国内旅行編(愛知 / 田縣神社豊年祭)

いよいよ豊年祭の日になった。期待しながら田縣神社へ向かうと、名鉄新名古屋駅では「田縣神社へお越しの方は途中の犬山でお乗り換え下さい」というアナウンスが流れていた。天下の奇祭だけあって見物客は多そうだ。

新名古屋から犬山線の急行列車で犬山へ。ここで小牧線に乗り換え、田縣神社前で下車。駅のすぐ近くに田縣神社がある。時刻は午前10時ごろだが、すでにかなりの人出で、たくさんの露店が出ている。まず神社をひととおり参拝してみた。

田縣神社

豊年祭については、かつて CNN で報道されてから日本国内よりもむしろ海外で有名になったと聞いたことがあるが、たしかに参拝者の半数近くが外国人のようだった。近くの駐車場に “YOKOTA TOUR” と書かれた大型バスが何台も停まっていたので、多くは米軍関係者らしい。

最初に本殿に参拝。本殿内には半被を着た数十人の男たち(厄男?)が座っていて、御祓いを受けている。その向こうに御神体があるようだが、遠くてよく見えない。

本殿脇には案内所があり、数人の巫女さんが座っているが、そのうちの1人は外国人だった。祭りの進行についてときどき場内放送があり、日本語のアナウンスの後、この巫女さんが英語でアナウンスしていた。

続いて本殿の左奥にある奥の院へ。こちらの御神体(予想通りの形)は近くで見ることができる。さらに賽銭箱の近くにも同様のものがあり、こちらは参拝者が触ることができるため先端が光っている。参拝の作法は「二拝二拍手一拝」。

それにしても、鈴がリアル。

奥の院の近くには、下の写真のような石のオブジェがあった。誰の作品かは知らないが、まあよくできている。

奥の院の横には「珍宝窟」というものがある。男根をはさんで2つの石球が置いてあり、左の石碑には以下のように刻まれている。

「双玉ノ右ヲサスリ家内安全・商売繁盛・金運ノ願イ、双玉ノ左ヲサスリ恋愛成就・子宝・安産・夫婦和合、願イ事叶ウト言イ伝エラレン。遠近ヨリノ参拝者アトヲタタズ霊験イヤチコナリ」

というわけで、2つの玉にそれぞれ触ってから賽銭を入れてきた。右の石碑には「玉さすり賽銭入れて珍となる」と刻まれていて、賽銭を入れると「チン」と音がする仕組みになっている。なかなかに仕組みが細かい。

境内にあった案内板によると、豊年祭行列は午後2時に近くの熊野社という神社を出発し、午後3時半に田縣神社に到着となっている。それまでまだ時間があるので、いったん小牧市内のもうひとつのスポット「間々観音」へ行き、午後2時過ぎに戻ることにした。

間々観音については、以下のページを参照。

天下の奇祭・田縣神社豊年祭

間々観音から田縣神社に戻ると、神社前の沿道にはすでに人だかりができていた。これでは行列を近くで見ることができないので、熊野社方面へしばらく歩き、人が少なくなったところで待機することにした。

道路は片側1車線が交通規制され、車はもう1車線を交互に通行するようになっている。このために大勢動員されている警察官も大変だ。


いよいよ豊年祭行列がやってきた。先頭を歩くのは大幟を掲げた男性で、行列の露払いといったところ。

続いて、にこやかに男根を抱えた若い女性たち。「恥ずかしくないですか?」と聞いてみたい気もする。

この男根を借りて記念写真を撮る若い女性の姿も多く見られた。

その次は酒を配る台車。紙コップに酒をついで、沿道の人たちに無料で配っている。日本酒はそんなに好きではないが、私も一杯飲んでみた。

そして、いよいよ主役の登場。後に田縣神社で買った絵葉書によると、この神輿は「陽物御輿」(ようぶつみこし)という。神輿に乗っているのは「大男茎形」(おおおわせがた)といい、毎年新しく檜で作製するそうである。大きさは直径約60センチ、長さ約2メートルほど。

神輿から大きくはみ出す巨大さに驚き、また予想よりも色が明るくオレンジ色に光っていることにもびっくり。

目の前にやってきた陽物御輿。厄男たちの白装束と、オレンジ色の男根の対比が面白い。神輿を担いでいる人たちに「おいおい、気は確かか?」と声をかけたくなる気もする。まさに「天下の奇祭」であり「天下の珍祭」だと思う。

この陽物御輿は左右に大きく蛇行しながら進んでいくため、あまり近くに寄ると急にこちらに向かってくる神輿に驚くことになる。実際に、驚いて転んでいる人も何人かいた。

行列の最後は「福榊」(ふくさかき)。絵葉書によると「この榊の葉を授かると豊作に恵まれ、その家は一年間幸福になるといわれています」だそう。こちらを担いでいるのは年配のおじいさんたちで、男根の先端を観客に触らせながら歩いている。私も触ってきた。

これで豊年祭行列をひととおり見たので、先回りして田縣神社へ移動し、神輿が本殿内に入るところを見ることにした。

神社内は、すでにかなりの人で埋まっている。なんとか参道近くに移動して待機していると、やがて豊年祭行列がやってきた。

到着した行列は、次々に本殿内に入っていった。下の写真は、本殿前で何回か回った後、陽物御輿が本殿内に入るところ。人が密集しているところで回ったため、観客が何人か転んでいた。

最後に福榊が本殿内に入る。これで豊年祭行列は無事に終了した。

本殿内に安置された陽物御輿。このまま来年までここに置かれるのではないかと思われる。(違っていたらすいません)

最後に餅まきが行われて、豊年祭は終了。

集まった人の数も多いが、撒かれる餅の数もすごい。ひとつずつ配ったら全員にいきわたるのではないかというくらいの量が撒かれる。多い人は10個くらい持ち帰っていたようだった。

これで豊年祭の行事がすべて終了したので、最後に神社内の売店で男根型の御守りと豊年祭の絵葉書を買ってから、田縣神社を後にした。


それにしても、「天下の奇祭」だけあって、かなりすごい祭りだった。未見の人は、ぜひ一度実物を見てみることをお勧めする。私も、もう一度見てみたい。

また田縣神社自体も、神社内は男根のオンパレードとなっている。こちらも一見の価値はあるので、名古屋方面へ出かけたときは立ち寄ってみてほしい。

田縣神社近くの土産物店では、変わった土産物がいろいろ売られていた。主なものとしては「おちんちんチョコレート」、「おっぱいいっぱいチョコレート」(これは、後日なぜか福岡市内の中洲地区にあるローソンでも見かけた)や男根型の飴など。私は「田縣子宝」という男根型のカステラ菓子と「おちんちんチョコレート」を買った。これらについては、後日会社に土産として持っていったところ女性社員の間で「食欲が無くなる」といって好評でした。


最後に、土産物店の前にあった悪趣味な顔出し看板を紹介。写真をクリックすると裏側を見ることができます。

(2001.3.15)


8年後の2009年、再び豊年祭を見ることができた。再訪記はこちら。