マレーシア旅行記(ポーリン温泉、キャノピーウォーク)

コタキナバル滞在2日目は市街から100キロほど北東にあるポーリン温泉へ行くことにしていた。温泉よりも「キャノピーウォーク」を歩くことが目的で、もともと高いところを歩くのは好きなので今回のマレーシア旅行でぜひとも行ってみたい場所だった。


朝9時半にホテルを出て、まずは近くにあるショッピングセンターのKKプラザへ。フードコートで朝食の後、インターネット店があったのでメールチェック等を行った。世界中たいていの場所に日本語が使えるインターネット店があるのだから便利な時代になったものだ。

11時ごろ、歩いてミニバスターミナルへ。通常の路線バスターミナルは市街から離れた場所にあるが、ミニバスターミナルは市街中心部にある。ターミナルといっても特に建物があるわけではなく、道路沿いにミニバスがたくさん並んでいるだけ。ポーリン温泉まで直接行くバスはなく、途中のラナウという町へ行き、そこでミニバスを乗り換えることになる。

乗り場へ行くと行き先ごとにミニバスが並んでいて、運転手たちが客集めをしていた。運転手に聞くと、すぐにラナウ行きのバスを教えてくれた。ミニバスといっても10人乗り程度のワンボックスカーで、乗客が集まってから出発するというシステムになっている。私が乗ったミニバスも、すぐに乗客が集まりラナウへ向けて出発した。ミニバスの利用者はかなり多いようで、各方面へ頻繁に発着しているので旅行者にとっても利用価値の高い乗り物といえる。運賃は出発前に運転手が徴収し、この区間は15リンギ(約500円)だった。

コタキナバル市街を抜け、大きなモスクの前と郊外の住宅地で数人の乗客が入れ替わり、あとはラナウへ向かう。この翌日に訪れる予定のキナバル公園前を通過し、コタキナバルから2時間半、快適なドライブを終えて午後1時半にラナウに到着した。このあたりは標高500メートルほどなので、コタキナバル市街と比べて少し涼しい。

下の写真がコタキナバルから乗ってきたミニバス。

ここで別のミニバスに乗り換え、ポーリン温泉へ。乗客は学校帰りらしい子供たちばかりで、みんな途中で降りていったのでポーリン温泉まで乗ったのは私1人だった。この区間の所要時間は30分で、運賃は5リンギ(約170円)。

では入場料の15リンギを払って中に入る。

少し進むと案内板がある。ここで温泉やキャノピーウォークの配置を確認し、まずはキャノピーウォークへ行くことにした。

やがてキャノピーウォークのチケット売り場に着いた。このキャノピーウォークはポーリン温泉の入場料とは別料金になっているので、ここでチケット(5リンギ+カメラ代5リンギ)を買って先へ進む。

周囲はしだいにジャングルになってくる。やはり熱帯の植物の生命力は凄い。

やがて上のほうにキャノピーウォークが見えてきた。

ここでキャノピーウォークがどういうものかを説明しておくと、ジャングルで動植物を観察するために木々の間に設置された空中通路のこと。TV番組 水曜どうでしょう の「マレーシア・ジャングル探検の旅」にも登場するので、知っている人もいると思う。番組で紹介されたのはマレー半島側のタマンネガラ国立公園だったが、このポーリン温泉にも同様のキャノピーウォークがある。

この番組を見てキャノピーウォークというものを知り、いつか実際に歩いてみたいと思っていた。今回のマレーシア旅行の主目的のひとつといえる。

やがてキャノピーウォークの開始地点に到着した。階段を上がったところに係員がいて、ここでチケットを見せていよいよキャノピーウォークを歩き出すことになる。キャノピーウォークの1区間(木と木の間)は同時に乗ることができるのは3人程度だそうで、この係員が次々と人が入っていかないように調整していた。

歩行中の風景。人間一人が歩ける幅しかない吊り橋で、実際に歩いてみるとこれが結構揺れる。高所恐怖症の人にはつらいかもしれないが、私はもともと高いところはそれほど怖くない人間なので、このくらい揺れるほうがスリルがあって面白かった。

さすがにこの高さからだと樹木の葉先などをよく観察できる。

通路の中継地点はこんな感じ。木の上にステージが作ってあって、一休みできるようになっている。私はキャノピーウォークを歩ききってしまうのがもったいなかったので、ここでゆっくりしているうちに次々と他の人に追い抜かれていった。

