ベトナム旅行記(ハロン湾)

ハノイ滞在3日目。この日から3日続けて現地発のツアーに参加することになる。最初はハロン湾のツアーで、言うまでもなく世界遺産に登録されている景勝地。

ハノイへ来る旅行者のほとんどが訪れる場所だと思うが、私は3回目のベトナム訪問で初めて訪れることになった。今回の旅行の主目的地のひとつになる。


朝7時前に起床。前日はパスポートがなくてチェックアウトできなかったが、この日はちゃんとパスポートは戻ってきていた。朝食後、夕方まで荷物を預かってもらうことにしてロビーで待っていると8時にガイドが迎えに来た。前々日のハノイ半日ツアーと同様、今回のガイドも若い女性だった。近くに停めてあったミニバスに乗り込み、出発。

この後、いくつかのホテルを回ってツアー参加者を乗せていき、ハロン湾へ向かって出発した。参加者は10人ほどで、半分ほどは1人旅の途中ということだった。

ハノイ市街から2時間ほど走ったところで土産物店に立ち寄って休憩があった。ツアーの休憩スポットになっているらしく、多くの外国人観光客が歩いている。トイレに行った後、せっかくなので帰国後に配るためのコーヒー豆をいくつか購入した。

ハノイから4時間、昼12時にハロン湾の船着場に到着した。ベトナムの連休中ということもあって外国人だけでなくベトナムの人たちも大勢観光に来ているらしく、周辺は大混雑している。

港内にたくさん停泊している観光船を撮ってみた。イメージはジャンク船だと思う。

ガイドの女性が全員分のチケットを購入したところ、混んでいるため乗船まで少し待たないといけないということだった。少し周囲を歩いてみたかったので、待つのは問題ない。露店でアイスクリームを買い、40分ほど周辺を散策。

やがて乗船できるようになり、桟橋を歩いて船に向かった。これが今回乗った観光船で、船内の作りは意外と豪華。

上のデッキに上がると周囲を眺めることができる。操舵室も見えるが、不思議なのは観光客用の展望デッキの後ろ、少し低くなったところに作られていること。航行中は展望デッキ上は観光客であふれることになるので、これでは操船者は前がよく見えないことになる。普通、操舵室は前方が見渡せる位置に作られるものなので、操船者にとってこれほど死角が多い船は初めて見た。

午後1時に出航。奇岩地帯は沖合いにあるので、港を出てしばらくは海上をまっすぐ航行する。やがて遠くに島々が見えてきて、そのあたりが世界自然遺産に登録されているハロン湾の奇岩地帯になる。

島が近づいてくるとデッキ上には次々と観光客が上がってくる。この観光船はいくつかのツアーの相乗りなので、乗客は日本人だけでなく外国人も多い。

それにしても、操船者はこの状態でよく船を操れるものだと思う。観光客や椅子や机が邪魔になって前がよく見えないはずだが。

ここで乗り合わせた外国人旅行者が着ていたTシャツのデザインが面白かったので、こっそり写真を撮ってみた。この人は意味が分かって着ているのだろうか。

「かぶってるんだよ、キャラがな・・・」

まあ、たしかにキャラはかぶっている。人気投票したらどっちが上になるんだろう。

島の間に入っていくところの動画を載せておく。

島が点在する海域に入ると、周囲は奇岩が林立するようになる。「海の桂林」とも呼ばれているが、たしかに景色は水墨画のような感じ。テレビや写真で見たことのある景色も、実際に見てみると感動するもの。

この後、島々の間でクルーズを行った。天候が薄曇りなので、むしろ晴天より雰囲気がいいような感じがする。水墨画の世界をゆっくりと楽しむことができた。

クルーズの途中で浮き桟橋に接岸し、下りることができた。

桟橋に生け簀が作られていて、魚介類が入れられていた。ガイドの話によると、ここで購入した食材を船で調理してくれるという。ツアー参加者の何人かは購入していたが、私はやめておいた。

ここで見た食材のうち、もっとも独特の形をしていたのが下の写真の貝。ちょっとグロテスクにも見えるが、どうやって調理するのだろうか。

生け簀の底のほうにいたのでうまく写真が撮れなかったが、ここにはカブトガニもいた。日本では食用にすることは禁止されているが、東南アジアでは食材としても利用されている。

桟橋の周囲には果物を売っている船も多い。なかなかいい雰囲気。

桟橋の上で犬が熟睡していた。結構なご身分だ。

いったん船内に戻って昼食。チャーハンや春巻など一般的なベトナム料理で、わりと量も多く、味もなかなかよかった。向かい側に座った人がホーチミンから鉄道でハノイへ移動してきたそうで、列車の様子などを聞きながら食事をすることができた。素晴らしい景色を見ることができるというハイヴァン峠の車窓のことを聞いたところ、ちょうど激しい雨が降っていてまったく景色は見えなかったという話を苦笑しながら聞かせてくれた。

