ウズベキスタン旅行記(サマルカンド)

サマルカンド滞在2日目。この日はウズベキスタンでもっとも有名な観光地、サマルカンドを丸1日散策することにしていた。おそらくウズベキスタンを旅行する人のほとんどがサマルカンドへ来るはずで、ここでは日本人も多く見かけた。

サマルカンドの旅行記はネット上にもたくさんあるので、ここでは文章は少なくして写真を多く並べておくことにする。


朝10時にゲストハウスを出て、まずはレギスタン広場へ行ってみた。サマルカンドは2001年に世界文化遺産に登録されている。前日の夕方もここへ来たが、明るい時間に見ると雰囲気が違う。

なおレギスタン広場は入場料が必要で、11,500スムでチケットを買い中に入る。

広場の奥にティラカリ・メドレセ、両側にウルグベク・メドレセとシェルドル・メドレセが並んでいる。写っている人間と比較すれば分かるとおり、かなり巨大。

広場の中央から周囲を見渡した動画。撮影したときは気にならなかったが、改めて見てみると鳥の鳴き声が目立っていることに驚く。

きれいなタイルに覆われている建物の柱を見上げてみた。高さが実感できるだろうか。

シェルドル・メドレセの正面にはライオンのモザイクがある。偶像崇拝禁止のイスラムでは、このようなモザイクは非常に珍しいという。もっとも、言われてみないとこれがライオンとは気づかないと思うが(トラのようにも見える)。

ティラカリ・メドレセに入ると、中庭を建物が囲むような構造になっていた。メドレセといっても実際は神学校ではなくモスクとして使われていたという。建物はかなりきれい。

外国で顔出し看板を見るのは珍しい。日本人観光客向けかもしれない。

「ティラカリ」というのは「金で覆われた」という意味だそうで、建物の内部は金箔で覆われていて見事なもの。特にドームの天井は遠近法が用いられているそうで、丸みがより深く見えるようになっているという。

次第に暑くなってきたので、中庭の木陰で休憩。気候が乾燥しているので、日陰にいると驚くほど過ごしやすい。しばらく外に出る気がなくなるほど。

さらに広場周辺を散策。青のタイルで覆われたドームが本当にきれい。

気候が暑いので、ときどき日陰で休みながら2時間ほど歩き回った。場所は中央アジアだが、なんとなくアラビアンナイトの世界にいるような気分になってくる。

この後、前日に続いてラビ・ゴールで昼食にした。メニューはラグマンで、トマトスープのうどんという感じなので日本人にも合いやすいと思う。昼食にはぴったり。


いったんゲストハウスに戻り、中庭で休憩。ちょうど日本人旅行者がチェックインして部屋の準備ができるのを待っていたので、チャイを飲みながら少し話をした。タシケントから飛行機でヒヴァへ移動し、そこからブハラ、サマルカンドと移動してきたそうで、ブハラの話を聞いていると行かなかったのがもったいないような気もしてくる。もっとも、アラル海の跡を見るためにはブハラを諦めるしかなかったのだが。

その後、再度外出して今度はビビハニム・モスク方面へ歩いてみた。この通り、周辺の道路はきれいに整備されている。

9,000スムでチケットを買い、ビビハニム・モスクに入ってみた。かつて中央アジア最大だったというモスクの跡で、現在はいくつかの建物が復元されている。ちなみに、私がここにいたとき周囲の観光客の半分ほどは日本人だった。

これが修復された大モスク。世界最大のモスクを作ろうとしたティムール帝の意向で、各地から集められた建築家によってわずか5年ほどで作らたという。しかしながら、あまりにも巨大すぎて構造に無理があったことと、さらに工事を急ぎすぎたこともあり、完成後すぐに崩落が始まって廃墟になってしまった。無理をさせるとろくなことにならないという典型例。

外側はきれいに修復されているが、内部を見上げるとこんな感じ。鳥の巣になっている。

モンゴル軍によって徹底的に破壊されたサマルカンドを復興したのがティムールで、そのおかげで現在でも町が観光客であふれているわけだから功績はあるのだが、やはりこのモスクに関しては拙速すぎ。


ビビハニム・モスクの先にシャブ・バザールという市場がある。地元民向けの市場だが、ちょっとした観光名所になっているようなので中に入ってみた。

市場の中の様子。そこそこに賑わっている。

せっかくなのでリンゴと洋ナシなどの果物をいくつか買って外に出たのだが、後で確認したら釣りを少しごまかされていた。まあ、その場でしっかり確認しなかった私も悪いのだが。


さらに先へ歩くとシャーヒズィンダ廟群という場所があるそうなので、そちらへ向かってみた。遠くに、丘の斜面に墓が並んでいるのが見えている。

この付近で見た光景。この国では馬車や牛車が現役で活躍している。(首都タシケントでは、さすがにこういう景色は見なかったが)

横断歩道のない大通りを注意して渡り、ようやくシャーヒズィンダ廟群に着いた。レギスタン広場を並んでサマルカンドの有名観光地らしく、大型バスから欧米時観光客が次々と下りてきている。その人たちに混じって6,000スムでチケットを買い、中に入った。

ここは細い道に沿ってティムール一族の墓が並んでいるそうで、死者の街といったところ。入ってすぐのところにある階段は「天国への階段」と言われているそうで、たしかに天国へ登っているような気分になる。

並んでいる廟を見ながら奥へ進んだ。どれも装飾のタイルがきれい。

廟の中には墓が並んでいる。あまりにも白くピカピカなので、おそらくは修復されたのではないかと思う。11~14世紀の墓石がこんなにきれいとは思えない。ここだけなんだか作り物のように思えてしまうところが残念。

廟の中では敬虔なムスリムらしい人たちが熱心に巡礼を行っていた。単なる観光客にとっては作り物のような墓石が残念だが、イスラムでは重要な聖地なのだろう。邪魔にならないように、一通り廟の中を見学してきた。

廟が並ぶ道を抜けると、現代の墓地に出る。

ウズベキスタンでは墓石に故人の肖像を描くのが一般的らしい。夫婦の肖像やら全身像やら、どれも凝っているので見ながら歩くと面白い。

こちらは(おそらく)妻の肖像だけが描かれた墓石。このように、相手のためのスペースを残した墓石もたくさんあった。それにしても、相手のほうからすると、こういうものがあると自分がなんだか死ぬのを待たれているような感じがして落ち着かないような気もする。(まあ、余計なお世話だが)

さらに先へ進むと「ウルグベク天文台跡」という遺跡もあるが、さすがに歩き疲れたので、これで戻ることにした。


レギスタン広場に戻り、昼と同じくラビ・ゴールで夕食にした。メニューはいつもどおりシャシリクとスープとサラダで、ウズベキスタンでは毎日同じようなものばかり食べている。しかし、味はうまいので意外と飽きない。

少し薄暗くなってきたころ、レギスタン広場へ行くと新婚さんが写真撮影を行っていた。

カメラマンの注文に応じて、様々なポーズで写真を撮っていた。いいですねえ、楽しそうで。

こちらはライトアップされた噴水。きれいなのだが、ムイナクでアラル海の惨状を見た後だけに、こうやって大量に水が使われているのを見ると複雑な気持になる。

やがて暗くなってきたので、いったんスーパーマーケットに寄って土産等を買い込み、ゲストハウスに戻った。ウズベキスタン滞在も残り少なくなり、翌日は首都のタシケントに戻ることになる。