怪しい少年少女博物館の次の目的地は伊豆アンディランド。日本でも珍しいカメに特化した水族館ということで、興味があったので訪問してみた。
(注)伊豆アンディランドは2012年に「体感型動物園 iZoo(イズー)」と名前を変えてリニューアルオープンしている。テレビ東京の「池の水ぜんぶ抜く」で捕獲された外来種のカメを引き取っていることから、今は知名度も上がっているはず。おそらく、伊豆アンディランド時代とは内容が変わっていると思うので、このページは2009年当時の風景として見てほしい。
伊豆アンディランド
歩いて城ヶ崎海岸駅へ戻り、河津駅へ移動。このとき乗った列車は、片側の座席がすべて海のほうを向いていた。なかなかの眺望だと思うが、すでに乗客で埋まっていたので反対側の座席を利用。
河津駅で下車。ここからアンディランドへは、おそらくタクシーで移動したはず。駅から2.4kmほどなので歩けなくはない距離だが、歩いた記憶がない。
なぜこういう書き方なのかというと、この旅行記を作成しているのが14年後の2023年だから。正直言って記憶がかなり曖昧なので、間違っている記述があったら容赦してほしい。
では、チケットを買って中へ。当時の料金がいくらだったかも憶えていない。
カメ専門だけあって、建物内には各種のカメが展示されていた。こちらは白スッポンで、説明書きによればかなり珍しいらしい。
ガラス越しではなく、池のカメも眺めることができた。
重なっているカメもいた。交尾?
しかしカメといえば交尾を連想するのはなぜだろう。
屋外に出て、少し歩くと「かめレース」の会場があった。
各コースにカメがスタンバイしていて、どのカメが一番早くゴールにたどり着けるかというもの。適当に番号を選んで(たしか2番だったと思う)、スタートを待つ。
たいして期待していなかったが、これが意外な盛り上がり。競馬みたいでなんだか楽しくなった。
しかし前述の通り旅行記を書いているのは14年後。写真に写っている子供たちも成人している頃だし、自分もそれだけ歳を取ったことを改めて感じる。
レース結果はどうだったかというと、なんと選んだカメが1着でゴールして的中。まさかの結末に、まるでダービーを的中させたかのような気持ちになった。景品はビニール製のカメの玩具。
妙に嬉しい気分のまま、先へ進むと柵の向こうになぜかツルがいた。「カメがいるからツルも」ということなんだろうか。
さらに歩いていくと海岸に出た。ここから敷地内に入ってくる人がいそうな感じだが、問題ないんだろうか。
ここで引き返し、あちこちで飼育されているカメを見ながら園内を散策。再び建物の中に入ると、こういうエリアがあった。名前は「三界の美術館」。
水族館には不釣り合いな美術館だが、下に書かれている「霊界・極楽・地獄」から連想できる通り、ここを作ったのはこの人。
しかし、今となっては丹波哲郎が「霊界の宣伝マン」などと自称していたことを知らない人も多いはず。亡くなってから長い年月が経つし。
実を言うと、ここにこういう美術館があることは事前に知っていて、それも伊豆アンディランドを旅行先に選んだ理由。
では、閻魔大王に挨拶してから中に入る。
内部は「地獄界」「極楽界」「霊界」の3つのエリアに分かれていた。
まずは霊界へ。
3つのエリアとも、内容は絵画の展示がメイン。
どの絵もカラフルできれい。絵画には詳しくないのでわからないが、こういう技法はなんという名前なんだろう。
こちらは「霊界の結婚」。霊界の結婚式では全裸なんですね。
「霊界の結婚」の説明によると「結婚を祝福するため、上空から美しい天使が舞い降りて、輪になって天使の舞いを舞う。輪の中心からは太陽の輝く光が二人に向かってさしている」だそうです。
こちらの女性が半透明なのは「エーテル体」だからだそう。
説明書きによれば「霊界に生きる人々はクリスタルのように輝くエーテル体と呼ばれる透明な体を持っている」「エーテル体には宇宙最高のエネルギーである霊魂が含まれている」「霊界はすべて霊界の太陽によって活性化されており、霊人が永遠の生を受ける源となっている」だそうです。
