ポルトガル旅行記(シントラ / ペーナ宮殿)

ポルトガル滞在2日目。朝8時半に起床し、9時半にホテルを出発。地下鉄でロシオ駅へ移動し、国鉄のロシオ駅へ。このロシオ駅だが、建物の外観が駅に見えないのでしばらく駅を探し回ることになった。結局、目の前に見えていた建物がロシオ駅だったのだが、線路や列車も見えないし、それにこの重厚な建物が駅とは思えない。

エスカレーターで4階に上がると、プラットホームが見えた。リスボンカードが使えるのでチケットを買う必要はなく、改札を通って中に入ると線路の先はトンネルになっていた。ホームが4階にあるのに先がトンネルになっているのは、ロシオ駅の背後がすぐに丘になっているため。道理でロシオ広場では線路や列車が見えなかったわけで、リスボンという町の起伏の大きさを実感した。

前日は落書きだらけの列車ばかりを見ていたので、今回は車体がきれいなことに感動した。列車内もきれい。

もっとも、帰りに乗った列車は落書きだらけだったので、この車両が特別だったらしい。

この日の目的地はリスボン近郊のシントラという町。世界遺産に登録されている観光地で、王宮や宮殿などの観光スポットがいくつもある。その中の「ペーナ宮殿」と「レガレイラ宮殿」に興味があったので、行ってみることにしていた。(ただしレガレイラ宮殿は時間が足りなかったためこの日は行けず、翌日改めてシントラを訪れることになった)

車窓風景もなかなかきれいで、移動中は快適だった。ロシオ駅から約45分で終点のシントラ駅に到着。観光地だけあって駅舎もきれい。

王宮があるシントラ市街は、ここから少し離れている。歩けない距離ではないが「王宮」「ムーアの城跡」「ペーナ宮殿」を循環するバスがシントラ駅から出ているので、それを利用して最初にペーナ宮殿へ行くことにした。駅近くのバス乗り場は観光客の長蛇の列ができていたが、何とか乗ることができた。バス料金は5ユーロ。


王宮前でかなり乗客の入れ替えがあり、ここからはかなりの急坂が続くようになった。ムーアの城跡とペーナ宮殿が丘の上にあるためで、道もそう広くはなく塀をかすめるようにバスが通るため、ちょっとしたスリルを味わうことができた。

ムーアの城跡で、また乗客の入れ替えがあった。この場所にも興味はあるが、しかしペーナ宮殿の滞在時間を長くしたかったため、今回はパスすることにした。7~8世紀にムーア人によって築かれた城の廃墟で、眺めはきれいらしいが、しかしペーナ宮殿のほうが高い場所にあるので景色はそこから眺めればいいという気がする。

ペーナ宮殿で、また大勢の乗客が降りた。チケット売り場にも長い列ができていて、少し時間がかかったがチケットを購入できた。チケットはリスボンカード提示による割引料金で10.5ユーロ。

中に入ると大勢の観光客であふれている。宮殿は丘の頂上にあるので、ここからさらに登っていく。

やがて上のほうに宮殿が見えてきた。鮮やかな黄色がひときわ目立っている。

このペーナ宮殿については、旅行前に「雑多な建築様式の寄せ集め」「色使いの趣味が悪い」などという酷評をいくつも見ていて、はたしてどんなものかと興味を持っていた。実際に見てみると、やはり建物を黄色に塗るのはどうかと思う。

下の写真が宮殿の門で、ヨーロッパの城らしい感じ。この先には、しばらく建物の中にトンネルが続いている。

トンネルを抜けると宮殿の全体が見渡せた。

いやー、悪趣味!

この雑多な建築様式と、センスのない色使いがたまらない。建築様式は「ゴシック様式」「ルネサンス様式」「マヌエル様式」「イスラム様式」「ムーア様式」などの寄せ集めだそうで、いかにも中世のヨーロッパの城という感じもあれば、一方でイスラム教モスクの玉ねぎ型ドームもあったりする。

この宮殿が建てられたのは19世紀半ばだそうだが、よくまあ、こんな雑多な宮殿を建てたものだと思う。もっとも、この風変わりな感じが観光客に人気なのだから将来の観光資源としては大成功だったといえるかもしれない。

「ポルトガルのノイシュバンシュタイン城」などと例えられることもあるそうだが、そういうものなのだろうか。(本物のノイシュバンシュタイン城はまだ見たことがないので)

散策する前に、宮殿内のカフェでパンとコーヒーの昼食にした。カフェに宮殿の空撮写真があったので下に載せておく。宮殿の全体像が分かると思う。

昼食後、宮殿内を一通り歩いてみた。下の写真は建物の入口の上に作られていたギリシャ神話のトリトン像。よくできていて迫力がある。

なんだか RPG のダンジョンのようで、周囲を散策していると面白い。建物の裏手に回ると、ちょっとした広場になっている。

宮殿が丘の上に建っているので、ここからの眺めは本当に素晴らしい。遠くの海まで見渡せる。風も涼しいので、ここにいるとまるで天国のような気分になる。

建物の縁に沿って細い通路が作られているところもある。下は断崖になっているので歩いているとスリルがある。私は高いところはそれほど怖くない人間なので特に何も思わないが、高所恐怖症の人にとってはつらい通路かも。

この通路を歩いていると、遠くに「ムーアの城跡」が見えた。今回は時間が足りなくてパスしたが、この通りペーナ宮殿の方が高い位置にあるので、景色はこちらの方がきれいだと思う。廃墟好きとしては訪れてみたかったところでもあるのだが、今回は仕方がない。

細い通路を抜け、宮殿の正面に戻ってきた。この角度で見る宮殿も、なかなかいい感じ。

宮殿の建物内は博物館になっている。チケットを買う必要はなく、行列に並んで中に入った。館内はかつての調度品の展示などがメインだが、どの部屋も内装はこれでもかというくらいに豪華。このあたりもちょっと悪趣味という感じがするが、建物内は残念ながら写真撮影禁止だったので、ここの写真はない。

ただし、館内のテラスだけは写真撮影ができた。そこにあった日時計。

博物館のテラスからは宮殿が一望できた。色使いを変えれば、もっと落ち着いて見えると思うのだが。

博物館を出て、後は宮殿内を散策してすごした。あちこちに階段や細い通路があるので、全部歩いてみないと気がすまない。おかげでかなり歩き疲れてしまったが、しかし面白い宮殿だったと思う。大人気の観光地なのでB級スポットというわけではないが、変わった建物が好きなら気に入るはず。定番観光地だが、私からもお勧め。

名残惜しかったが、これで宮殿を後にしてバス乗り場方面へ歩く。森の中の道を歩いていると気分がいい。

バス乗り場に戻り、やがてやってきたバスでシントラ市街へ戻る。下の写真は運転手の後ろの席から見た風景で、曲がりくねった細い道を通るため、ちょっとしたスリルがある。

王宮の前でバスを降り、次の目的地の王宮に入ることにした。