の中で「客は多いですか」と聞いてみたところ「いやあ、少ないねえ」ということだった。

やがて車は神秘珍々ニコニコ園に到着したが、想像していたよりは小さな建物だった。

そして、ここからなんと橋本さんの解説付きで園内を回ることができた。入り口でいくつかパンフレットをもらってはいたが、実際に説明してもらうと展示物の由来がよくわかる。

橋本さんは現在は駅前で不動産屋をやっているが、かつては材木商としてそうとう儲けたという。材木商をやっているときに売り物にならないような半端ものを使って彫刻を始め、それらを展示しているのが神秘珍々ニコニコ園ということになる。

園内にはたくさんのプレハブの倉庫が並び、それらの倉庫の中や通路などに数え切れないくらいの彫刻と、その他に怪しげな品々が置かれている。めぼしいものについては橋本さんが身振り手振りを交えて解説してくれた。

この彫刻群が、それぞれタイトルが付いているのだが実に種々雑多。日本古来の神像も多いが、逆さ吊りになったムッソリーニや(タイトルは「世界残酷物語」)、閻魔大王に各種の鬼(同じく「地獄の三丁目」)、その他には「天然ニコニコ神」「天然ウフフ神」「天然オバケ」「バケ猫怪人」などなど。よくわからない作品がずらりと並んでいる。上の写真は天然ウフフ神。

ここの受付嬢も彫刻作品になっている(給料を払わなくていいから安上がりだそうだ)。

特に印象に残った3体を下に載せている。こちらは「キス美人」で「キスすれば一生そっちのほうは大丈夫」だそう。

「ああ世が世ならば東洋の神」と題された東条英機像。個人的に東条英機は無能な人間と思っているので、歴史がどう変わっていたとしても神になることはなかったと思う。

「オイランの末路」と題された作品。「バイドク出た」とあり、かなりホラー。彫っているうちに赤い色が出てきたため、こういう作品にしたという。

プレハブ内には橋本さんが作った詩や狂歌がたくさん書きこまれていて、なかなか面白い。(例えば「世は変わる男何人知ってても子供生まねばアタシ処女なの」とか)

彫刻の他、天下の珍品「北斎漫画」や値段は3億円という「源氏五十四帖」などが雨ざらしで展示されていたが、これらは複製品で本物は金庫に保管されているとのこと。他にも、未解読の文字が記されている掛け軸や、橋本家が天皇家の子孫であることを示す仏像などが置かれている。「竜宮城の祠」というものもあった(橋本さん談によれば本物らしい)。開かずの金庫というものもあり「無理にあけると内からガスが出てブッ倒れます」と書いてあった。

ただ、園内を回っているときにひとつだけ不愉快に思ったのはプレハブのひとつに「金返せ」という落書きがあったこと。確かに入場料は1,000円するが、このような展示物を見られるスポットは日本中でここしかないのだから、決して「金返せ」などと思ってはいけない。橋本さんも落書きには気付いているのだろうが、何も言わなかった。

一通り見た後、橋本さんは食事のために家に入っていったので、1人でもう一回りしてみた。見れば見るほど、不思議と高揚した気分になってくる。ここで憩える人がいるかどうかはわからないが、不思議な気分になることは確かだろう。都心から1時間ほどで行けるので、近い人は一度行ってみてはいかがだろうか。運がよければ橋本さんが直接解説してくれるかもしれない。

その後、不思議な気分のまま「神秘珍々ニコニコ園」を後にして、30分以上歩いて高坂駅へ戻った。

巌窟ホテル

高坂駅から再び東上線に乗り、1駅目の東松山駅へ。ここから東松山市の名所「吉見百穴」へ行く途中に巌窟ホテルがあるという。駅前の道を吉見百穴方面へ歩くことにした。

巌窟ホテルというのは、明治から昭和まで親子2代にわたって人力で掘り続けた人工宮殿のこと。「ホテル」とあるが実際にホテルとして使用されたことはなく、近所の人が「巌窟掘ってる」と言っていたのがいつのまにか「巌窟ホテル」になったという、冗談のような本当の話。時々テレビにも登場するので知っている人も多いと思う。