昼食後、小さなボートでしか入れない洞窟へ行くことができるということで、ガイドが参加者を集めていた。これは別料金になり10万ドンが必要だが、面白そうなので参加してみた。同じツアーの参加者も半数以上が参加していたようだった。

ボートに10人ほどが乗り、出発。下の写真の洞窟へ向かうと、周囲にはカヌーも点在している。

洞窟を抜けると、先は開けた水面になっていた。ほぼ円形に陥没した海域で、先ほどの洞窟だけで外海とつながっている。これで砂浜があれば「秘密のビーチ」という感じで人気が出そうだが、残念ながら周囲はすべて崖に囲まれていた。

円形の海域を一回りし、外海に出た。ほんの10分ほどのボートクルーズだったが、かなり面白かった。ハロン湾ツアーの際にこういう機会があればボートに乗ってみてほしい。

桟橋に戻り、船に乗り込んで出発。切り立った絶壁を見ながら島々の間をクルーズし、周囲の景色を楽しんだ。ベトナムの有名観光地だけあって景色はなかなかのもの。

島が密集している海域を抜け、続いて最後の目的地になる鍾乳洞へ向かう。石灰岩地帯なのであちこちに鍾乳洞があるそうで、そのうちのいくつかは観光用に整備されている。小さな島に船を着け、船を下りる。

階段を上がったところに入口があるので、そこまで歩いて向かう。

入口は狭いが鍾乳洞の中はかなり広く、ライトアップもカラフルなのできれいに見える。右下の写真に写っている特徴的な丸い岩は「おっぱい岩」と呼ばれているそうで、たしかにそういう形に見える。

洞内はアップダウンも大きく、わりと本格的な鍾乳洞だった。日本の三大鍾乳洞と比べても遜色ないと思う。個人的に鍾乳洞探検は好きなほうなので、かなり楽しめた。

鍾乳洞を出て、出口付近にあった展望所から船着場を眺めてみた。

船に戻り、島を出発すると後は港へ戻るだけになる。ツアー参加者とお互いの旅行のことを話しているうちに港内に入り、岸壁に接岸するときに事件は起こった。

ドーン!

船が岸壁に衝突した。速度はかなり落としていたものの、それでも相当な衝撃があり、棚の上にあったブラウン管型テレビが床に落下していた。同じツアーの参加者たちはまだ椅子に座っていたので怪我はなかったが、乗り合わせていた欧米人の老夫婦はちょうど立ち上がって歩き出したところだったので、2人とも転倒して足を挫いていたようだった。船内が騒然とする中、ともかくも岸壁に下船した。おそらく、あの落下したテレビ(上のほうに載せている船内の写真の奥に写っている)は壊れたと思う。

これは私の想像だが、おそらく最後にエンジンの後進が効かなかったのではないかと思う。通常、船を接岸させる際はエンジンを停止して惰力で進み、最後に後進に入れて停止させるというのが一般的な方法になる。このときも最後は惰力で進んでいたのだが、何らかのエンジントラブルで後進にうまく入らなかったのだろう。そうでないと、あの勢いで衝突するというのは考えられない。

岸壁から船を見ると、衝突したのが船のキール(竜骨)の部分だったので船自体には損傷はないように見える。ちょっと興奮状態になっているツアー参加者たちと感想を話し、待機していたミニバスに乗ってハロン湾を出発した。

帰りの車中、ツアー会社のアンケート用紙が配られてツアーの満足度などを回答するようになっていた。ガイドの対応等にも特に不満はなかったので褒め言葉を書いておいたが、せっかくなので「印象に残っていること」の欄に「最後の船の衝突」を追加しておいた。

周囲がすっかり暗くなった夜9時、ハノイ市街に到着してツアーは終了。


いったんホテルに戻り、預けていた荷物を受け取ってから出発。この日から別のホテルに泊まることになっているので、そこまで移動した。ホアンキエム湖の近くにある Lake View Hotel で、こちらが今回泊まった部屋。

設備もよく、滞在は快適だった。宿泊料金は1泊17ドル。

夕食がまだなので、外出して前日も歩いた旧市街のハンガン通りへ行ってみた。この日も人通りが多いが、すでに遅い時間なのでドンスアン市場前の屋台街はわりとすいている。チャーハンと麺類の夕食後、屋台でタピオカ入りジュースを買い、もうしばらく散策してみた。前日はホアンキエム湖畔のステージでイベントが行われていたが、この日はすでに終了していたらしくバイクの大渋滞なども見られなかった。

夜11時にホテルに戻り、シャワーを浴びて就寝。