中継地点から見たキャノピーウォークの通路。この角度で見ると通路の細さがよくわかると思う。

キャノピーウォークから下を見下ろすと、こんな感じ。通路の高さは40メートルほどで、こうして見ると高さが実感される。

自分の足元を見下ろしたところ。高所恐怖症の人にとっては、こういう写真を見ただけでも怖くなるかもしれない。

通路の総延長は150メートルほどだが、すぐに渡ってしまうのがもったいないので出口にたどり着くまで30分以上かかった。もともとはジャングルのバードウォッチングや植物の観察を目的としたものだが、スリルを楽しむアトラクションとしても面白いと思う。


キャノピーウォークを終えてポーリン温泉へ戻り、夕方まで周囲を散策することにした。このポーリン温泉は、もともとは戦争中に旧日本軍が発見して浴槽を作ったのが始まりだそうで、現在でもコタキナバルから気軽に出かけられる行楽地として整備されている。

温泉といっても日本の温泉とは違い、外国では良く見かけるような温水プールになっていて、地元の人たちが大勢入浴を楽しんでいた。プールも大きなサイズから1人用まで、様々な種類が用意されている。

水温はどうかというと、日本の温泉を基準に考えるとちょっとぬるい。源泉はかなり熱いらしいのだが、ここは日本式の入浴というよりも温水プールとして楽しむところだと思うので、このくらいの水温になっているのだろう。

水着のレンタルもあるようだが、私は下の写真に写っている足湯に入るだけにしておいた。これだけでもかなり気持ちのいいもの。

下の写真は温泉の近くで見た植物。名前はわからないが、日本では見たこともないような花が咲いていたり、ヤシくらいの大きな実がなっていたりして楽しめる。植物には詳しくないので、この花の名前を知っている人がいたら教えてほしい。

このポーリン温泉の周辺では、まれにラフレシアの花が咲いていることもあるそうだが、今回は見ることができなかった。まあ、よほど運がよくないと見ることができない花なので仕方がないだろう。

4時半ごろ、コタキナバルへ戻ることにした。入口のチケット売り場でラナウ行きのミニバスがないか聞いたところ、ちょうどそのバスが近くの駐車場から出発するところだった。運転手に聞いたら1人分だけ席が空いていたので助かった。

30分ほどでラナウに到着し、ここでコタキナバル行きのミニバスに乗り換え。

ラナウから2時間半、すっかり暗くなった7時半にコタキナバルに帰着した。ラフレシアは見ることができなかったが、キャノピーウォークは面白かった。コタキナバルから片道3時間かかるが、特に高いところが好きな人はぜひ訪れてみてほしいと思う。


冷房の効いたKKプラザのフードコートでアイスコーヒーを飲み、しばらく休憩してから夕食に出かけることにした。前日は歩き疲れたため屋台街へいくことは諦めたが、やはりコタキナバル滞在中はぜひとも行かないといけない。屋台街はコタキナバル市街の南端、プロムナードホテル前の海沿いにある。

マレーシアは比較的治安のいい国なので、暗くなってから外を歩いても特に危なく感じることはない。20分ほど歩いて屋台街に着くと、テントの中に十数軒の屋台が並んでいた。

写真を見ればわかる通り客が意外と少ないが、これはすでに9時過ぎという時間のためと思われる。マレーシアはイスラム教徒が多い国なので、屋台のメニューにもアルコール類は一切なく、日本のように遅くまで酒を飲んで騒ぐような習慣はないのだろう。

メニューを見てみるとシーフードが多いようなので、とりあえずシーフード料理とナシ・ゴレンを頼み、あと鳥の手羽先がうまそうだったので一切れ注文してみた。飲み物はジュースやコーヒー等だけで酒類はまったくない。ここではミルクティーを選んでみた。これで値段は13.2リンギ(約440円)。

夕食の飲み物がミルクティーというのも、日本人の感覚からすれば奇妙に思うかもしれないが、ここでは特に珍しいことではない。近くのテーブルで男性4人が仕事の打ち上げのような雰囲気で食事をしていて、こういう場合は日本ではビールが普通だと思うが、ここでは4人ともミルクコーヒーだった。夕食にビールを飲まないと物足りないと思うような人は、イスラム教の国へは来ないほうがいいかもしれない。私はもともと酒はそれほど飲まないほうなので特に問題はないが。

注文した手羽先、シーフード料理(エビ、イカ、貝類の煮物)、ナシ・ゴレンの味はまずまず。マレーシアやインドネシアで一般的なナシ・ゴレンとは、要は焼き飯のこと。他に「ミー・ゴレン」という料理もあるが、これは焼きそばのことで、翌々日に食べることができた。

500円以下でこれだけ食べられるのだから、十分満足できた。やはり食に関してはアジアの屋台が一番だと思う。

夕食後、途中の路地を散策しながら夜10時にホテルに戻った。