マダガスカル旅行記(モロンベ~アンタナナリボ)

モロンベ滞在最終日。この日でマダガスカル南西部を離れ、首都のアンタナナリボへ移動することになる。今回のマダガスカル旅行ではバオバブの木を見るために南西部に集中して滞在したが、この近辺でしか見られないような奇妙な形をしたバオバブを多数見ることができた。


朝食後、部屋で荷物をまとめて待っていると9時半にスタッフが呼びに来た。3泊したホテルをチェックアウトし、宿泊料、夕食代、車のチャーター料等、総額466,500アリアリ(約28,000円)を支払う。ちなみにマダガスカルでは最高額紙幣が10,000アリアリなので、これだけ支払うと数十枚の札束になる。

すっかり顔馴染みになったスタッフに別れを告げ、こちらもお馴染みのドライバーが運転する車に乗り込んだ。この Hotel Baobab は、スタッフに英語がまったく通じずに苦労した面はあるが、設備等はかなりいいホテルだったと思う。フランス語が話せるのであればモロンベ滞在の際にはお勧めといえる。

10分ほどで空港に到着し、2日間行動を共にしたドライバーに別れを告げて建物の中へ。私が今までに見た中でもっとも小さな空港なので、空港スタッフは数人しかいない。チェックインを行ってしばらくベンチで待機していると、やがてモロンダバからの飛行機が到着した。

10時25分に離陸し、経由地のモロンダバへ向かう。飛行機は15人乗りの小型機で、乗客は半分ほど。今はまだモロンベはマイナーな町で、マダガスカル旅行中に訪れる人は少ないようだが、いずれは人気が高くなってくると思われる。

下の写真は飛行中の眺め。広大な河口と干潟が次々と現れる。

約50分のフライトでモロンダバ空港に到着した。ここで別の飛行機に乗り換えるのかと思ったら、どうやらこの飛行機がこのままアンタナナリボまで行くらしい。ただ、そのまま飛行機に乗っていることはできず、乗客全員が再搭乗券のようなカードを渡されていったん外へ出された。

ターミナルの待合室ではモロンダバを回ったときのタクシー運転手と再会したりしたが、あっという間に搭乗時刻になり、急いで飛行機に乗り込んだ。ここからは機内は満席になり、11時半に離陸してアンタナナリボへ向かった。

火星の表面のような赤茶けた大地の上を飛行し、モロンダバから1時間半でアンタナナリボの IVATO 国際空港に到着した。4日ぶりにアンタナナリボへ戻ってきたことになる。


空港からタクシーでアンタナナリボ市街へ向かう。街中の様子はなんとなく雑然とした感じなのだが、ここでは以下のことに激しく感動した。

道路がきれい!

道路に穴がなく、きちんと舗装されているということにこれほど感動するとは思わなかった。さすが首都だ。

蛇行と振動のない快適な移動を終え、市街中心部に到着した。タクシーを降りたのはツーリストインフォメーションセンターの前で、とりあえずここで周辺にある中級ホテルを紹介してもらうことにしていた。

中に入ると、係りの女性が30~50ユーロクラスのホテルリストを見せてくれた。この中から、女性が「このホテルがきれいでお薦め」という “SAKAMANGA HOTEL” へ行ってみることにした。

このホテルはツーリストインフォメーションセンターから歩いて5分ほどのところにあり、確かにかなりきれいそうなホテルだった。

中に入り、泊まれるかどうか聞くと「2日間通して空いている部屋はないが、部屋を移動してよいのであれば2泊できる」ということだった。値段は1日目が44ユーロ、2日目が38ユーロで、こちらとして特に問題はないのでここに泊まることにした。

部屋に案内されてみて、あまりの広さに驚いた。

これで44ユーロ?

