ネパール旅行記(ダンプス~ポカラ)

トレッキング2日目。この日は早朝のうちにヒマラヤの日の出を見て、午前中のうちにポカラへ戻ることになる。前日夜の天候は大荒れだったが、この日は朝から快晴で、きれいな日の出を見ることができた。


早朝5時すぎ、周囲がやや明るくなったところで目が覚めると天候は昨夜とは一転して快晴だった。山の天気は変わりやすいとはいうものの、これほど完全に変わるとは予想していなかった。

外に出て、山の方角を眺めると日の出前の空にヒマラヤの峰が浮かび上がっている。右の写真の中央に写っている尖った山がマチャプチャレ(標高6,993メートル)。

マチャプチャレはアンナプルナ連山にある 8,000m 峰と比べると標高は低いが、ひとつだけ近くにあることと、その特徴的な形からかなり目立っている。マチャプチャレは「魚の尾」という意味で、山頂が二又に分かれていることからこういう名前になっている。

やがてゲストハウスに泊っていた他の外国人旅行者もみんな起きてきて、ヒマラヤを眺めだした。そして5時48分ごろ、いよいよアンナプルナ連山のほうから太陽が昇ってきた。

写真ではあまり伝わらないかもしれないが、やはり荘厳な眺めだ。この日の出を見たとき、トレッキングをやって本当によかったと思った。前日の夜は食堂でビールを飲みながら騒いでいた外国人旅行者たちも、みんな静かに日の出を眺めている。

太陽が昇ると周囲はすっかり明るくなった。

ここでいったんゲストハウスの部屋に戻り、足元を見ると驚くことに足の指が真っ赤になっていた。よく見たらかなり血が流れているのだが、しかし痛みはまったくない。原因がわからず、とりあえず洗い流そうと思って外に出ると、ガイドに会ったので足を見せたら「ああ、これはヒルですよ」と教えてくれた。

靴ではなくサンダルで歩いていたのが問題だったわけだが、しかしヒルというのは痛みがまったくないとは知らなかった。水で血を洗い流してみても、いったいどこから血を吸ったのか、痕はまったく残っていなかった。

周囲がすっかり明るくなってから、今度はしっかりと靴を履いて1人でダンプスの村を散策してみた。なんとものどかな感じの村で、牛や馬があちこちで好きなように草を食べている。空気はきれいだし、普段早朝に散策することなど滅多にないので、なんだか気分がいい。

30分ほど散策した後、ゲストハウスに戻って朝食にした。建物の1階にある食堂からもヒマラヤの山々がきれいに見える。なんとも清々しい景色だと思う。

それから部屋に戻り、下山の準備をしてガイドを待つことにした。


朝7時半にダンプスを出発。帰りは下り勾配が続くので、歩いていてもそれほど疲れない。ガイドの後に続いて山の尾根や渓流に沿って歩きながら山を下りる。

途中、谷底に棚田が広がっているのを眺めることができた。かなりいい景色。

下の写真は下山途中にあった小さな建物で、学校ではないかと思うのだが詳しいことはわからない。このときは中には誰もいないようだった。

ダンプスから約1時間で国道沿いにあるノーダラという集落に到着した。トレッキングを開始したカーレとは別の集落で、帰りはここからバスでポカラに戻るという。行きが2時間、帰りが1時間の歩きで、それ以外は車やバスでの移動なのだから本格的なトレッキングには程遠いお気楽なものだが、しかし楽しかった。ポカラを旅行する際は手軽なトレッキングとしておすすめ。

やがてポカラへ向かうバスがやってきた。

車内は満員だったので屋根の上に乗ることになった。本来は荷物用のスペースだと思うが、混んでいるときは乗客も乗っていいらしい。屋根の上は風が涼しく、かなりいい感じ。

せっかくなのでガイドにカメラを渡して写真を撮ってもらった。

途中、バスの後部タイヤがパンクしてしまい15分ほど修理のため停車する間ずっと屋根の上で待っていないといけなかったりしたが、ともかくも無事にポカラの町に帰着した。ゲストハウスに戻り、行動を共にしたガイドに礼を言ってから別れ、いったん部屋に戻った。


部屋でしばらく休憩してから、外出してポカラを散策することにした。街中は相変わらず大勢の外国人旅行者が行き来しているが、フェワ湖畔は静かなもの。

湖を眺めていると、地元の若者が近づいてきて「葉っぱを買わないか?」と聞いてきた。葉っぱというのはもちろん大麻のことで、ネパールでは大麻の売人が現れるというのは聞いていたが本当に遭遇するとは思わなかった。

試しに見せてもらったところ小さな箱の中に乾燥させた葉っぱが詰めてあったが、もちろん本物の大麻かどうかはわからない。こちらは薬物に手を出すつもりはないので、断ったところすぐに立ち去って行った。(この売人は日本語の「ハッパ」と発音していたので、今までも多くの日本人旅行者に売りつけようとしてきたのだろう)

当初は夕方まで歩きまわるつもりだったが、なんだか疲れてきたので、いったんゲストハウスに戻った。そして部屋で休憩しているうちに早朝5時起きの影響が出て、夕方まで寝てしまった。


夕方4時半、再び外出して涼しくなったポカラを散策した。本当に、このポカラという町は昭和のころの日本のようで、歩いているとなんとも落ち着いた気分になる。

暗くなってきたころ、ゲストハウスの近くにある安食堂で夕食にした。今回の旅行ですっかりおなじみになったネパール料理の定番ダルバートを食べていると、周囲が突然停電した。このあたりでは停電はよくあることらしく、店員がすぐにロウソクを持ってきてくれたので、しばらくはロウソクの明かりで食事を続けることになった。

上の写真は停電中に撮ったものだが、この写真を見ると小汚い安食堂が高級レストランのように見えてしまうから不思議なもの。

ポカラは暗くなってからも特に危険そうな感じがする町ではないので、この後さらに周囲を散策した後、8時半にゲストハウスに戻った。