国内旅行編(三重 / 飯高洞窟美術館)

元祖国際秘宝館を訪れた翌日、松阪駅前でレンタカーを借りて三重県内のスポットを回ってみた。

今回訪れたのは松阪市内の山奥にある「飯高洞窟美術館」と津市の榊原温泉近くにある「ルーブル彫刻美術館、大観音寺」で、どちらも珍しいスポットを訪ね歩く人にとってはわりと知られた場所といえる。


松阪駅から国道166号線を西へ走る。知らない土地を運転するとき、カーナビは本当に便利なものだと思う。おかげで迷うことなく飯高地区に到着することができた。

ただ、さすがにカーナビには飯高洞窟美術館のようなマイナーな施設は登録されていなかったので、小さなスーパーで聞いてみたところ「スメール」という温泉施設の近くにあることがわかった。スメールの近くで「飯高洞窟美術館」という案内板を見つけ、無事にたどり着くことができた。

ここがどういう場所かというと、アジア各地の仏像や遺跡からの出土品などが名前の通り洞窟内に展示されている美術館になる。入場料の600円を払い、中に入る。

入口の横に地元の特産品を売っているコーナーがあり、ここには地元の人たちが数人集まって世間話をしていたが、洞窟美術館の中は私1人だけだった。おそらく、今までここに入ったのは私のようなB級スポット好きがほとんどだろう。

洞窟に入ると、こんな感じ。

先へ進むと、洞窟がまっすぐ奥へ続いているのが見渡せる。写真を見ればわかるとおり、ここは自然の洞窟ではなく人工のトンネルで、聞くところによるともともとはダム建設の際の石切り場だったそうである。そこに、ここの館長さんが数十年にわたって収集してきた仏像や陶器を展示して洞窟内美術館をオープンしたということだった。

薄暗い中、一直線に続くトンネルの両側に仏像や陶器などが並んでいる。下の写真に写っている説明書きによると、主に中国、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーの焼き物と仏像が展示されていて、貴重なものも多いらしい。しかし館内の展示品には「世界の名品」「世界に一つしかない国宝級」「当館のみでしか見ることはできない」などと書かれたものも多かったが、はたして本当か?

カンボジア(クメール)のコーナー。私も2004年にアンコールワットを旅行してきたので、デヴァター(踊る女神)像を見ると懐かしい。私が今まで見た遺跡の中で、細部の稠密さという点ではアンコール遺跡群が最高だと思う。

ちなみに、私が今まで世界で見てきた遺跡の中で素晴らしかったものベスト3を選ぶと「マチュピチュ」「アンコールワット」「ギザのピラミッド」になる。マチュピチュは「景色の素晴らしさと、いったいこんなところにどうやって作ったのかという不思議さ」、アンコールワットは「遺跡の大きさと比べてあまりにも稠密な、細部へのこだわり」、ギザのピラミッドは「単純に、圧倒される巨大さ」がそれぞれの理由だが、しかしまだヨルダンのペトラ遺跡、メキシコのチチェンイツァ遺跡、イースター島のモアイなどは見ていないので、いずれ順位は変わるかもしれない。

上記の順位は2007年当時のもの。2021年の時点で、今までに見た遺跡の順位を考えると次の通り。

  1. マチュピチュ
  2. アンコールワット
  3. ペトラ
  4. ティカル
  5. ギザのピラミッド

それぞれの内容については、当サイトの海外旅行記のページを参照してほしい。

このようなまじめな展示品だけでなく、ここにはちょっとふざけたものもある。

こちらは宝くじが当たるという「宝当観音」。鐘を10回鳴らして参拝すると宝くじが当たることになっているらしく、せっかくなので私も洞窟内に鐘の音を10回響かせてきた。その効果はどうだったかというと、まだわからない。実は私は競馬のように推理するギャンブルは好きだが、宝くじやロトのように「運だけ」のギャンブルにはまったく興味がなく、宝くじなど20年近く前に1回買ったことがあるだけ。というわけで、今後も宝くじを買うことはないと思うので、この神社の効果がわかることはないだろう。しかし、こういうものがあると他の展示物が胡散臭く見えるようになってしまうのだが。

こちらは「勝願観音」。賭け事や勝負事に勝てるということなので、しっかりと参拝してきた。効果はというと、あったような気もするし、なかったようにも思う。私は旅行の他に競馬という趣味もあるが、もともと収支は悪くないほうだと思うので。

石枠に収められた、各種のまじめな展示物。「ネパールの鳥葬のふえ(12~13世紀)」「ガルーダに乗るヴィシュヌ神(12世紀中頃)」などという、もしかして相当な貴重品なのではないかと思われる展示物もあった。

さらに洞窟の奥深くへ進む。枝道があったりするが、これらはすぐに行き止まりになっていて、行き止まりの地点にも仏像が置かれている。

洞窟の最奥部近くまで来ると、水が流れていた。

この洞窟はU字型になっていて、かつては別の出口から外に出ていたそうなのだが、現在は出口はふさがれていて500メートルほどの地点で引き返すようになっている。というわけで、展示品を再度よく見ながら引き返すことにした。(このページの一番上の写真に「いやしの里」という文字が見えるが、ここがかつては出口だったらしい)

それにしても、各種展示物の説明書きを額面通りに受け取ると、この洞窟内は国宝級の展示物であふれていることになるように思う。鑑定士が鑑定したら洞窟内全部でいくらになるのかは知らないが、それにしては防犯が手薄という気がする。まあ、説明書きをどのくらい信じるかは自由だが、愛知万博のカンボジア館に収蔵品を貸し出していたという話もあるので、あるいは本当なのかもしれない。

洞窟を出ると、敷地の一画に「動物供養観音」と「貧乏観音」があった。私は動物は飼っていないから動物供養観音は関係ないが、貧乏観音とはどういうものか興味がある。

中に入ってみると、黒色の観音像が安置してあり「貧乏出て行け、出て行け」と願いながら参拝するという。せっかくなので、私もその通りに参拝してきた。

これで一通りの見物を終え、続いて特産品コーナーに入ったところ冷たいお茶を出してくれた。この洞窟内で湧き出す水がミネラルに富んでいるということで、この特産品コーナーの目玉商品になっているらしい。このお茶もその水で作ったということだった。

山菜などの地元の特産品の他、水もたくさん並んでいる。買ってみようかとも思ったが、こちらは今日中に長崎に帰らないといけない。荷物が重くなるので、これは諦めた。

お茶の礼を言い、これで次の目的地のルーブル彫刻美術館へ向かうことにした。いつかまた来たいものだ。

(2007.4.1)