ダブルベッド、ソファー、テレビ、冷蔵庫、机まで置いてあるこんな広い部屋(ただしバスタブはない)が1泊6,000円弱とは、相当にお得といっていいだろう。私が今まで外国で泊まったホテルの中ではジンバブエ・ビクトリアフォールズの “THE KINGDOM”(5つ星)がもっとも豪華だったが、この部屋はそれに匹敵する。アンタナナリボでは安宿ではなく中級ホテルに泊まることにして正解だった。


しばらく休憩した後、市街を散策することにした。ホテルの前の坂道を上がり、しばらく歩くと高級ホテルが並んでいる高台に出る。アンタナナリボは「丘の町」なので、市街にはこういう高台があちこちにある。

ここから下り階段が丘の下まで続いていて、下界には「アナラケリー・マーケット」という食料品や雑貨の市場が並んでいるのが見える。その先は別の丘になっていて、上り階段が続いている。

一直線に続いている階段のアップ。これまで人が少ない南西部を旅行してきたので、これほど多くの人が歩いている風景というのはマダガスカルで初めて見る気がする。階段を端から端まで往復してみた。

階段の途中にはたくさんの物売りがいるが、地面に並べてある品物を見ても観光客向けではなく地元民向けがほとんどなので、外国人が歩いていても声をかけられることは少ない。おかげで、ここでは周囲の風景を楽しみながらゆっくりと歩くことができる。

階段の下にあるアナラケリー・マーケットのアップ。

ちょうど、この旅行でサブバッグとして使っていたリュックサックのファスナーが壊れたところだったので、ここで新しいリュックサックを買ってみた。小さな方位磁石までついていて外見はかなり良さそうだったのだが、すぐに方位磁石が外れてなくなってしまい、リュックサック自体も数ヶ月であちこちが破れて使えなくなってしまった。まあ、予想通りというところか。

散策の途中、マーケットにあった食堂でパイとジュースの軽食にした。マーケットには、こういう客が数人入ると満員になるような小さな食堂が並んでいる。味はまあまあ。

階段を登って元の高台に戻り、今度は階段と反対側の坂道を下りていくと湖がある。「アヌシ湖」という周囲の長さが2キロほどの人造湖で、しばらく湖岸に沿って歩いてみた。

湖岸ではジャラカンダという紫色の花が満開になっていた。ちょうど今の時期がシーズンらしい。

この後、アナラケリー・マーケットに戻り、周辺を散策して過ごした。人が多すぎて写真は撮れなかったが、野菜や果物などはかなり豊富に並んでいた。こういうマーケットを散策するのは、やはり面白いものだ。

ここから北西に歩くと「独立大通り」という芝生の中央分離帯を持つ通りがあり、その先に鉄道駅があるのだが、そこは翌日に行ってみることにして、この日はそこまで歩くのはやめておいた。

午後6時ごろ、そろそろ薄暗くなってきたので散策を終えてホテルへ戻ることにした。その途中「アリラン」という韓国料理のレストランがあったので、ここで夕食にした。外国ではなるべくその国の料理を食べることにしているが、今回は魚のグリルばかりが続いて飽きてきていたこと、周辺に良さそうな食堂が見つからなかったことから、この韓国料理店に入ってみた。

ビール、ピビンバ、キムチ、コリアンティーを頼んで18,500アリアリ。

日本でも食べられるような料理をわざわざ外国に来てまで食べるのはどうかと思っていたが、たまにはこういうのもいいかもしれない。

レストランを出ると外はすでに真っ暗になっていたが、道路のあちこちに屋台が出ていて地元の人たちも大勢歩いていたので危なそうな感じはしなかった。小さな食料品店で日本への土産として缶ビールを数本買い、歩いてホテルに戻った。(酒が好きな人に対しては外国の缶ビールはいい土産になる)

せっかく豪華な部屋に泊まっているので、ソファーにゆったりと座ってコーヒーを飲みながらテレビを眺めるという安宿では味わえないような優雅な気分を楽しんだ後、シャワーを浴びて寝ることにした。