メキシコ旅行記(チチェンイツァ遺跡)

メキシコにあるマヤ文明の遺跡として、おそらくもっとも有名なものがチチェンイツァだと思う。今回はリゾート滞在型のアクティビティ満喫旅行としてカンクンへ来たわけだが、このチチェンイツァ遺跡も今回の旅行の大きな目的だった。遺跡好きとしては、やはりチチェンイツァは押さえておかないといけない。


イク・キルからタクシーでチチェンイツァに戻り、まずは帰りのバスのチケットを購入した。帰りは午後5時発の2等バスで、料金は122ペソ。1等バスとは違ってカンクンまで時間がかかるようだが、それよりも遺跡に長くいたいので、帰りは遅くまで運行されている2等を選んだ。

続いて遺跡に入る前にサンドイッチとコーヒースムージーの昼食にした。値段は観光地価格の80ペソ。

では、いよいよ遺跡内に入る。チケットは125ペソ+カメラチケットが57ペソで、合計で2,000円弱。高額だが、遺跡の管理に使われる費用だから喜んで払うことにする。

入口から続く道には露店がずらりと並んでいる。

チチェンイツァへ来たことのある人なら知っていると思うが、この遺跡は村祭りの会場かと思うほど露店であふれている。私は今までにいろいろと遺跡を見てきたが(印象に残っているものではマチュピチュ、アンコールワット、ペトラ、ティカル、ギザのピラミッド、アブシンベルなど)、これほどまで露店が並んでいる遺跡は初めて。ちょっと観光地化されすぎているというか、遺跡の雰囲気を楽しみたい人には興ざめ。

木立の中の道を歩いていくと、やがて視界が開けて大きなピラミッドが見えてくる。これがチチェンイツァでもっとも有名なククルカンの神殿になる。例の2012年12月のマヤの予言(人類滅亡なんてことが言われていたやつ)で有名になったので、知っている人も多いと思う。かつては上に登ることもできたそうだが、現在は登頂禁止。

マヤの遺跡を見るのはグアテマラのティカルとベリーズのアルトゥン・ハ以来になる。このククルカンの神殿は、ティカル遺跡のピラミッドなどと比べてもきれいに磨かれすぎているというか、まるで新品のピラミッドという感じがする。建造されたのは9世紀初めだそうだが、現代に作られたといっても通用しそうなほど。

このピラミッドで一番有名な話が、春分と秋分の日にピラミッドの稜線にできる影が蛇の胴体になるというもの。いつか見てみたい気もするが、大勢の観客が集まる割には何だか地味らしいので、その機会があるかどうか。

この日は春分でも秋分でもないので、ピラミッドの底部に頭だけが作られている蛇を眺めてきた。

このククルカン神殿が一番有名だが、チチェンイツァ遺跡は(ティカル遺跡ほどではないが)それなりに広く、いくつもの建造物が点在している。夕方までそれらのスポットを回ってみた。

まずは遺跡の端にあるセノーテへ。道の両側には露店がすき間なく並ぶ。

こちらがチチェンイツァのセノーテ。セノーテといってもいろいろで、前々日に潜ったチャック・モールのように抜群の透明度の中で絶景を見ることのできるセノーテもあれば、この日の午前中にシュノーケリングを行ったイク・キルのような観光地化されたセノーテもある。

一方、このように日当たりのいいセノーテは藻が繁殖して緑色になり、この中に入るなんてことはとても無理。ここはかつて生贄が投げ込まれた場所といわれているそうで、実際に水中から人骨も見つかっているという。

セノーテの近くにはトカゲがたくさんいた。爬虫類が苦手な人にとっては苦痛かもしれないが、私はヘビやトカゲなどは平気(私が一番嫌いなのはクモ)。トカゲを脅かして尻尾を切るところを見てみたいとも思ったが、やめておいた。

セノーテからピラミッドへ戻り、周辺を散策。こちらは「球戯場跡」という遺跡で、競技の勝者(敗者という説もある)が生贄として捧げられたという。殺されるために競技に出場するというのも、現代人の感覚ではよくわからない。

球戯場跡の近くにある石壁には髑髏が彫られている。かつて捕虜が生贄として殺されたときにずらりと生首が並べられていた場所だそうで、たっぷりと血を吸ったと思われる石組を触るのも実に不思議な気分。

こちらはかつて生贄を捧げていたといわれている戦士の神殿で、旅行前に調べていた情報では頂上にチャック・モール(生贄の心臓を置く石像)を眺めることができるという話だったのだが、どこから見てもそれらしい石像が見えない。

その代わり、同じ形の石像が地上に置かれていた。今は観光客が見やすいように地上に移動させたのか、そのあたりはよくわからない。しかし(これがレプリカではないとすると)かつてこの石像の上に生贄の心臓が数多く置かれていたわけで、先ほどの石組と同様、この石は人間の血をたっぷりと吸っていることになる。それを考えると少し恐ろしい。

戦士の神殿の横にある「千本柱の間」を抜けると、林の中を遊歩道が続いている。

ピラミッドの周辺あたりが「新チチェンイツァ」で、10世紀以降の遺跡。続いて、もっと古い時代の「旧チチェンイツァ」(6世紀頃)へ歩いてみた。ここにも土産物店が隙間なく並ぶ。

