国内旅行編(宮崎 / 日本一怪しい公園)

(注)2003年12月で、日本一怪しい公園は閉園になりました。

1999年11月に会社の社員旅行で宮崎方面へ行った際、途中「日本一怪しい公園」という怪しげなスポットの前を通った。さすがに「何なんだここは!」とバスの中が騒然となったのだが、予定になかったので素通りしてしまった。(自由が利かないところがツアー旅行の欠点)

社員旅行から帰っても、この公園に何があるのか気になって仕方がない。インターネットで調べて見ると簡単に紹介してあるホームページがいくつかあったが、詳しい内容がわからない(ただし、どうやらここはあの「探偵ナイトスクープ」でも紹介されたことがあるらしい)。次に宮崎のガイドブックをいくつか見てみたが、どういうわけか一切紹介されていない。こうなったら行くしかないので、年末の休暇を利用して宮崎を再訪することにした。

青春18きっぷが使える時期なので、移動手段は主に鉄道。ただし行きの長崎~宮崎は飛行機を使うことにした。これは、この路線にプロペラ機の SAAB 340B 型機が就航していて一度乗ってみたかったため。また、せっかくなので宮崎方面のローカル線にも乗ってみようと思い日南線を選んだ。旅行計画は以下の通り。

12/28飛行機で長崎から宮崎へ。
青春18きっぷを使って日南線往復。
この日は宮崎市内泊。
12/29日豊本線と吉都線を乗り継いで小林へ。
日本一怪しい公園と、ガイドブックに載っていた
名所「陰陽石」を訪ねる。
この日は小林市内泊。
12/30小林から吉都線、肥薩線、鹿児島本線を乗り継いで
福岡の実家へ帰省。

予定を決めて宮崎市内と小林市内の宿泊先を予約した後、ようやく「もしかしたら年末休みで閉園しているかもしれない」ということに気付いた。閉園日を聞こうと思い、インターネットやNTT番号案内などいろいろな手段を使って電話番号を調べようとしたが、どうしてもわからなかったので結局予定通りに出かけることにした。閉まっていたら、また後日来ればいい。


朝5時に起き、長崎空港へ。9時15分発の日本エアコミューター881便で宮崎へ向かう。この年の10月に乗ったYS-11型よりも小さく、39人乗りでシートは2列+1列。

やはりプロペラ機は地上の景色がよく見える。特に、この路線は九州山地の上を飛ぶので迫力がある。約40分で宮崎空港到着した。

宮崎空港に到着後、しばらく展望デッキで飛行機を見てからJRの普通列車でいったん宮崎駅へ。宮崎から日南線に乗って志布志まで往復してきた。

日本一怪しい公園

宮崎市内で1泊し、列車を乗り継いで小林へ。小林駅到着は12時40分頃。目指す「日本一怪しい公園」は小林 I.C.の近くなので、えびの高原方面行きのバスに乗ればいいということは調べていた。そこで駅前のバス停で時刻を調べたのだが、これが数時間おきの運行。運よく次の便が13時10分発だったので助かった。

小林 I.C.でバスを降り「日本一怪しい公園」へ。ちゃんと開園していたのでほっとした。これで中に何があるのか、ようやく見ることができる。期待を抱きながら建物の中に入ると、薄暗い受付けに男の人が座っていて、ここで入場料の300円(安い!)を払う。奥のドアの先がいよいよ「日本一怪しい公園」なのだが、ドアの横に「本日は大変混んでいます。二度回りをしないでください」と張り紙がしてある。「そんなに客が多いのか?」と思ってドアを開けると…客は家族連れが1組だけだった。

「日本一怪しい公園」の実態は、竹やぶに囲まれたそう広くない広場にさまざまなオブジェがたくさん並んでいる公園だった。すべてここの主人(さっき受付けにいた人)か考案し自作したものだそうで、よく見ると実にうまくできている。スイッチを入れるとシャボン玉を吹き出す「シャボン玉カエル」、上から人形が落ちてくる「バンジージャンプ」などなど。いくつか写真を載せているが、とても全部は紹介しきれない。詳しく知りたい人はぜひ訪れてみてほしい。

これらのオブジェの中には、水をうまく使ったものが多い。特に印象に残ったものを3つ紹介する。

上の写真は「クジラ体重計」。「あなたの体重は何メーター?」と書かれていて、鯨のシッポに乗るようになっているのだが、そうするとこのように水を浴びせられることになる。これはまともにこっちへ向かって飛んでくるので避けようがない。アイルランドで買った防水ジャンパーを着ておいてよかった。

一応体重計にもなっていて、それぞれ次のように書かれている。

  • 1メーター「スリム美人」
  • 2メーター「ふくよか美人」
  • 2メーター50「ふっくらデスネ」
  • 3メーター「ダイエット出来ると思え。思えば出来る」

