ベトナム旅行記(パヒューム・パゴダ)

現地発ツアー参加の3日目。この日は「パヒューム・パゴダ」という寺へ行くことになる。旅行前にインターネットでハノイのことを調べているときに見つけ、雰囲気がよさそうだったので行ってみることにしていた。ハロン湾と並んで今回の旅行の主目的地のひとつになる。


7時50分にホテルに迎えが来て、ミニバスで出発。ツアー参加者は私を含めて2人で、もう1人は前日のタムコックツアーで一緒だった人だった。今回のガイドも若い男性だったが、前日のガイドとは別人で、かつて日本で働いていたことがあるということだった。

10時半にパヒューム・パゴダへ向かう船着き場に到着した。周囲には田園風景が広がっていて、何とものどかな雰囲気。

ここからパヒューム・パゴダがある山の麓まで小舟で川を下ることになる。前日のタムコックに続いて2日連続で手漕ぎの小舟でのクルーズになるが、今回の船のほうが少し無骨な感じがする。

では船に乗り込んで出発。船を漕ぐのは年配の女性で、結構な重労働だと思う。タムコックと同様、景色を眺めながら乗っていると少し恐縮する気持ちにもなる。

周囲の景色はこんな感じ。前日のタムコックほど切り立った岩山が迫っているわけではないが、それでもかなりきれいな風景といえる。風の音と水の音を聞きながらクルーズを楽しむことができた。

1時間半のクルーズを終え、船着き場に到着した。ここから緩やかな坂道を登っていくと、食堂や土産物店が何軒も並んでいた。おそらく、ここが参道なのだろう。なかなかいい雰囲気で、これは日本の大きな寺院の参道にも通じるものがあると思う。

パヒューム・パゴダは山の上にあるので、そちらへ向かう前にここで昼食になった。広いスペースに長テーブルがたくさん並んでいるという、レストランというより食堂という感じの場所で、料理は野菜炒め、川魚の煮付け、チャーハンなど。味はもちろんうまい。


昼食後、パヒューム・パゴダへ向かうことになった。パヒューム・パゴダは山の上にあり、ルートとしてロープウェイと登山道がある。ロープウェイは別料金になるが、両方を見たかったこともあり行きはロープウェイ、帰りは登山道を通ることにした。(もっとも、パヒューム・パゴダで時間を使いすぎたこともあり、結局は帰りもロープウェイになった)

食堂街から階段を上がったところにロープウェイ乗り場がある。この通り、設備はかなり新しそうに思える。

さすがにロープウェイは快適なもので、あっという間に頂上の駅に着いた。ロープウェイからは眼下に登山道が続いているのが眺められたが、かなり勾配が急に見えたのでロープウェイにして正解だった。

パヒューム・パゴダというのは、この山にある16の寺院の総称だそうで、その中で最大という洞窟寺院が近くにある。途中には供え物を売っている店が並んでいて、品物がいずれも金や赤の極彩色なので見ながら歩くと面白い。何か土産に買ってみようかとも思ったが、しかし供え物なので寺院に供えないと意味がないような気がして、やめておいた。

やがて階段の下に洞窟寺院が見えてきた。入口はかなり大きく、大きな鍾乳石が目立っている。インターネット上ではこの寺院のことを「喉ちんこ」などと形容しているサイトもあるが、たしかにそういう形状に見える。

こちらが大きな鍾乳石の近影。祭壇が作られていて、供え物が置かれている。

洞窟の中は、ロウソクの灯りと線香の煙の相乗効果で何だか聖域という雰囲気が漂っている。洞窟自体はそれほど奥行きはなく、最奥にはきらびやかな祭壇が作られていて参拝者が大勢座っていた。みんな熱心に読経を続けているので、写真を撮るのがためらわれるほど。

洞窟の中から外を眺めてみた。光の加減がきれいに見える。

この後、参拝者の邪魔にならないように控えめに洞窟内を散策してみた。寺院に参拝する際の手の合わせ方の作法としては、日本では手を合わせて動かさず、中国では手を上下に動かしまくりだが、ガイドの話によるとベトナムでは3回だけ上下に動かすということだった。

なぜここがパヒューム・パゴダ(香寺)と呼ばれているかというと、このあたり一帯では花のいい香りがつねに漂っているからということだった。もっとも、私にとっては線香の香りが強すぎて、そういう花の香りは感じられなかった。

帰りは麓まで歩く予定だったが、洞窟とその周辺がなかなか雰囲気のいい場所だったので長居しすぎて時間が足りなくなってしまった。そこで、再び別料金の40,000ドンを払ってロープウェイに乗ることにした。登山道を歩けなかったのは残念だが、仕方がない。

ここは日本人旅行者にはそれほど有名なスポットではないのか、日本人をほとんど見なかったのが意外だった。雰囲気のいい寺院だし、ハノイを旅行する際は訪れてみてほしいと思う。


麓に戻り、続いて近くの寺を散策した。門や本堂はなかなか立派な感じで、いつの時代に作られたのかは聞かなかったが、かなり由緒正しそうな感じがする。

しかしながら、この寺で最も目立っていたのがこれ。日本の狛犬のようなものと思われるが、なんと金色のライオンになっている。私も日本国内やアジア各地で様々な寺を見てきたが、こんなすごいものは初めて見た。造形もかなりリアルで、近くで見ると威圧感がある。

それにしても、最初に見たときはさすがに驚愕した。もっとも、日本の狛犬も守護のためにライオンの像を置いたのが起源とされているそうなので、むしろこの姿は正しいともいえる。(ただし、このライオン像は古くからあるものなのか、観光客用に最近作られたものかは分からない。よく見ると新しそうな気もする)

こちらが本尊。ガイドから本尊について説明を聞いたはずなのだが、先ほどのライオンのインパクトが大きすぎてよく憶えていない。

本堂の裏手に回ると、今度はこういうものがあった。なんだかチープな作りの龍とライオンで、よく見ると蛇もいる。ここまで来ると、むしろここは珍寺ではないかという気になってくる。

最初は「十二支が作られているのだろうか」と思ったが、しかし考えてみたら十二支に獅子はいない。

他にも亀が大量に飼われている池があったりして、最初に門と本堂を見たときは由緒正しい感じがしたが、よく見るとちょっと変わった寺だった。珍寺を見るのが好きな人は訪れて損はないと思う。

午後3時に船着き場に戻り、再び小舟に乗って元の場所に戻ることになった。小舟から撮った動画を載せておくが、のどかな雰囲気が伝わるだろうか。岸の近くにはアヒルも泳いでいる。

1時間半のクルーズで元の船着き場に帰着した。しかし船を漕いでいる女性は結構な重労働だと思う。1日に何往復しているのかは分からないが、たくましいものだ。

4時半にミニバスで出発。6時半にホアンキエム湖畔に戻ってツアーは終了。ガイドに挨拶して、いったんホテルに戻った。


夜7時に外出し、この日はホテルの近くの安食堂で夕食にした。注文したのはフォー・ボー(牛肉入りのフォー)とチャーハン。ちょっとチャーハンが油っぽかったが、味はまずまずうまかった。

この後、ホアンキエム湖畔をしばらく散策して8時半にホテルに戻った。