マダガスカル旅行記(モロンダバ / バオバブ並木道)

いよいよバオバブ並木道へ向かう。今回のマダガスカル旅行では「モロンダバのバオバブ並木道」「モロンベの巨大バオバブ」「アンダバドゥアカの海」「シファカが横っ飛びで移動する光景」の4つを見ることが主目的なので、まず最初の目的を達成することになる。

メナベ公園から10分ほど走ると、水田が広がる景色の中にバオバブの木が見えてくる。遠くに点在するバオバブを眺めることのできるビューポイントで車を停めてもらい、写真を撮ってみた。

左下の写真などは、まるで草原の中に作り物の木が立っているような景色になっている。マダガスカルらしい景色。

さらにバオバブ並木道へ向かう途中で見た景色。根元のあたりで二つに分かれたバオバブの写真を撮っていると、ちょうど牛車がやってきた。こういう牛車はタクシーの中からも何度も見かけたし、ここでは牛車や馬車が現役で大活躍していた。

バオバブを見上げたところ。この通りバオバブの木はほぼ垂直なので、道具を使わずに登るのは無理だと思う。

幹の表面はかなり硬いが、聞くところによると内部は水を溜める貯水槽の役割があるそうで、わりと柔らかいらしい。そのため、バオバブの木は建築用には適さないという。

表皮が硬くて切りにくいことと、建築に適さないことが、人間に切り倒されることなく現在までバオバブの木が残されている理由なのだろう。


いよいよ、バオバブ並木道に到着した。最初に見た景色を大きなサイズで載せておく。「マダガスカルといえばこの景色」といっていいくらい、有名な景色といえる。

いやあ、実際に見るとやはり感動的な景色だ。この景色を見るためにマダガスカルへ来たようなものなので、ここに立った時は本当に感動した。私が今まで旅行中に見た景色の中でも、ベスト3に入ると思う。

両側に立っているバオバブを見ながら、並木道をゆっくりと往復してみた。まだこの時間は観光客が少ないので、落ち着いて見ることができる。それにしても、こうして見るとバオバブというのは本当に「木を引き抜いて逆さに植えたような姿」だと思う。このように、今までテレビや写真でしか見たことのない景色の中を歩いているということに自分でも感動する。

この並木道の横には、ちょっとした池というか湿地帯がある。この水面にバオバブが逆さに映っている光景がかなりきれいだと思ったので、何枚か写真を撮ってみた。この池の周りには牛が放牧されていたりする。

バオバブと動物。ここでは牛追いの少年たちも何人か見かけた。みんな小学生くらいの年代で、日本とは違ってこのくらいの歳から働いているわけである。左下の写真に写っているのもその一人。

並木道の近くに小さな民家が何軒かあり、このあたりでは子供たちが地面に座って何やら遊んでいて、写真を撮っている観光客を興味深そうに見ていた。

今回、マダガスカルを旅行して感じたのは地元の人たちがほとんど観光客ずれしていないということ。このような有名観光地には必ずといっていいほど土産物売りが現れるものだと思っていたが、ここでは予想に反して土産物売りはまったく見なかった。ここにあったのは観光客を連れてくるタクシー運転手向けの小さな屋台(コーヒーなどの飲み物のみ)が1軒だけ。これはすごいことだと思う。

私が乗ってきたタクシーの運転手がここでコーヒーを飲んでいたので、私もコーヒーを頼んだところ、この運転手が当然のようにコーヒー代を払ってくれた。ここもこれから観光客が増加していくことが予想されるが、すれることなく親切な人たちでいてほしいものだ。

やがて日没が近づいてくると、しだいに観光客が集まってくる。そして、そのうちの半分近くが日本人だった。本当に、日本人旅行者は世界中どこにでもいるものだ。

集まってきた観光客にとって、お待ちかねの夕焼け。本当に、今まで旅行中に見た中でも屈指の景色といえる。この夕焼けを見るために世界中から観光客が集まってくるわけだが、このような秘境まで来る価値は十分ある。もっとも、世界中から集まってくるといっても年間で数万人だそうだから、観光客でごった返すというほどではない。

以下の4枚の中でも、右下の写真は今回の旅行中に撮った写真の中でもかなりお気に入りの1枚。

この付近一帯は、かつて森林だったそうである。人間が森林を切り開いていく際、切りにくいバオバブを残して他の潅木を切っていった結果、現在のようにバオバブが点在する景色が生まれたという。それを考えると、こういう景色が見られることを喜んでいいものか、なんとなく複雑な気持になることも確か。

私がバオバブ並木道に滞在していた時間は4時半~6時の1時間半。太陽も沈み、暗くなってきたので、名残惜しかったがこれで帰ることにした。再びタクシーに乗り、モロンダバの町へ戻ると一部の食堂などを除いて町全体がほぼ真っ暗で、まだ7時前だというのに出歩いている人もほとんどいない。そういえば、昼間タクシーに乗っていたときも街中で街灯をほとんど見なかったような気がする。この街では暗くなったらみんなすぐに家に帰るのだろう。

真っ暗な市街中心部を通り抜け、午後7時前にホテルに帰着した。


ホテルの外にも街灯などはないので、もう完全に真っ暗になっている。ホテルのレストランしか食事をする場所がないので、やや高いとは思うが、昼に続いて夕食もここにした。旅行のときくらいしか飲むことのないビールを頼み、夕食代は26,000アリアリ(1,600円ほど)。

それにしても、この国では車での移動はたいした距離ではなくてもなんだか疲れる。シャワーを浴びた後、少し本を読んでから寝ることにした。

下の写真は昼間はベッドの上で結んであった蚊帳を下ろしたところ。

実を言うと私は今まで蚊帳には縁がなく、実際に使うのはこれが生涯初になる。特に何も考えずに結び目をほどいて下ろしたところ、中に入ったら目の前を蚊が飛んでいて驚いた。蚊帳というものは下ろす際にもコツが必要らしい。

しかし蚊帳の中に蚊がいると、出て行かないため非常に不安になる。なんとか退治して、それから虫除けスプレー(マダガスカル旅行の必需品ということで日本から持参していた)を手足に吹き付け、ようやく安心して寝ることができた。マダガスカル到着初日は、これで終了。