カンボジア&タイ旅行記(トンレサップ川クルーズ)

昼間、トンレサップ川沿いを歩いているときから遊覧船が行き来しているのが気になっていた。調べたところワットプノンと王宮のちょうど中間あたりに乗り場があることがわかったので、川からプノンペンを眺めてみることにした。


乗り場の近くへ来ると、早速客引きに声を掛けられた。1時間ほどのクルーズで、料金は5ドルだという。チケットを買い、乗り場へ行くと船が何隻も停泊している。ここからシェムリアップへ行く船もあるようなので、何度も「この船は、またここへ戻ってくるクルーズ船ですよね?」と確認してから乗り込んだ。間違ってシェムリアップへ行ってしまったらとんでもないことになる。

屋上に並んでいる椅子に座り、出発まで休憩。乗客は15人ほどで、そのうち約半分が外国人旅行者。

夕方5時に出発。しばらくは川岸に沿って下流へ進む。この時間になると風が涼しいし、川から町を眺めるのも気分のいいもの。

やがて王宮が見えてきた。さすがにこの付近は人通りが多く、ゆったりと椅子に座って人ごみを眺めるのは本当に気分がいい。

遠くに観覧車が見えた。しかし片側の眺望が完全にビルに遮られた観覧車というのも珍しいと思う。ビルは建築中のようだが、この建物がホテルだったら面白い。部屋から川を眺めたら目の前をゴンドラが横切っていくわけで、おちおち景色も見ていられない。一度泊まってみたい気もするが。

川を行き交う船。小さな漁船の他、地元住民の通勤用渡し船も頻繁に航行している。甲板上にあふれるほど人が乗っているのは予想通り。

途中、乗っている船とほぼ同型のクルーズ船とすれ違った。ちょっとしたセレブ気分を味わっている者同士、笑顔で手を振って挨拶。

しばらく下流へ航行した後、川を横切って対岸へ進む。観光スポットが並んでいる西岸とは対照的に、東岸は粗末な建物がひしめいているのが見える。

対岸の集落に近づくと、半分ほどが水上家屋になっていることがわかった。観光客向けの建物が並んでいる西側とはあまりに対照的で、生活臭にあふれている。船上で缶ビールを飲んだりして景色を楽しんでいた外国人旅行者たちも、この集落を見ると何だか黙ってしまっている。まあ、住んでいる人からすると余計なお世話だが。

対岸をしばらく航行した後、西岸へ戻る。途中、日没になった。

王宮付近を見ると、先ほどよりずっと人が増えている。どうやらこの日は何か特別な日だったらしいことを後になって知ることになった。

すっかり暗くなった午後6時過ぎ、船着場に戻った。優雅な気分を味わうことができ、本当に楽しいクルーズだった。

5ドルで1時間ちょっと楽しめるのだから、このクルーズはお勧めといえる。プノンペンを旅行することがあれば、ぜひ乗ってみてほしい。


船を下り、川沿いを歩いていくと大勢の市民がダンスをやっていた。こういう景色は2005年にラオスへ行ったときにビエンチャンのメコン川沿いで見たことがある。ちょっと懐かしい思いをしながら見物してみた。

王宮近くの川沿いにある小さな寺院まで来ると、周囲は大変な人出だった。クルーズ船から見たときも人が多かったが、さらに増えている。寺院自体もライトアップされているし、どうやらこの寺院で特別な行事が行われる日だったらしい。

人ごみに混じって寺院を見学した後、川沿いのベンチに座ってしばらく休憩しているとバイクタクシーの運転手と名乗る男性が声を掛けてきた。日本人かどうかと聞くので、そうだと答えると自分の妹が日本語を話せるという。かつて日本にいたことがあるからだそうで、もう少ししたら妹がここへ来るから少し話してほしいと言ってきた。この時点では少し警戒していたが、急に立ち去るのも悪い気がしたので、もう少し座っていることにした。

しばらくして現れた若い女性は、たしかに日本語を話すことができ福岡県の杷木町に住んでいたことがあると言う。私は福岡県出身なので、地元からそう遠くない杷木町というマイナーな町の名前が突然出てきたことに驚いたが、ここはカンボジアと何か縁のある町だったのだろうか。(杷木町は現在は合併により朝倉市になっている)

女性の名前は「リカちゃん」だそうで(本人がそう言っていた)、10分ほど日本のことなどについて雑談することができた。最初は少し警戒したものの、単に日本人と話したかっただけらしい。もう帰宅する時間ということなので、挨拶して別れると兄が運転するバイクで去っていった。ある程度の注意も必要とは思うものの、旅先でのこういう出会いもいいものだと思う。この場所でリカちゃんに出会うことがあれば、話し相手になってみてほしい。


夜7時、トンレサップ川沿いの散策を終えてバイクタクシーでソリアショッピングセンターへ移動。ここは前日も訪れていたので、本当はパラゴンという別のショッピングセンターへ行くつもりだったのだが、バイクタクシーの運転手に「パラゴン・ショッピングセンター」と言ったもののソリアへ連れてこられてしまった。私の発音がうまく通じず「ショッピングセンター」と聞いて無条件でソリアと思ってしまったらしい。まあ、これから無理にパラゴンへ行くこともないし、前日に続いてソリアへ入ることにした。

フードコートでの夕食後、スーパーマーケットで買い物にした。ここで、いろいろと面白い菓子を見かけたので以下に載せておく。まずは「ネギ・パタケーキ」と「黒ゴマ・パソケーキ」。

どこかで見たことがあるような形状の「ちいさいきんくま」。いいんでしょうかね、これ。商品名については、パッケージに書かれている “Little Golden Bear” を直訳すれば、たしかにその通りなのだが。

こちらは「サトイモロール・ビスケシト」。間違い方としては定番。

そして、ここで見た菓子の中で一番笑えたのがこれ。面白かったので、ひとつ買って日本に土産として持ち帰った。「ミニクリームのサンドイッチ」の下の文章が笑える。

「濃くて濃いピーナッツのクリームから対階ケーキの札入れ心の口の感、湧くのめり込んで溢れる快感と香ばしい醇!!」

言いたいことはなんとなくわかるが、あからさまな翻訳ソフト文章が見事。個人的には「対階」が何の訳なのかがすごく気になる。

しかし、ここで紹介した菓子はすべて “EGO” というメーカー製になっている。旅行後に調べたところ、これはマレーシアのメーカーだそうで、パッケージでおかしな日本語を連発していることから日本人駐在員や旅行者の間でひそかに人気になっているということだった。物好きな人は東南アジア旅行中にコンプリートしてみてほしい。ところで、このメーカーの読み方はやはり「エゴ」だろうか。

夜8時半、散策を終えてバイクタクシーでゲストハウスへ戻った。翌日は朝の便でカンボジアを出発してバンコクへ向かうことになる。


カンボジア出国の日になった。朝8時前にゲストハウスを出て、トゥクトゥクで空港へ向かう。通勤時間帯ということでやや渋滞していたものの、30分ほどで空港に到着した。タイ航空のカウンターでチェックインを行い、カンボジアを出国。

カンボジアへ来たのは2回目だが、シェムリアップと違ってプノンペンでは日本人をほとんど見なかったのが意外だった。カンボジアといえばアンコールワットということになるからだと思うが、トゥールスレン刑務所博物館とキリングフィールドという負の遺産もあるし、プノンペンにも滞在してほしいと思う。

午前10時、プノンペンを出発してバンコクへ。