ベトナム旅行記(香港編)

午後3時、香港国際空港に到着した。中国については、今まで上海は2度訪れたことがあるが香港特別行政区に来たのはこれが初めて。

乗り継ぎの都合上、この日は香港で1泊することになる。特に問題なく入国し、空港内のATMで香港ドル(1香港ドルは約15円)を入手してからエアポートエクスプレスで市街中心部へ向かうことにした。


さすがにエアポートエクスプレスは座席もゆったりとしていて快適そのもの。いたるところに高層ビルが林立しているのが、いかにも香港らしい風景といえる。

市街地に近づくと列車は地下に入り、空港から約20分で終点のひとつ手前の九龍(クーロン)駅に到着した。

まずは泊まるところを決めないといけない。旅行前にいろいろと調べてみたところ、香港は土地が狭いこともあってホテルの宿泊費はかなり高いことがわかった(中級ホテルでも1万円以上)。

その香港での安宿といえば、これは唯一「重慶大厦(チョンキンマンション)」の中だけということだったので、この中のゲストハウスに宿泊することにしていた。場所は本土側のクーロン地区、ネイザンロードに面したところにある。

九龍駅からエアポートエクスプレスのシャトルサービス(無料のシャトルバス)に乗り、ホテル「ホリデイ・イン・ゴールデンマイル」で下りて歩いて重慶大厦方面へ向かう。さすがに土曜日の夕方ということで人通りはかなり多い。

下の写真が香港唯一の安宿集合ビルといわれている重慶大厦の外観。他の建物と比べて、ここだけなんだか怪しげな雰囲気を出している。かつてここ以上に怪しげだった九龍城砦が取り壊された今、香港に残る最後の魔窟とも言われている。

ここは1階には両替商が並び、上のほうの階にはゲストハウスが入っている。上層階ほど値段が安くなるらしいが、今回は重慶大厦入門編ということで4階にあるチョンキンハウスを考えていた。ここは重慶大厦の中でもわりと高級な部類らしい。

建物の中に入ると、早速怪しげな客引きたち(なぜか黒人の人たちが多い)が「ゲストハウス?」と声をかけてくるが「もう決めてあるから」と言ってエレベーターに乗り込んだ。エレベーターを待っているときも周囲からじろじろと見られるので、ちょっと怖い。

4階に着くと目の前にチョンキンハウスの入口があった。中に入り、値段を聞いたところ200香港ドル(約3,000円)ということだったので、ここに泊まることにした。ホテルの宿泊費が高い香港では3,000円といっても安宿の部類に入る。上層階に行くと100香港ドル程度まで値段が下がるらしい。

それから、ここのフロント横の壁にはいくつかの時計が掛けられていて、それぞれ違う時刻を示していた。普通、こういう場合は「東京」「ニューヨーク」「ロンドン」などの大都市の時刻が表示されているものだが、ここの時計をよく見てみたら「南アフリカ」「ニジェール」「セネガル」など、アフリカの国ばかりが並んでいた。

フロントの前でソファーに座ってテレビを見ているのもみんな黒人の人たちで、そのうちの1人がこっちを見てニヤッと笑ったときには「これはえらいところに来たな」という気がしたが、しかしまあ宿泊自体は特に問題なかった。

下の写真が今回泊まった部屋。

TVとちょっと音がうるさいエアコンつきで、部屋はそれほど悪くはなかったものの、浴室はきれいとはとてもいえない状態だった。

部屋で少し休み、出かけることにした。ところが、ゲストハウスを出てエレベーターのボタンを押したものの、なかなかエレベーターに乗れない。下りエレベーターにはすでに上層階で多くの人間が乗り込んでいるらしく、”FULL” または “PASS” という表示(どっちだったかよく憶えていない)が出て全部通過していってしまう。諦めて階段で下りることにした。

しかしながら、この建物の内部はかなり複雑で、1階まで続いている階段がなく下の階に下りてまた階段を探さないといけない。下り階段が見つかればいいが、上りしか見つからず再び上の階に戻ったりする。これを繰り返しているうちに、いったい今何階にいるのかよくわからなくなった。4階から1階に下りようとして何階にいるのかわからなくなるのだから、まさにRPGに出てくるダンジョンといった感じ。

