ベトナム旅行記(ホーチミン / クチトンネルツアー)

ホーチミン滞在3日目。この日の予定は、まずホーチミン郊外にあるクチトンネルへの半日ツアーに行き、その後はホーチミン市街を散策することにしていた。

クチトンネルというのはベトナム戦争当時の南ベトナム解放戦線(ベトコン)の作戦本部が置かれていた基地で、現在は観光用に整備されている。


朝7時半、ホテルを出てTNKトラベルへ。少し待機した後、他のツアー客とクチへ向かう。大型バスは英語ツアーと日本語ツアーの共用になっていて、10人程度の日本語ツアー客は後方に座ることになった。前のほうには数十人の英語ツアー客が座り、英語のガイドがマイクを使って説明している。

ホーチミン市街を抜けると、水田や農村が広がるのどかな地帯をクチへ向かって走る。今がちょうどジャックフルーツの季節らしく、あちこちの民家に植えてある木に巨大な実がたくさんぶら下がっていた。熱帯地方は本当に果物が豊富だ。

ホーチミンから1時間半ほどでクチに到着すると、まずは屋内でクチトンネルを紹介するビデオを見る。日本人のツアーには日本語版が放映されるので、クチの概要についてはよく理解できた。それにしても、南ベトナム政府を「アメリカの傀儡政府」と呼んだり、見事に北ベトナム側の視点で作られたビデオだった。

ビデオ放映が終わると、建物を出て森林の中に入っていく。しばらく歩くと戦争当時の戦車が置かれていて、みんな戦車に座って写真を撮っていた。

地上を歩いている限りは何ということのない雑木林だが、ここの地下には細いトンネルがまるで蟻の巣のように掘られている。内部には司令室、診療所、台所、食堂など様々な施設が作られ、総延長は実に250キロにもなるという。当時のアメリカ軍もトンネルの存在は知っていたそうだが、詳細は把握していなかったらしい。

下の写真がトンネルの入口のひとつ。ここを紹介するガイドブックなどには必ず載っている光景だと思う。この大きさではアメリカ兵にはとても無理で、体の細いベトナム兵しか入れない。また、蓋をして草をかければ、ここに入口があるとはまったくわからない。

地面に仕掛けられていた各種のトラップ(落とし穴)も展示されていた。こんなものがあちこちにあったら、とても歩けるものではない。ゲリラ戦の怖さが理解できる。

傷口がより悪化するように、排泄物も一緒に仕掛けてあったという話も聞いた。

地下トンネルについては、ごく一部が観光用に整備されていた。入れるのはほんの50メートルほどで、ほとんど這って進まないといけないくらい狭い。もっとも、これでも観光客が通れるように少し広げてあるという。

下の写真はフラッシュを使っているため明るいが、実際はほぼ真っ暗。

他のツアー参加者とぶつかったりしながら、なんとかトンネルをくぐり抜けることができた。このツアーには汚れてもいい格好で参加することをおすすめする。

かつて食堂として使われていた場所では、ここで主食だったという蒸したタロイモを試食することもできた。そのまま食べてみたが、あまり味がなく、正直言ってうまいものではない。もっとも、バターや砂糖をつければうまいような気もするが。

この後、当時の風景が人形を使って再現されているコーナーや米粉でライスペーパーを作っている作業所、それから土産物店などを回った。土産物店ではベトナムではよく見かけるコブラ酒などを売っていた。

ここには有料で射撃ができるコーナーがあり、せっかくなので撃ってみた。かつてハワイで射撃をやったことがあるが、実弾を撃つのはそれ以来。下の写真は私ではなく他の人が撃っているところを撮ったもの。

ハワイでやったときはわりと的に当たったような記憶があるが、今回は的がちょっと遠かったこともあり、一発も当たらなかった。それにしても相当に威力のある銃らしく、ヘッドフォンを着けているにもかかわらず大音響に耳が痛い。こんなものを実戦で使っていたら頭がおかしくなりそうな気がする。

射撃体験後、他の参加者といろいろと話をしながら休憩し、出口へ向かうことになった。お互いの旅行体験などを話したが、本当に旅行体験豊富な人が多い。私もまだまだだと思う。

出口へ向かう途中、面白い光景があったので写真を撮ってみた。植物のツルが動物の腸のように見える。

植物にはあまり詳しくないので名前はわからない。知っている人がいたら教えてほしい。

ここが出口。

この後、近くを散策しながら英語ツアー客が出てくるのを待ち、バスでホーチミンへ戻った。

なかなか面白いツアーだった。ホーチミンからの日帰りツアーとしては定番コースだと思うが、ベトコンの基地はやはり興味深い。何しろ世界で唯一、アメリカに勝った国なのだから。


ホテルで少し休んだ後、外出して市街中心部にあるレロイ通り、ドンコイ通りなどを散策してみた。連休中ということもあって、明らかに仕立てたばかりのアオザイを着た日本人女性が大勢歩いていた。

トゥオンサー・タックスというショッピングセンターに入ってみたところ、土産物店が並んでいたので陶器の急須と湯飲みのセットなどを買ってみた。さすがに「買い物天国」や「雑貨天国」などといわれている国だけあって、センスのいい土産物が安価で並んでいる。ここでは特に日本人女性のグループを多く見かけた。

あと、ここにあったスーパーマーケットで買ってみたのがこれ。

“STAR BLACK COFFEE & TEA” のジャスミンティーで、ブランド名がなんとなくスターバックスのパクリのように思えるところが面白い。

散策の途中、ベンタイン市場の中の食堂でフォー(ベトナムの麺類)とフルーツジュースの昼食をとった。下の写真は市場内の風景。

ホーチミン滞在中は毎日この市場を訪れているので、市場内の様子についてもちょっと詳しくなった。ガイドブックには「治安はあまり良くなく、スリが多い」などと書かれているが、一度もスリを見ることもなく、何の問題もない市場だった。

夜、夜景を撮るために外出してベンタイン市場前の広場へ行ってみた(左側の写真で時計台があるのがベンタイン市場)。夜になっても大量のバイクが走っている。

シャッタースピード2秒で写真を撮ると光の帯が写る。今まで旅行中に撮った写真の中でも、わりとお気に入りの写真といえる。夜に大通りを歩いていても特に危険な感じはしなかった。