インド旅行記(レー~デリー / アクシャルダム寺院)

インド滞在最終日。朝の飛行機でデリーへ移動し、深夜の飛行機でデリーを出発することになる。

初めてのインド旅行といえば普通はデリー周辺の観光地を回ると思うが、私の場合は主にラダック地方のレーに滞在するという、ちょっと変わった体験になった。もちろんバラナシのガンジス川も見てみたいが、ラダックもいつかまた再訪したい。


朝5時半に起床。6時にホテルをチェックアウトし、このときにレストランでの夕食代2,035ルピーをまとめて支払った。滞在中ずっと腸の調子が万全ではなく、レーの街中であまり食事ができなかったのが残念。

ホテルからの景色も、これで見納め。

フロントでタクシーを呼んでもらい、町の南にある空港へ移動した。15分ほどで到着し、タクシー料金は300ルピーだった(相場は250ルピー程度らしいが、早朝だったので多めに払っておいた)。

この空港は大気の状態が安定している午前中にフライトが集中しているそうで、ターミナル前には行列ができていた。

手荷物検査を受けてターミナル内に入り、エアインディアのカウンターでチェックインを行った。機内食のカレーが美味しいと評判のエアインディアだが、乗るのは初めて。ただし、フライト時間は1時間ほどなので、この路線ではカレーは出ないだろう。

再び手荷物検査を受けてゲートへ移動すると、係員が自分の預け入れ荷物をチェックしろと言ってきた。いったん屋外に出ると乗客の預け入れ荷物がずらりと並べられていて、その中から自分のものを係員に知らせると、ようやくその荷物が機内に運び込まれるというシステムになっていた。おそらくこれはテロ対策。

売店でコーヒーを買い、搭乗開始まで休憩。外を見ると、やたらとだだっ広い。

8時に搭乗開始。日本人のツアー客も並んでいたが、その中に何人か高山病でつらそうな人がいた。レーを出発する日まで高山病が治らなかったということは、おそらくほとんど観光できなかったと思われる。私の場合は陸路での移動で強制的に体を慣らしたが、もし飛行機で移動したら同じように苦しんだかもしれない。もっとも、あのマナリ~レーの移動をもう一度やってみたいかと言われると躊躇するので、次は飛行機で来るかもしれない。(今はそう思っているが、苦しかった記憶は風化するものだし、再訪の際はまた陸路を選びそうな気もする)

これが今回乗るエアインディア機。

タラップに並んでいるときにインド空軍機が横を通っていったが、さすがに軍用機は写真撮影禁止だろうと思い、ここでは写真は撮らなかった。

その代わり、飛行機の窓から別の軍用機を撮ってみた。

飛行機の窓から外を眺めていると、先ほどの軍用機が離陸していった。しかしこの空港は周囲を山に囲まれているので、飛行機が斜面にぶつかりそうに見える(もちろん錯覚)。

飛行機には乗り込んだものの、何かトラブルがあったのか、なかなか出発しない。予定では8時20分の出発だったが、結局1時間遅れでようやく飛行機が動き出した。これもまたインドらしい。

9時半に離陸し、これで4日間滞在したラダック地方とお別れ。荒涼とした景色を眺めていると感慨深かった。またいつかここへ来たい。

離陸してすぐ、眼下には雪山が広がるようになった。「マナリからレーまで、あんな山の中を地を這うように移動してきたのか」などと思いながら眺めていた。

フライト時間が短いので、機内ではもちろんカレーは出ずに軽食だけ。午前10時40分にデリー国際空港に到着した。行きはデリーからレーまで丸2日かけて陸路で移動したというのに、帰りはわずか1時間ほどというのがなんともあっけない。


これから夜までデリーを観光するわけだが、まずは荷物を預けないといけない。これについては、空港内に手荷物一時預かり所があることは調べていた。

ターミナルの片隅にある一時預かり所へ行くと、レーから同じ飛行機で移動してきたらしい日本人のグループが荷物を預けていた。その人たちに続いて荷物を預け、これで身軽になって観光できるようになった。料金は24時間まで400ルピー。

荷物を預ける際に高山病予防グッズとして持参したリキッド・オキシゲンを見てみたら、容器が見事につぶれていた。ふたを開けたらすぐに元に戻ったが、おかげで今までどれだけ気圧が低いところにいたのかを実感した。

6日前にデリーに到着したときは、深夜だったので悪名高いプリペイドタクシーを避けるために送迎を頼んでおいたが、今回は昼間なので地下鉄がある。やはり空港に鉄道が乗り入れていると旅行者としては本当に安心できる。

空港からニューデリー駅までの料金は60ルピー。駅も車両も実にきれいで、ここがインドとは思えないほど。

20分ほどでニューデリー駅に到着した。ここからメトロに乗り継ぎ、この日の目的地へ移動。なお、同じメトロでも空港線とその他の路線は別料金で、さらに15ルピーが必要だった。

ニューデリー駅からイエローラインに乗り、1駅目の Rajiv Chowk でブルーラインに乗り換えてアクシャルダム駅に到着。メトロといってもこの区間は地上を走っているので、駅前の大通りが見下ろせる。ラダック地方と違って、やはりデリーは暑い。

駅の近くに「アクシャルダム寺院」というスポットがあり、ここに夜まで滞在することにしていた。駅から歩いて寺院まで移動したが、ここは車で来る人が多いらしく、歩いている人は少数派。

やがてアクシャルダム寺院のメインゲート前に到着した。ここからは寺院内の風景を大量の写真とともに紹介したいところだが、残念ながらそれはできない。なぜかというと、ここは入口でカメラを含むすべての手荷物を預けなければならず、財布以外は持ち込むことができない。なぜここまで厳重に写真撮影を禁止するのかがよくわからないが、決まりだから仕方がない。というわけで、寺院内の写真はまったくない。