駅から30分ほど歩くと、視界が開けて遠くに巌窟ホテルを望むことができた。そこからさらに5分ほど歩き、ようやく正面に到着。

かつては内部も公開されていたらしいが、何度か崩落事故があったそうで、今は立入禁止になっている。正面から見ると意外と小さいが、通路はかなり奥まで伸びているのだろう。明治30年代、近くの吉見百穴を見て「自分も掘ってやろう」と思って始めたという。その後2代目に引き継がれ、昭和40年代まで作業が続けられたそうだが、よくまあこれだけ掘ったものだ。今は廃墟になりつつあるが、なんだかもったいない。整備して公開してほしいという気がする。

中に入ってみたいが、禁止されているのであれば仕方がないので、しばらく付近を歩き回った。すぐ前に「巌窟ホテル売店」があり、巌窟ホテルの名前が入った土産物がないか聞いてみたが、残念ながらなかった。


その後、ついでなので吉見百穴へ行ってみた。こちらは山の斜面にたくさんの穴が掘ってあるもので、かつては古代人の住居跡と思われていたそうだが、現在では墓の跡だと確定している。墓穴はそう大きくはなく人がやっと入れる程度だが、斜面いっぱいに穴が掘られている光景はなかなか面白い。墓穴とは別に日本軍によって掘られた地下軍需工場のトンネルもあり、ちょっとしか入ることはできないが奥は深そうだった。

ここからいくつかの沼や寺院などを巡りながら再び吉見百穴へ戻ってくる遊歩道もあったが、疲れていたのでそちらへは行かず、駅へ戻って東京へ帰った。(案内図を見ると遊歩道の途中に「ポンポン山」という山があり、中腹を踏むとポンポンと音が響くことからこういう名前がついたとあるが、本当なのか?)

東松山市の標語が「花と歩けの町」だからかもしれないが、バスの便が少なく、かなり歩かされた一日だった。

目黒寄生虫館

都内で1泊した後、日曜日は買い物をしながら都内をあちこち回った。自分の分もあるが、たまに東京へ行くとなると知人からいろいろと買い物を頼まれることになる。買い物の合間に、こちらも一度行きたいと思っていた「目黒寄生虫館」へ行ってきた。(かつて東京に住んでいたのだからいつでも行けたはずなのだが、どういうわけか行ったことがなかった。東京周辺には面白そうな博物館が多いので、今になって博物館めぐりをしなかったことを後悔している)

JR目黒駅から歩いて20分ほどのところにある6階建てのビルが、今や知らない人はいない有名スポットの目黒寄生虫館(入場無料)。展示室は1階と2階で、さまざまな標本や模型などの資料が展示されている。さすがに有名なスポットだけあって見学者の数は多く、特に若いカップルや小さな子供を連れた夫婦が目立つ。

展示品の目玉は長さ8.8mのサナダムシの標本で、かつて実際に人間に寄生していたもの。サナダムシに寄生されても自覚症状はほとんどないそうで、このケースでも排便時に垂れ下がるまで気づかなかったそうだ。標本の横には長さ8.8mの紐が置いてあり、どのくらい長いか体感することができる。よくまあこんなに成長したものだ。

その他の展示物は、名前は知っていたが見たことはなかった回虫やギョウ虫などのたくさんのホルマリン漬け標本、寄生虫の生活ぶりや寄生虫病の写真などを紹介したパネルなど。館内はそれほど広くはないが、かなり長時間楽しめる場所だった。行ったことがない人はぜひどうぞ。

2階にはミュージアムショップもあり、Tシャツ、絵葉書、寄生虫(実物)入りのキーホルダーなどが売られている。私はここのガイドブックとサナダムシや回虫の絵葉書を買った。(後日、これらの絵葉書を土産として会社に持っていったところ女性社員の間で好評でした)

(2000.2.5~6)

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