国内旅行編(北海道 / 流氷クルーズ)

網走滞在2日目。この日は流氷観光船に乗ることにしていた。この観光船は、流氷が遠ざかっているときは能取岬への単なるクルーズになってしまうので、流氷が近くに来ているかどうかは非常に重要な問題になる。

前日は気温が高く能取岬クルーズとして運航されていたことは調べていたので、はたして流氷クルーズになるか心配していたのだが、幸運にも流氷が近づいてくれていた。


朝、ホテルから外を眺めると雪景色。これなら流氷クルーズになりそうな気がしてきた。

インターネットで運航状況を調べたところ、この日は流氷クルーズの予定になっていた。ほっと一安心。

ホテルを出て、網走駅前から道の駅・流氷街道網走行きのバスに乗り、終点で下車。道の駅の中に乗船券売り場がある。旅行前にインターネットで予約していたので、メールを印刷したものを見せて乗船券を購入した。料金は3,300円。

このクルーズは日本人だけでなく中国人観光客にも人気らしく、ツアー客が大勢見られた。乗船前に2階から行列を撮ってみた。

この旅行の1ヶ月後に沖縄へ行ったときにも思ったが、北へ行けば流氷が見られ、南へ行けば珊瑚礁の海が見られる国など世界にもほとんどないだろう。海外旅行の合間に国内を回っていると、自分がそういう稀有な国に住んでいることを実感することが多い。

船に乗る前に海を眺めてみたが、ここからは流氷は見えない。

では、流氷観光船「おーろら2」に乗ってクルーズに出発。船内の客室は暖かいが、やはりここは甲板上に立つことにした。停泊中はそうでもなかったが、動き出すと風が非常に冷たい。フード付きのダウンジャケットとスノーボード用の手袋がなかったら立っていられないくらいで、これらを準備しておいて本当によかったと思えた。これから流氷観光船に乗ることを考えている人は、防寒対策は万全に。

出港してすぐに、海面上に薄い氷が見えてくる。九州在住者としては、このくらいの氷でも感動するもの。

やがて次第に氷が厚くなってきた。海面に氷が浮いている景色を見るのは、今回の北海道旅行が初めてになる。考えてみれば、今まで海外旅行でもあまり寒いところへは行ったことがなく、東南アジアなど暑いところばかり回っていた。こういう景色を見ると、ときには寒いところへ行ってみるのもよさそうに思えてくる。

そして、いよいよ流氷域に入った。この眺めは本当に素晴らしい。流氷の間から海面が見えるので本格的な流氷には程遠いのかもしれないが、それでも感動的な眺め。

流氷の中を進むときの動画を載せておく。

後ろを見ると、観光船が流氷を割りながら進んでいることがよくわかる。

流氷域の中で旋回し、網走港のほうへ戻る。下の写真は能取岬の遠望。

途中、右側の流氷の上にアザラシがいるというアナウンスがあり、乗客の多くが右側に寄ったため本当に船が傾いた。まるでコントのようなことが実際に起き、仕事でときどき船に乗ることがある人間としては思わず笑ってしまうような光景だった。

それはともかく、アザラシはかわいい。

1時間ほどのクルーズを終え、網走港へ。港内に入ると、流氷まつりのための氷像が岸壁に沿っていくつも並んでいるのが見えた。今回はイベントのことを何も調べずに旅行日程を決めたため、滞在の翌週に流氷まつりが行われるというタイミングの悪さだった。これは今でも少し後悔しているので、冬に北海道を旅行する人は祭りなどのイベントのチェックを忘れずに。

観光船を下り、道の駅周辺を少し歩いてみた。

道の駅の中で地元の人と話す機会があった。その人は網走生まれなので、子供のころは世界中どこでも冬になれば海は凍るのだろうと思っていたという。そのため、海が凍るのは日本ではこの付近だけで、さらに冬になっても雪が積もらない地域があると知ったときは大きな衝撃を受けたそうだ。たしかに生まれたときから冬になると海が凍る景色を眺めていれば、そうなるかもしれない。こちらが長崎から来たと言うと「ずいぶん遠いところから…」と感動してくれていた。

その後、道の駅の2階にあるレストランに入り、オホーツク海を眺めながら「ザンギ定食」の昼食にして(かなりボリュームがあって500円は安い!)、バスで次の目的地の網走監獄博物館へ向かうことにした。今回初めて流氷を眺めたわけだが、やはり素晴らしいものだった。国内でこういう景色が見られるのだから、一生に一度は流氷を見てほしいと思う。私もいつかまた来てみたいものだし、もうひとつの流氷観光スポットの紋別にも行ってみたい。

(2012.2.5)