ウズベキスタン旅行記(サマルカンド~タシケント)

この日でサマルカンドを離れ、列車でタシケントへ戻ることになる。

来たときはバスだったが、ウズベキスタン滞在中に一度は鉄道に乗ってみたかったこともあり、タシケントまでのチケットは旅行前に手配していた。この区間が今回の旅行で唯一の鉄道での移動になる。


2泊したゲストハウスをチェックアウトし、主人に別れの挨拶をしてから外に出た。今回宿泊した「フルカット」というゲストハウスは、個人的には雰囲気がよく快適に滞在できた。しかしながら旅行後にインターネットでいろいろと調べてみたところ、ここの主人にセクハラにあったという話もいくつか見つかったので、女性の場合は少し気をつけるほうがいいかもしれない。宿泊は自己責任で。

ゲストハウスの近くからタクシーに乗り、駅へ向かう。運転手には英語はあまり通じないが、ロシア語の「ヴァクザール」と言えばすぐに目的地が通じた。

駅は予想以上に大きく、立派な感じだった。下の写真は遠くから控えめに撮っているが、それでも撮影時は緊張する。

駅舎に中に入ると、中は少しがらんとした感じでなんだか薄暗い。建物内の写真を撮ることは自粛しておいた。

チケット売り場があるが、こちらはすでにチケットを持っているので気楽なもの。ベンチに座って休憩していると20人ほどの日本人ツアー客がやってきた。どうやら同じ列車でタシケントへ移動するらしく、添乗員の説明を便乗して聞くことができた。

やがてホームへ入れるようになり、地下の通路を通ってホームへ移動した。日本人ツアー客も同時に移動し、しばらく待機。すると、ツアー客一行が気兼ねなく写真を撮っている。この国では駅は写真撮影禁止のはずだが、そのことを知らないのか、または日本人ツアー客は特別に許可されているのか、周囲の人たちも特に注意しない。そこで、こちらも便乗して写真を撮ることにした。ちょっと得した気分。

しばらくすると列車が到着したが、これはタシケントから来た特急列車「レギスタン号」だった。タシケント~サマルカンド間では、観光客にはレギスタン号が一番人気だそうだが、今回は時間が合わず別の列車を利用することにしている。

やがてブハラ発サマルカンド経由タシケント行きの特急列車「シャルク号」が到着した。全席指定なので、自分の車両を探して乗り込む。

車両は1等と2等に分かれていて、今回乗るのは2等。1等は6人部屋のコンパートメントで、日本人ツアー客はこちらへ入っていった。

2等は2列+2列のシートで、1人ならコンパートメントよりこちらのほうがいいと思う。旧ソ連地域は線路が広軌なので、車両の幅が広く、座席もゆったりとしていて快適。ただし、網棚の位置が高いので、かなり背伸びしないと届かない。苦労して荷物を上げている様子を見て、周囲の乗客たちは苦笑していた(一応、私は身長170cmある)。

午前11時半に出発。車窓風景は下の写真のような感じで、広々とした草原がずっと続いている。線路が広軌なので車両は安定するはずだが、レールがあまり精密ではないのか、走行中は意外と振動がある。

タシケントまでの所要時間は4時間ほど。元々外国で鉄道に乗っている時間は好きなので、あっという間だった。やはり、長い移動はバスより鉄道のほうが楽しめる。

午後3時半時、タシケント駅に到着。車両の先頭に移動し、機関車の写真を撮ってみた。機関車のデザインがなかなか格好いい。日本人ツアー客が気にせずに撮っていなかったら自粛していただけに、ここでも得した気分だった。

次第に気が大きくなってきて、駅舎の2階から列車の写真を撮ってみた。こういう写真はネット上でも珍しいかもしれない。

乗客と出迎え客でにぎわっている駅舎を通り、外に出た。


外から駅舎の写真を撮ってみた。この通り、駅舎はかなり立派なもの。日本人ツアー客はもういなかったので、ここでは少し緊張した。

この日の宿泊先は Le Grande Plaza というホテルを予約してある。地図を見ると、そのホテルは市街中心部のアミール・ティムール広場近くにあるので、そこまで移動することにした。

ガイドブックの地図によれば13番のトラムの路線がホテルの近くを通ることになっている。そこで、駅前の乗り場でしばらく待ち、やってきたトラムに乗り込んだ。料金は一律600スム。

ところが、出発してすぐにルートが違うことに気づいた。地図では駅前の通りからアミール・ティムール広場方面へ折れることになっているが、トラムは通りに沿って直進を続けている。しばらく乗っていたが、明らかに市街を離れて郊外へ向かい始めたので、諦めてトラムを降りた。

反対方向のトラムに乗って駅前に戻る途中、広場方面へ折れる線路がないかと注意していたが、そのような分岐はなかった。どうやら、トラムのルートが変わったらしい。

この後、広場周辺を散策した際にトラムの線路を探したが、どこにも見つからなかった。結局、現在はトラムは市街中心部を通っていないらしい。

仕方がないので駅前から広場方面へ歩き始めたが、荷物を背負って交通量の多い大通りを歩いていくのが予想以上に疲れたので、途中でタクシーに乗ることにした。タクシーといってもこの国では基本的に白タクで、とりあえず合図して停まった車がタクシーになる。道路端で合図したらすぐに停まってくれたが、この国では本当にヒッチハイクを繰り返しているような気持になる。

ところが、運転手に「ガスティニーツィア」「レ・グランド・プラザ」と伝えても、場所が分からないらしい。ウズベキスタン到着初日に宿泊した「ウズベキスタンホテル」の近くなので、代わりにそのホテルへ行ってもらうように頼んだら、こちらは通じたようだった。そして、ウズベキスタンホテルに着く前にレ・グランド・プラザを発見し、無事にホテルにたどり着くことができた。4ッ星だけあって、ホテルの建物は立派。

チェックインして部屋に入ると、さすが1泊70ドルだけのことはあって、こちらもなかなかのものだった。夜行便で移動する前日にゆっくり休もうと思ってこのホテルを選んだわけだが、やはりそれがよかったと思う。

しばらく休んだ後、外出することにした。


翌日はタシケント市街を1日散策することになっているので、この日はアミール・ティムール広場周辺だけを歩いてみた。下の写真が広場の中心に建っているアミール・ティムール像。

ソ連時代はチンギス・ハーンと並んで悪役だったそうだが、ウズベキスタン独立後は一転して英雄視されているという。いろいろと政治的な思惑もあるのだろう。

しばらく周辺を歩き、よさそうなレストランを探したが、レストラン自体がほとんど見つからない。次第に薄暗くなってきたので、夕食は諦めてホテルに戻った。広場周辺の景色については、次のページに載せることにする。

仕方なくホテルのレストランを探したところ、韓国料理店があったので入ってみた。中央アジアはスターリン時代に沿海州から強制移住させられた朝鮮民族が多く住んでいるという縁で韓国からの投資が盛んだそうで、そういう関係で韓国料理店も多いという。味は本格的。

旅行中はウズベキスタン料理ばかり食べていたので、ときには趣向を変えるのもいいと思う。もっとも、帰りにトランジットでソウル1泊なので、そのときにも韓国料理を食べることになるのだが。

部屋に戻り、コーヒーを飲みながらしばらくテレビを見た後、11時半に就寝。翌日はウズベキスタン滞在最終日になる。