ヨルダン旅行記(死海)

バプティズム・サイトから砂漠の中を南下すると、やがて死海が見えてくる。かなり大きな湖で、有名観光地だけあって湖岸にはところどころにリゾートホテルが建っている。

今回のヨルダン旅行の目的のひとつが「死海で浮くこと」なので、まず最初の目的を果たすことになる。


到着したのは「アンマン・ビーチ」という公共ビーチ。ここは地元ヨルダンの観光客も多く訪れる有料ビーチで、12ディナールでチケットを買い中に入る。

大きなプールと、それに面してレストランがあり、ここで昼食にした。すでに1時半ということで空腹だったので、ビュッフェ形式ということもありかなりたくさん食べることができた。

レストランからはプール越しに死海が見える。プールが設置されているのは意外だったが、死海で泳いだ後に塩分を洗い流すためという理由もあるのかもしれない。

昼食後、運転手から2時間後の午後4時に出発するので、それまでは自由行動と伝えられた。そこで、更衣室で着替え、さっそく泳ぐことにした。

死海の対岸はイスラエルになる。

湖岸まで下りると点々と人が浮いていた。今は観光シーズンから外れているのか、予想より人が少なく、これならゆっくりと浮遊体験を楽しめそうである。写真ではよく伝わらないかもしれないが、みんな見事に浮いている。

こういう「テレビや写真などでよく見かける光景」も、実際に目の前で見ると感動するもの。

波打ち際には塩の結晶が溜まっている。そのため、ここを歩くと足の裏が少し痛い。

噂に聞いていた通り、死海の水は少しとろっとした感じで普通の海水より粘度が高いという感じがした。怪我をしていたりすると小さな傷であっても滲みて相当に痛いそうだが、ここ数日ほど怪我に対して細心の注意をしていたおかげで浸かっても特に痛くはなかった。

死海へ来た旅行者のほとんどがやってみることだと思うが、私も死海の水を舐めてみた。味はどうかというと、塩辛いなどというレベルではなく、圧倒的に苦かった。この苦さは予想以上で、今までこんな味は経験したことがない。

今思えばペットボトルを準備しておいて死海の水を土産に持ち帰ればよかったのだが、このときはなぜかまったく思いつかなかった。いつかイスラエル側から死海を見てみたいので、その時に持ち帰ることにする。

ビーチは遠浅なのだが、あまり先までは歩いて行けない。というのは、水面が腰のあたりまでくると体が浮き上がりそうになってしまうため。死海の浮力というのは実際に体験してみると予想以上だった。

そこで、周囲の人たちと同じように仰向けに浮かんでみることにした。浮力が相当に強いので、体がまったく沈まない。水面を漂っていると、宙に浮いているような感じでかなり気分がいい。この気分はなかなか他の場所では味わえないと思うので、気になる人は死海へ行ってみてほしい。

下の写真が浮遊中の光景。同じツアーのインドネシア人男性にカメラを渡して撮ってもらった。

ちなみに死海の水が目に入ったら大変で、かなりの激痛が走ることになる。涙で流せるようなものではなく、すぐに水で洗わないと大変ということは事前に知っていたので、これに備えて日本からゴーグルを持参していた。

これを使い、おそらくほとんどの人はやったことがないと思われる「死海でクロールで泳ぐ」ということを試してみたのだが、死海はそう甘くはなかった。顔をつけてみると、目は大丈夫だが唇が非常に痛い。残念ながら諦めざるを得なかった。

下の写真はカメラを底の近くに近づけて撮ったもので、湖底がかすかに写っている。死海での浮遊体験と旅行後半のアカバでのシュノーケリングに備えて、日本から使い捨てタイプの防水カメラを持ってきていた。死海の水の透明度はそれほど高くはない。

もうしばらく浮いていたかったが、時間が2時間しかないので、これでビーチから引き上げることにした。効率よく行動できるのはいいが、やはり行動が慌ただしくなるのがツアーの欠点だと思う。

塩分を洗い流す必要があるが、一応ビーチにはシャワーがあるものの半分ほどが故障している。さらに動作するものも水の勢いが非常に弱いので、シャワーは諦めてプールに入ることにした。

プールで泳ぎながら塩分を流した後、更衣室で着替え、午後4時すぎに死海を出発した。やや慌ただしい滞在だったが、死海での浮遊体験はかなり楽しかった。いつかイスラエル側からも死海を見てみたい。


アンマンに戻り、午後5時、ホテル前に帰着した。行動を1日共にした運転手に礼を言って別れ、しばらく部屋で休憩。

夕方6時、夕食のために外出し、キング・ファイサル通り付近を散策してみた。どこで夕食にするか迷ったが、この日は「ハーシェム」という安食堂に入ってみた。

下の写真は店主に断ってから調理中の風景を撮らせてもらったもので、油で揚げているのは「ファラーフェル」という豆とスパイスのコロッケ。

このファラーフェルを4~5個つぶし、野菜やヨーグルトソースと一緒にパンにはさんだものがヨルダン料理の定番らしく、旅行中あちこちで食べることになった。結構ボリュームがあり、2個食べれば満腹になる。

このハーシェムレストランの向かい側に「クリフホテル」がある。以前からバックパッカーの間で有名な安宿だったそうだが、近年ある事件のためにニュース等で報道されたため、一般の人も聞いたことがあるかもしれない。2004年にイラクで香田証生さんという人が殺されるという事件があったが、あの香田さんがイラクへ行く前に最後に泊ったのがこのホテル。クリフホテルにはヨルダン滞在最終日に泊ってみることにしている。

この後、周囲をしばらく散策し、夜7時半にホテルに戻った。アンマンは非常に治安がいいので、暗くなってから歩き回っても問題ない。翌日はアンマンを離れ、次の目的地のペトラへ行くことになる。