「霊界の人たちがエーテル体なら、さっきの結婚の場面ではなんで半透明ではないんだろう」などと思ってはいけないのでしょうね。
うろ覚えだが、この絵は「極楽界」だったと思う。
ここからは地獄界を紹介。内容は「八大地獄」の絵がメイン。
「等活」「黒縄」「衆合」「叫喚」「大叫喚」「焦熱」「大焦熱」「阿鼻」の順に、それぞれの絵画を観賞。
しかし「どの罪を犯した者がどの地獄へ堕ちる」という説明を見ていると、死後は地獄以外に行きようがないようにも思えてくる。これらの罪にまったく該当しない人がいるんだろうか。
などと思っていたら、ちゃんと救済措置は用意されていた。虫などの殺傷は「懺悔すれば大丈夫」、飲酒は「酒に毒を入れて人殺しをしたり、他人に酒を飲ませて悪事を働くように仕向けたりすること」になっていて、単に酒を飲むだけなら大丈夫らしいので一安心。
異形の生き物に食われる亡者たち。近くで見ると、かなり生々しい。
3つのエリアを何度も行き来しながら絵画を観賞。どの絵もよく描かれていて楽しめた。B級スポットと言ってしまうのは気が引けるが、こういう場所は他にないと思う。訪問してみてよかった。
三界の美術館を出て、建物内を歩いていると巨大なカメのオブジェがあった。これは映画「ガメラ」の撮影で使われた模型だそう。
頭の中が霊界と地獄極楽で一杯になっていたので、ここで「そういえばここはカメの水族館でしたね」ということを思い出した。
最後に土産物店へ。このアオリイカの模型は、買っておけばよかったと後になって後悔したもの。よくできていたし、これで2,630円なら安い。
これで伊豆アンディランドを後にして、次の目的地の「伊豆オレンヂセンター」へ向かうことにした。
というわけで、飼育されているカメというより丹波哲郎プロデュースの美術館の紹介がメインになってしまったが、しかし面白かった。この施設は今は名前とコンセプトが変わっているし、丹波哲郎も亡くなったので、この美術館は存在しないはず。過去の記憶として、こういう場所が存在したことを知っておいてもらえると嬉しい。
伊豆オレンヂセンター
伊豆アンディランドからタクシーで10分ほどのところに「伊豆オレンヂセンター」がある。国道沿いのドライブインといった雰囲気の場所。
まずは「ウルトラ生ジュース」を飲んで休憩。このジュースは「1杯飲んだら3年長生き」というのが宣伝文句。
この種の宣伝文句で一番笑えたのは、2000年5月の青森旅行の際に恐山で飲んだ冷水(ひやみず)の「死ぬまで長生き」。
ところで、わざわざタクシーでここへ来たのはみかんジュースを飲むことが目的ではない。このジュースを注文することで入ることができる「奥の院」が主目的。
続いてこちらの内容を紹介したいところだが、残念ながら写真撮影禁止。「浮世絵」「未成年者の入場は固くお断り」と書かれていることから、内容は想像できると思う。つまり、ここは秘宝館。
それほど期待してはいなかったのだが、展示品が予想以上に充実していてびっくり。この風景を写真で紹介できないのは残念だが、仕方がない。たくさんの春画の他、様々な玩具や人形などが展示されていた。
いくつか憶えているものを紹介すると、男根型の陶磁器(たしか、形状に応じていろんなタイトルが付いていたはず)、四十八手を再現した土人形など。それらが整然と並べられた眺めに感動した。
ありえないほど巨根に描かれている春画を見ながら奥の院を出たが、これだけのコレクションがあまり人に知られず存在しているのはもったいない。興味を持った人は、ぜひ直接訪問してほしい。
バスまたはタクシーで河津駅へ戻り(帰りはちょうどいい便があったのでバスに乗ったような気がするが、何しろ14年前なのよく憶えていない)、列車を乗り継いで三島駅へ戻った。翌日は修善寺で伊豆極楽苑を見て、熱海へ移動することにしている。
(2009.5.4)