あまり外国人は来ないからか、日本人ということでスタッフに珍しがられたが、ともかくも手荷物を預けることができた。手ぶらになって寺院の中へ。なお、寺院自体は入場料は必要なく、荷物を預けるのも無料。

このアクシャルダム寺院だが、中はものすごく広い。「世界一大きなヒンドゥ教寺院」としてギネスブックに認定されているそうで、もはや寺院というより完全なテーマパーク。建物やアトラクションも相当にすごいのだが、写真を撮れないのが本当に残念。

というわけで寺院内の風景については実際に訪れてもらうしかないのだが、メインの寺院もものすごい規模だというのに細部を見ると実に稠密だし、展示品も高価そうなものばかりで、いったいどれだけの費用と手間をかけたのかという感じ。

一応、検索すると(おそらくパンフレット用の)写真が見られるので、風景については こちら を参照してほしい。


あまりの豪華絢爛ぶりに歩いているだけでため息が出てくるが、しかし屋外は暑い。フードコートでジュースやアイスコーヒーを飲みながら、寺院内を散策して過ごした。

写真がないので風景を詳しく紹介できないのが残念だが、別料金(250ルピー)が必要なアトラクションだけは触れておく。ミニシアター(ヨギという聖人の生涯を大スクリーンで堪能。少年時代に悪人相手に奇跡を起こす場面が面白い)、電動ギミックによるジオラマで構成された博物館(各部屋を5分くらいで順次移動していく感じ)、ボートライドの3つがセットになっていて、これはもう寺院ではなく完全に遊園地。

ボートライドはボートに乗って各風景を見ていくというもので、遊園地によくあるスタイル。これに乗れば古代からのインドの歴史を順次学べるという仕組みになっていた。

乗り場には長い行列ができていたが、私の番が近づくとスタッフが少し後ろに並んでいた中国人2人を呼んで、3人だけでボートが出発した。20人以上は乗れるボートになぜ3人だけなのかと思ったが、それは出発してから分かった。前後のボートからはヒンディ語が聞こえてくるのに対し、このボートが通るときはナレーションが英語になる。つまり、外国人だけをまとめて乗せてくれたわけだった。

このアトラクションは3つともかなり面白いので、別料金が必要な上に行列に並ばないといけないが、ぜひとも見てみてほしい。特にボートライドは遊園地みたいで楽しめる。

最後は19時から噴水ショー。単に噴水が動くだけのショーではなく、噴水があるプールの横で役者たちが演技を見せてくれる。言葉は分からないが、服装から判断してインドの神話を題材にしているらしい。役者の演技が見られるとは予想していなかったので、かなり楽しめた。ファーストフード店で買ったコーラを飲みながら観賞。

噴水ショーの終了後、最後に土産物店でアクシャルダム寺院のロゴが入ったポロシャツを買い、これで寺院を出ることにした。私が寺院内にいたのは13時~20時の7時間ほどで、かなり楽しめた。デリーに滞在する際は、ぜひとも行くべきスポットと断言できる。荷物を一切持ち込めず、写真が撮れないのは残念だが、豪華絢爛の建物と遊園地みたいなアトラクションは本当に面白い。

寺院を出て、預けていた荷物を受け取り、7時間ぶりに写真を撮ってみた。出口から次々と出てくるインドの人たち。

歩いてアクシャルダム駅へ移動。アクシャルダム駅からメトロに乗り、Rajiv Chowk 駅でイエローラインに乗換え。ブルーラインとイエローラインの乗換駅になる Rajiv Chowk 駅は大勢の乗客で混雑していた。この写真だけ見たら東京の地下鉄のような感じ。

ニューデリー駅から空港線に乗り、9時半にデリー空港に戻ってきた。預けていた荷物を受け取り、フードコートで夕食にしたが、あまり重いものは食べたくないのであっさりした焼きビーフンにした。これなら調子が万全でなくても食べられる。

後は中国東方航空のカウンターが開くまで待つことになるのだが、ここへ来て再び腹の調子が悪くなってきたので、とりあえずトイレへ。しかしデリー空港のトイレは男女の区別がすごくわかりやすい。それぞれのトイレで違う男女の写真が使われているので、見比べながら歩くのも面白いはずだが、今は余裕がない。

しかし、旅行の最後の最後になって、急に具合が悪くなった。トイレに座っていた時間はなんと1時間近くで、フライトまで余裕があったから助かった。時間ぎりぎりだったら、かなり困ったことになったはず。

腹の具合も何とか落ち着いてきて、トイレを出て中国東方航空のカウンターでチェックイン。インドを出国してゲートへ移動した。先ほどトイレで水分が大量に出て行ったので、補給用にスポーツドリンクを買い、後は搭乗までベンチに座って仮眠。

深夜2時半に搭乗が始まり、3時前に離陸。飛行機の中では特に具合が悪くならなかったのは幸運だった。6時間半のフライトで午前11時に上海に到着。3時間半の待ち時間の後、福岡便に乗り継ぎ、午後5時に福岡空港に帰着した。


今まで外国を旅行しているときに腹の具合が悪くなったことはほとんどないが、やはりインドは特別だった。もっとも、この原因はおそらくマナリの寺院で飲んだライムウォーターなので、気をつけていれば防げたはず。やはり、インドの水道水を甘く見てはいけない。注文した飲み物が怪しそうだったら、手をつけるのはやめましょう。

これが「インドの洗礼」だったようだが、ネット上のインド旅行記を読むとさらに大変な思いをした人も多いので、私の体験はまだ軽いほうだったかもしれない。帰国から約1週間、体調が完全に元に戻ったところで、初めてのインド旅行がようやく終了。


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