カンボジア旅行記(バイヨン周辺の遺跡群)

バイヨン周辺にはいくつかの遺跡が点在していて、それぞれにチケットをチェックする係員がいる。遺跡前には数軒の露店が並んでいて、バイヨンほどしつこくはないが物売りもいる。それらの遺跡のうち、私が訪れたものをこのページでまとめて紹介する。

タプロム “Ta Prohm”

「樹木が侵食しつつある遺跡」として有名。遺跡に絡みついている木の根を取り除いてしまうと遺跡自体が崩壊してしまうおそれがあるため、このまま保存されているという。

東西1キロ、南北600メートルという広い遺跡で、回廊が縦横に通っているが半分以上が崩壊している。アンコールワットとともにカンボジアでぜひ見たいと思っていた遺跡なので、1時間ほど散策してきた。

ここは密生している樹木のため昼間でも薄暗く、鳥の鋭い鳴き声とあいまって不気味な雰囲気になっている。有名な遺跡だと思っていたが、意外と観光客は少なく、ゆっくりと歩き回ることができた。

それにしても、やはり熱帯の植物の生命力はすごい。ちょっと「エイリアン」を思わせる風景。

この遺跡は現在も樹木による破壊が進行している。そのため最奥部は崩落が激しく、木の根に飲み込まれそうになっている石組みも多い。

また、遺跡内にはたくさんのデヴァター(踊る女神)像が刻まれていて、それぞれ表情が微妙に違うので眺めていると面白い。

この遺跡は期待以上に迫力があった。アンコールワットやバイヨンと違って観光客が少ないのが意外だったが、カンボジア旅行の際には忘れずに訪れてほしいスポットといえる。

ニャックポアン “Neak Pean”

この遺跡は沐浴場の跡。正方形の池の四方を、やや小さな池(こちらも正方形)が囲むような構造になっている。

ここは雨季には水が溜まって池になるそうだが、今は乾季なので干上がっている。中央の島には観音堂があり、中に入ってみたところ特に何もなくがらんとしていた。雨季にはこの島へ渡ることはできない。

タケウ “Ta Keo”

正方形の遺跡で、四方に階段がある。建設途中で放棄されたらしく、本尊が何だったかなど詳しいことはわかっていないらしい。

この遺跡の特徴は、とにかく急な階段。登っていると後ろから引っ張られているような錯覚に陥る。

それにしても、アンコール遺跡群には急傾斜の階段が多い。頂上からの眺めは良いが、昇り降りだけでかなり疲れる。何でこんな階段を作るのだろうという気もするが「本尊を見るためには少しは苦労しろ」ということなのかもしれない。

東メボン “East Mebon”

ここにはかつて東西7キロ、南北2キロという大きな貯水池があり、その中心にあった寺院が東メボン。現在は水は涸れて周囲は森になっているが、当時は貯水池に浮かぶピラミッド型寺院だったという。それにしても、こんな大きな池の中心にこれだけの寺院を作るとは、かなりの大工事だったと思われる。

寺院自体は正方形で、中央の祠堂を外周壁が囲むような構造になっている。また寺院の正面はかつて船着場だったため、かなり大型の石が使われている。中央の祠堂群はアンコール遺跡群ではおなじみの形をしていて、外周の四隅には石造りの大きな象が立っている。

タケウと違ってそれほど高くないので、登るのは楽。しかし、この寺院が水面に浮かぶ姿を見てみたいような気もする。

タソム “Ta Som”

わりと規模が小さく、こじんまりとした遺跡。建造は12世紀だそうで、内部はかなり崩壊している。

遺跡の一番奥にある東塔には樹木が絡みついている。

あちこちに刻まれているデヴァター像を眺めながら散策。遺跡全体が森の中にあるので、歩いていると涼しくて気持ちいい。木漏れ日がきれいな遺跡だった。

プリヤカーン “Preah Khan”

ここはアンコール遺跡群の中でも規模の大きな遺跡で、東西約800メートル、南北約600メートルほど。入口になる西門からしばらく参道が続き、参道の横には遺跡を紹介する小さな案内所がある。(たしか、いくつか土産物も売っていたはず)

他の遺跡と比べて回廊や建物がかなり複雑に入り組んでいるため、ちょっとごちゃついた印象がある。内部はかなり崩壊していて、瓦礫で埋まっているため中に入れない回廊も多い。

遺跡内では、タプロムと同様に樹木が絡みついている光景も見られる。

遺跡の係員が勝手についてきてガイドを始めようとしたこともあったが、訪れたときはわりと人が少なく、静かな遺跡だった。


ここで紹介した遺跡の他にもアンコール一帯にはたくさんの遺跡が点在していて、私が訪れたのはそのごく一部に過ぎない。今回はバンテアイクデイ、プレループなどを訪れなかったので、いつかまたカンボジアを訪れて遺跡めぐりをしてみたい。