ウズベキスタン旅行記(ヒヴァ / サーカス)

ヒヴァの旧市街を1日散策した後は、前日の夕方に見つけておいたサーカスを見ることにしていた。

かなりローカルなサーカスなので、それほどすごいレベルではなかったが、しかし現地の人たちに混じって地元の娯楽を観賞するのは本当に楽しいものだった。


夕方5時半にホテルを出て、まずはサーカスへ行く前に夕食にした。前日も訪れた「ナウルーズ」という小さなレストランで、今回はラグマン(中央アジア風うどん)、シャリシク(肉の串焼き)、サラダを注文した。ここのシャシリクは肉と脂身を串に刺して焼いたもので、酢をかけた玉ねぎと一緒に食べるとうまい。

シャシリクは店の前で主人の娘が炭火で焼いていた。かなりいい匂いが立ち込めていて、このシャシリクだけを買いに来る地元の人たちも多かった。

十分満腹になったので、チャイを飲みながら主人と少し話した後、挨拶してレストランを出た。


では、続いてサーカスへ。前日と同様、チケット売り場の前には人だかりができている。ここでチケットを買う必要があるのだが、この人たちには「列に並ぶ」という考えがまったくなく、とにかく早い者勝ちで窓口に殺到するという状況になっている。これでは強気に行かないとチケットを買えないので、窓口の上に書かれていた料金3,000スムを持ってとにかく前へ進んだ。前後左右から激しく押されるという状況の中、何とか腕を窓口の中に差し込むと、持っていた紙幣が抜き取られて代わりにチケットが渡された。

小さな窓口にどうにか腕を差し込むという状況だったので、チケット売り場のボックスの中にいたのがどういう人だったのか、男性なのか女性なのかも分からなかった。

これが、このとき入手したチケット。

では、チケットを見せてテントの中に入る。サーカスが行われる舞台は意外と狭く、周囲を客席が囲むという構造になっている。客席はすでに地元の人たちで満員で、後ろのほうにようやく空きを見つけて座ることができた。なお、やはりここでは外国人は珍しいらしく、周囲から好奇の目で見られることになった。

開演前はまだ外が明るいのでテントも明るく光っているが、時間が経つにしたがって暗くなっていくことになる。

午後7時に開演。音楽が鳴り響き、最初は女性ダンサーによるショーが始まった。衣装はなかなかセクシーなもの。

この後、ピエロによるコメディをときどきはさみながら、様々なショーが行われた。これらを一通り見た観想を正直に言うと、それほどたいしたレベルではなかったと思う。ときどき失敗したりしているし(好意的に見れば、これも演出なのかもしれないが)、中には「これって素人でも少し練習すればできるんじゃないの?」というものもあったりする。しかしながら、こういうレベルでも観客は大盛り上がりで、なんだか微笑ましいものだった。

下の写真は空中ブランコでテント内を飛び回る男性団員。

サーカスといえば動物もいるものだが、しかしながらここには猛獣といえる動物はまったくいなかった。登場したのはプードルと猿と蛇だけで、この点に関しては非常にしょぼかったといえるだろう。下の写真は、かなりズームアップして撮ったのでぶれてしまったが、プードルに芸をさせる女性団員。

ここまではそれほどたいしたレベルではなかったのだが、最後に見たマジックショーは面白かった。といっても目新しいものはなく、樽の中に油を入れて火をつけたら一瞬で火が消えて中から女性が現れたり、カーテンで覆った中で男性が消えたり、箱に女性を入れて串刺しにしたり、ありきたりなものが多いが、それでも実際に見ると面白いもの。普段、わりと大掛かりなマジックを見る機会などそうはないので、これはかなり楽しめた。

開演前にテント内を見渡したところ、女性ダンサーのショー、空中を飛び回る男性団員、マジックで布の中から次々とバラを出していく場面の動画を載せておく。最後に流れている BGM は「百万本のバラ」。

「百万本のバラ」 は加藤登紀子による日本語版が有名なので日本の曲と思っている人も多いと思うが、オリジナルはラトビアの曲で大国に翻弄される小国の悲哀を歌ったもの。

夜9時、サーカスは終了した。最後に希望者は団員との写真撮影(有料)ができる。地元のある家族の写真撮影風景を横で撮ってみた。

せっかくなので私も2,000スムを払って写真を撮ってみた。一緒に写ってくれた人は、格好等から見ておそらくはここの花形団員だと思う。首に蛇を巻いての写真撮影で、かなり貴重な写真を撮ることができた。

日本から来たことを団員の人たちに伝えると、皆かなり驚いていたようだった。まさか観客席に日本人がいるとは思っていなかったのだろう。「ハラショー!」と伝えると、かなり喜んでくれた。

ローカルなサーカスだったが、しかし面白かった。いつもヒヴァにいるわけではなく、おそらく各地を(もしかしたらウズベキスタンだけでなくロシアや中央アジア各国も)回っているサーカスだと思うので、今回見ることができて幸運だった。いつか、どこかでこのサーカスに出会うことがあれば、また観賞してみたい。

先ほどのレストラン「ナウルーズ」の前を通ると、まだ店は開いていて主人に呼びかけられた。立ち寄って、団員と撮った記念写真を見せるとなんだか感心していたようだった。翌日の早朝にヒヴァを発つので会うのはこれが最後になり、挨拶して別れた。いいレストランだったので、ヒヴァへ行くことがあれば立ち寄ってみてほしい。

城壁の中に入ると、カルタ・ミナルの周辺だけはいくつか街灯があるが、そこを離れると真っ暗になる。このことは事前にわかっていたので、用意していた懐中電灯を使って注意しながらホテルに戻った。シャワーを浴び、夜10時半に就寝。