屋外に出たと思ったら中庭のようなところだったりと、かなり四苦八苦した結果、ようやく細い路地のような場所に出た。その路地を歩いていったら唐突に大通りに出て、これでほっと一息つくことができた。この重慶大厦については「火事が起きたらまず助からないだろう」と言われているが、たしかにその通りだと思う。これでは非常時にはとても逃げられない。


すでに夕方なので、いろいろな場所を歩き回るような時間はない。そこで、香港といえばやはり夜景だろうということでビクトリアピークへ行くことにした。

歩いてフェリー乗り場へ行き、STAR FERRY で香港島側へ向かう。フェリーは2階建てで2階のほうが値段が少し高いが、せっかくなので2階に乗って景色を眺めることにした。

フェリーから香港島を眺めた景色。

本土と香港島の間を様々な船が絶え間なく行き来しているのを見ていると、なかなか面白い。海風が涼しく、移動中はかなり快適だった。

香港島側のターミナルに着き、ここからバスでケーブルカー乗り場へ。ビクトリアピークへの交通手段は路線バスとケーブルカーがあり、ここではケーブルカーに乗ってみた。

ケーブルカーで急勾配を登り、香港で最も有名な夜景スポットのビクトリアピークに到着した。さすがに観光客はかなり多い。

次第に暗くなっていくと、夜景がはっきりと見えるようになった。

きれいですねえ。TVや雑誌などでよく目にする、香港夜景の定番ショット。今回の旅行ではこの夜景に備えて小型の三脚を準備していたので、かなりの枚数を撮ることができた。ただ、この日は雲が出ていたため空が光ってしまったのが残念。雲がなければ、もっときれいな夜景が見られたと思うのだが。

さすがに有名観光地らしく、ここには土産物店やレストランが入った大きな建物がある。内部を少し散策した後、ビクトリアピークを離れることにした。

帰りはバスでビクトリアピークを下り、フェリー乗り場付近を散策してみた。香港島側のフェリー乗り場付近は中環(セントラル)地区と呼ばれていて、大勢の市民が歩いていた。

散策の途中、大きな看板に「日本」という文字を見かけたので、何かと思ったら「日本脳炎に気をつけましょう」というものだった。こういう病気の名前に国名が使われるのも、なんだか悲しいものだと思う。ちなみに中国語では水虫のことを「香港足」というそうである。

散策の後、フェリーで本土側に戻り、デパート「そごう」の地下でラーメンを食べてからゲストハウスに帰った。


翌日、ゲストハウスをチェックアウトして、昨日に続いてフェリーで香港島へ渡った。福岡行きの飛行機の時刻が午後3時なので、あまり時間はないが、それまで散策することにしていた。

香港では2階建てのダブルデッカートラムが運行していて、2階からの眺めがよさそうだったので、まずは路面電車に乗ってみることにした。行き先はどこでもよかったが、せっかくなので終点のハッピーバレー競馬場へ行ってみた。

香港の観光番組などでは、屋根のない2階建てバスが看板ぎりぎりのところを通っている風景がよく紹介されている。2階建てトラムでは、さすがにそこまでぎりぎりではないものの、細い通りではわりと看板の近くを通るため面白かった。

終点で降りると、すぐ前にハッピーバレー競馬場がある。このときは競馬は開催されておらず、競馬場の外に作られている公園からコースを眺めただけだった。

コースの前に高層ビルが林立しているため、日本の競馬場とはかなり雰囲気が違う。いつか、ここでナイター競馬を観戦してみたいものだ。

再びトラムに乗ってフェリー乗り場付近へ戻り、少し周辺を歩いた後、空港へ向かうことにした。フェリーで本土側には戻らず、香港駅からエアポートエクスプレスに乗り香港国際空港へ。今回はわずかな滞在に終わってしまったが、いつかまた再訪したいと思う。

空港のトランジットエリアで面白い土産物を見つけたので、いくつか購入してみた。

中身はリキュール(緑がキウイ、青は何だったか忘れた)で、何より壜の形が面白い。電球もよくできているが、靴などはしわの感じまでよく作られている。帰国後、知人に土産として配ったところかなり好評だった。

午後3時に香港を出発し、台北を経由して夜8時半すぎに福岡空港に帰着した。


<2006年 / ベトナム旅行記のインデックスページ>