カンボジア&タイ旅行記(ワットムアン – 4)

地獄エリアを離れて大仏のほうへ向かう。広い池も作られていて、地獄から極楽へ向かうという気分になってくる。

それにしても大仏は巨大。聞くところによると日本にあるどの大仏よりも巨大だそうで、ざっと見たところ高さは80メートルくらいあると思う。眠そうな目で見下ろしている表情がいい。

では、階段を上がって大仏の足元へ向かう。

見上げると高さに圧倒される。足元に座っている人たちと比べても、その大きさが分かると思う。本当に、よくこんな巨大なものを作ったものだ。この寺院は相当に金を持っているのだろう。

足元に座って、しばらく休憩。ここは風が通り抜けるので、大仏の日陰にいると非常に涼しい。地獄内を歩いているときはかなり暑かったので、本当に極楽という感じだった。風の通り道を考えて、ここが納涼スポットになることを見越して大仏を設計してあるとしたら、たいしたものだと思う。

大仏の指先には触ることができる。爪が1メートルくらいあり、ここで記念写真を撮っている人も多かった。

この後、しばらく大仏の周囲を歩いたり、日陰に座って休憩したりして過ごした。本当に、ここにいると極楽という気分になる。


大仏を離れ、再び大量のオブジェが並んでいるエリアへ。前のページに載せた地獄風景のほかに、こういうものもたくさんある。もはや意味不明で、内容を考えるのも疲れてきた。

こちらは顔が動物になった人たち(だと思う)。カエル人間とワニ人間のほかに、ゾウ人間やらシカ人間やらトラ人間などもいた。

こういうものもあった。アヒルのキャラクターについては、もちろんディズニーの許可などは取ってないだろう。フラガールについては、最初に見たときは「モデルは柳原可奈子か?」と思った。

最後に寺院内の池へ。龍が水を吐いている。

池ではナマズが飼われていて、えさを投げると大量に集まってくる。他の参拝者がえさを買って投げているのを見ながら、池のほとりにある東屋風の建物で少し休憩。寺院内は犬も多く、昼間はあちこちで死んだように寝ていた。このときも足元で寝ていて、なかなかかわいいものだった。

この後、地獄エリアや銀色のお堂をもう一度見て、名残惜しかったがこれで帰ることにした。バイクタクシーでアントーンへ戻らないといけないのだが、しかしバイクタクシーはどこにもいない。寺の門の前に土産物店が並んでいるエリアがあったので、ここでバイクタクシーを頼んでみた。

もちろん英語はまったく通じないが、こちらが「モーターサイ」と言うとバイクタクシーを探しているということは理解してもらうことができた。年配の女性が知合いのバイクタクシーを呼んでくれるようなので、お礼として土産物店でいくつか菓子を買い、しばらく待つことにした。言葉は通じないが、こういう交流もいいものだと思う。

やがてやってきたバイクタクシーに乗り、土産物店の女性たちに手を振って挨拶してからワットムアンを後にした。かつて訪れたことのある「世界最強レベルの珍寺」ワットプートウドムと比べても、地獄風景の密度は相当なものだったと思う。ただ、ワットプートウドムにはたくさんあった動くアトラクションがないのが残念。せっかくここまで作りこんだのだから、次は電動アトラクションを作ってほしいものだ。

もっとも、動くものはなくても見事な地獄風景や巨大な大仏や銀色のお堂は一見の価値は十分ある。バンコクへ来る機会があれば、ぜひ立ち寄ってほしい寺院といえる。


バイクタクシーを降りたのは幹線道路沿いのセブンイレブンの前。バンコクからのミニバスを降りた場所とは違うが、運転手によるとここをバンコク行きのミニバスが通るという。たしかに小さなチケット売り場があり、バンコクまでのチケットが入手できた。

セブンイレブンでジュースを買い、待っているとやがてミニバスがやってきた。後部座席が満席だったので助手席に座り、バンコクへ出発。

途中、大渋滞に巻き込まれた。

延々とノロノロ運転が続く。最初はバンコクへの行楽帰りの渋滞かと考えていたのだが、実はこれは事故による渋滞だった。警察の車両が見えてきたときに事故ということが分かったのだが、事故現場を通る際にとんでもないものが見えた。

完全に頭が潰れた死体!

まさかそんなものが地面に横たわっているとは思わず、唖然としているうちに通り過ぎてしまった。周囲の状況から考えると車とバイクの事故で、バイクに乗っていたほうが完全に潰れてしまったらしい。それにしても、日本だったら死体には覆いをかけて見えなくするところだと思うが、周囲にさらしているところはさすがタイという気がする。それに薄暗くなっているといっても当然死体は見えたはずだが、ミニバス内が騒然とするようなことはまったくなかった。

事故現場を過ぎるとミニバスは快調に飛ばしだしたが、今度はドンムアン空港付近で渋滞につかまった。高速道路上が渋滞しているので(おそらくは運転手の判断で)高速を降りたが、あちこちで冠水により渋滞していた。どうやら、冠水を避けるために多くの車が高速道路へ上がってきていたのが先ほどの渋滞の原因だったらしい。

冠水を避けるために裏道を通ったり、さらにはショッピングモールの広い駐車場を横切ったりして(このあたりの運転手の土地勘はさすがだった)、再び高速道路に上がった。今度は路肩にずらりと車が駐車していたが(冠水を避けて駐車場代わりに使われているらしい)、流れはわりとスムーズになり、アントーンから3時間ほどかかって夜7時半にバンコクに到着した。往路は1時間半だったので、復路は渋滞のため2倍の時間がかかったことになる。


ミニバスを降りたのはスカイトレインのビクトリーモニュメント駅の近く。スカイトレインでサイアム駅へ移動し、駅のすぐ横にあるサイアム・パラゴンという大型ショッピングモールに入ってみた。

外観から予想できる通り、中はとにかく豪華。フードコートもかなりの規模で、ここで夕食にした。こういう大型ショッピングモールは、ヨーロッパなどではここまで巨大なものは見かけないし、わりとアジア独特のものという気がする。そのためか、欧米人旅行者が圧倒されたような表情で歩いているのが印象的。

ゲストハウスへ戻って荷物を受け取り、空港へ向かうことにした。ナショナルスタジアム駅からスカイトレインでパヤータイ駅へ移動し、ここからエアポート・レール・リンクでスワンナプーム空港へ。夜10時半に空港に到着した。

11時にタイを出国。トランジットエリアでアイスコーヒーを飲んでタイバーツを使い切り、深夜1時に離陸。翌朝の8時に福岡空港に帰着した。


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