旧チチェンイツァの代表的な遺跡が、この天文観測台跡。マヤ文明といえば精密な天体観測が有名で、現代の天文台と変わらないドーム型の屋根が見事。

天文台の先、旧チチェンイツァの最奥にあるのが尼僧院と教会。尼僧院と名前が付けられているが、実際の役割は不明らしい。まあ、古い遺跡というのはそういうものだと思う。

小さな売店でアイスクリームを買って休憩した後、新チチェンイツァへ戻り、再びククルカンの神殿を眺めてみた。あまりにもきれい過ぎて遺跡という感じが乏しい気がしたが、もちろんこれは個人的な感想なので、ピラミッド自体は重要なマヤ遺跡だと思う。このピラミッドを見てきれい過ぎると感じた人は、ぜひグアテマラのティカル遺跡も見てほしい。

このチチェンイツァは広い範囲に遺跡が点在しているが、広いといってもグアテマラのティカルほどではないので、大急ぎで回れば1時間ほどでめぼしい遺跡を見ることができる。私の場合は2時間半ほどかけて遺跡内を一回りした。

遺跡内にたくさん並んでいる露店では何も買っていないが、ピラミッドの周辺を歩きながらハンカチを売っていた女性からは、せっかくなので1枚買ってみた(値段は1ドル)。下の写真はピラミッドとハンカチのツーショット。

この後、もう少し散策してから遺跡を出ることにした。今回の旅行でぜひとも見たかったチチェンイツァ遺跡だが、結論を言うとグアテマラのティカル遺跡ほどは感動しなかった。遺跡内が露店であふれていて観光地化されすぎている感じがするのと、何よりもククルカン神殿があまりにもきれいに修復されていて、まるで新品のピラミッドという感じがするところが原因だと思う。

もっとも、これは密林の中にいい感じに崩れたピラミッドが点在しているティカル遺跡を先に見てしまったからかもしれない。「チチェンイツァ」→ 「ティカル」の順で見ると両方とも感動したよ うな気もする。やはりこういうスポットは見る順番も大事ということかもしれない。

チチェンイツァの他に、メキシコにはパレンケやテオティワカンなどの遺跡がある。いつか見たいものだが、次にメキシコ来るときは「カンクンでダイビングをやってからベリーズへ移動し、ブルーホールに潜る」というダイビング旅行を再びやるような気がする。これらの遺跡を見るのはいつになるだろう。


午後4時半に遺跡を出て、バスの時刻まで建物の中で休憩。土産物店は何軒かあるが、特に欲しいと思うものもなかったので買わなかった。夕方5時、ORIENTE 社の2等バスがやってきてカンクンへ向かって出発。

2等といってもバス自体は特に悪くはなく、カンクンから乗った1等バスと比べてもグレードが落ちたという感じはしない。ただ、1等バスが目的地への直行便なのに対し2等バスはあちこちの町に立ち寄っていくので、その分だけ時間がかかる。といっても「よくこの大型バスが通るな」と思うほど細い路地を縫うように走ったりするので、車窓風景は面白い。カンクンからチチェンイツァへ行く時は、あえて2等バスを使うこともお勧め。


すっかり暗くなった夜9時半、カンクンのバスセンターに到着した。通常、夜間のバスセンター付近は市街でもっとも治安の悪い場所と相場が決まっているものだが、ここはターミナルの外に出ても大勢の市民が路線バスを待っていたりして特に危なそうな感じはしない。前日まで夕食はホテルゾーンだったので今回はバスセンター周辺のダウンタウンにしようかとも考えたが、付近をしばらく歩いてもよさそうなレストランは見つからない。仕方がないのでバスでホテルゾーンへ戻ることにした。

ホテルゾーンとダウンタウンを結ぶバスは終日運行なので、この時間でもわりと頻繁にやってくる。フォーラム・バイザシーの近くでバスを下り、レストランが並んでいる路地を歩いていくと先のほうからものすごい騒音が聞こえてきた。何が起きているのかと思ったら、これは大盛り上がりのナイトスポットだった。

前日まではこんな遅い時間までは歩かなかったので、この付近一帯が深夜になると別世界になるということに初めて気付いた。しかしまあ騒々しいというか、ナイトスポットの盛り上がりは想像以上。こんな風に、昼間はビーチやプールで何もせずにだらだらと過ごし、夜になると酒を飲みながら遅くまで大騒ぎするというのが欧米人たちの典型的なバカンスの過ごし方なのだろうと思う。一般的に日本人は昼間に精力的に観光する人が多いので、こういう欧米人たちとは対極にいるような気がする。

ここで撮った動画を載せておく。

この呆れるほどの大騒ぎぶりには、隣のフーターズもかすんで見える。

では喧騒の中で夕食。昨日のタコ・ファクトリーではなく、その向かい側の CAMINERO という店に入ってみた。これはタコ・ファクトリーと違って店内がガラスで仕切られており、喧騒が少しだけ遮られるため。

注文したのはコロナビール、ビーフ+ベーコン+ピーマン+玉ねぎ+チーズの炒め物。食後にライムジュースを追加で注文し、これで値段は270ペソ。

味はなかなかうまい。しかし夕食のたびに2,000~3,000円の出費になるというのもきつい。今回はリゾート滞在型のアクティビティ満喫旅行と割り切っていたので毎日ホテルゾーンで夕食にしたが、長期滞在するときは夕食はダウンタウンへ行くほうがいいかもしれない。

夕食後、もう少し周辺を散策してみたが、ナイトスポットの騒々しさは本当に呆れるほど。私も何軒かの店で客引きに声を掛けられたが、夜遅くまで酒を飲むような元気はない。路上から店内を覗き込んで雰囲気だけ楽しんだ後、夜11時過ぎにホテルへ戻った。価値観の違いもあると思うが、こういう欧米流のバカンスの楽しみ方というのはなかなか真似できない。

この日は深夜1時半に就寝。

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