下の写真は「木のぼり豚」。吊り下げられているバケツにホースで水が注がれており、ある程度水が溜まると重さで落下しはじめる。それにより、ロープで結ばれている豚が木を登る。バケツは一番下まで降りるとひっくり返って水を周囲にぶちまけ、豚が木を降りる。再びバケツに水が溜まりはじめる、という仕組み。これを1日に300回ほど繰り返しているそうだ。

「日本一怪しい公園」入り口には、これと同じ原理の「昇り竜」がある。

これは「トンカチ手相占い」。説明書きには「一人が左手を手形の上に乗せ、一人が右上のヒモを引いてください。トンカチが軽く手に触れた人は、大成功する人です。トンカチが手に当たらなかったら、もう一度引いてください。手がつぶれた人は要注意です。気をつけてネ」と書かれていた。

というわけなんだが、トンカチが手に当たりそうな位置まで下がると例によって水を浴びせられることになる。


公園内には30分ほどいたが、客は最初にいた家族連れの他は途中入ってきたカップルが1組だけ。おかげで各オブジェをゆっくりと見ることができた。あと、公園内にはさまざまなオブジェの他、なぜかモルモットが10匹ほど飼われていた。

建物の中に戻り、主人にここのパンフレットがないかと聞いてみたが、今はないとのこと。主人は「今年は客が少ないですねえ。やはり2000年問題の影響でしょうか」なんてことを言っていたのだが、それは関係ないと思う。

その後、簡単な土産物コーナーを見てから「日本一怪しい公園」を後にした。なかなか楽しい場所だったが、ここは私のようなB級スポット好きの人だけでなく機械好きの人にとっても楽しめる場所だと思う。興味のある方はぜひどうぞ。

陰陽石

「日本一怪しい公園」を後にして、小林市で一番の観光名所(らしい)陰陽石へ。小林 I.C.からバスで小林バスセンターへ(本数が少ないので注意)。そこから須木役場行きバスで市の外れにある陰陽石へ(これも本数が少ないので注意)。

バス停からしばらく歩くと、やがて土産物店やレストランが見えてくる。しかし、夕方だからなのかもしれないが誰一人観光客がいない。実に閑散とした雰囲気の中、陰陽石とその周辺を散策してきた。

陰陽石とは自然の浸食作用によってできた上の写真のような岩のこと。まあ確かに奇岩であり、面白い形をしているのだが、ここのすごさはむしろその周囲にある。予想はしていたがやはりあった「陰陽石神社」、木製の大きな男根が奉られている「夫婦大明神」、さらには「愛の資料館」などの秘宝館系の建物が数件。客が1人もいないこともあり、うらぶれた雰囲気を醸し出している。この雰囲気は淡路島のナゾのパラダイスにも通じるものがある。

「愛の資料館」は入場料300円だが、受付けに誰もいなかったので中に入るのは諦め、しばらく付近を歩き回ってから小林市街へ帰ることにした。土産は陰陽石神社(上の写真)で買った御守り。といっても巫女さんが売っているわけではなく、代金の500円は賽銭箱に入れる。小林市はたしか斎藤慶子の出身地だったと思うが、地元の名所のことをどう思っているのか聞いてみたいものだ。

吉都線、肥薩線

小林市内で1泊し、吉都線で吉松へ。下の写真の向かって右側手前が吉松発人吉行きの各駅停車で、右側奥が隼人行き各駅停車。左側が2000年3月で廃止になる急行「えびの」。一度乗ってみたい気もするが、おそらくその機会はないだろう。

肥薩線の吉松~人吉間はループとスイッチバックを組み合わせた「大畑ループ」で鉄道ファンには有名。その他に真幸駅にもスイッチバックがあり、鉄道にとってはかなりの難所になっている。駅間距離も長いうえに登り勾配では速度が遅くなるので、わずか4駅なのに約1時間かかる。

吉松駅を出発した1両編成の列車は、まず真幸駅でスイッチバック。運転手が車内を前後に移動して運転を行う。次の矢岳駅はローカル線にもかかわらず駅舎がかなり立派で、近くにはSL博物館もある。これには理由があり、現在の肥薩線がかつては鹿児島本線だったため(明治42年から昭和2年までの間。昭和2年に水俣回りが鹿児島本線になり、旧鹿児島本線が肥薩線になった)。それにしても、SLでこの区間を越えるのは大変だったと思われる。今では考えられないような、のんびりした時代だったのだろう。

大畑ループを越えて大畑駅へ。次が終点の人吉駅で、ここで八代行き各駅停車に乗り換え。吉松~人吉間の雄大な車窓風景とは異なり人吉~八代間はほとんど球磨川に沿って走るため、上流では渓谷風景、中流では下の写真のようなシンメトリーの景色を楽しむことができる。

やがて列車は八代駅に到着。ここから鹿児島本線の各駅停車を乗り継いで実家へ帰った。

(1999.12.28~30)


9年後の2008年に日本一怪しい公園の跡地を探索してきた。そのときの訪問記はこちら。

また、この旅行のときに陰陽石を再訪してきた。9年後の風景はこちら。