インド旅行記(パンゴン・ツォ)

インドのラダック地方というと荒涼とした景色ばかりをイメージする人も多いと思うが、実は大きな湖もいくつか存在している。

その中でもパンゴン・ツォとツォ・モリリの2つが有名で(ツォとは湖という意味)、そのうち日帰りで行けるのはパンゴン・ツォ。いつかラダックで湖めぐりもやってみたいが、まず今回はパンゴン・ツォへ行ってみた。


午前6時にレーを出発してから5時間以上、11時20分になってようやくパンゴン・ツォを遠望できるところまでやってきた。ここから見ても青さに感動。

遠望スポットから10分、レーを出発してから実に5時間半かかって、ようやくパンゴン・ツォに到着した。

しかし、こんな荒涼とした景色の中にこれほど青い湖が存在するとは、いったい誰が想像できるだろう。ここは標高4,300メートル地帯で、当然ながら山肌には植物はまったく見えない。今までに見たことのない景色が突然現れるので、湖に到着したときは本当に感動した。

パンゴン・ツォは長さが130キロ、幅が5キロほどという細長い湖で、到着したのは湖の北西端部分。1泊2日の行程ならさらに南下して湖畔の村で宿泊するらしいが、今回は日帰りなのでこの近くだけを見てからレーに戻ることになる。ただ、ここからの眺めも十分に素晴らしいので、日帰りでも訪れる価値は十分ある。曇っていると湖の青さが半減するそうだが、この日は快晴。これは本当に幸運だった。

到着地点には小さな食堂(レストランというより食堂という建物)が何軒か並んでいるが、少しだけ南にビューポイントがあるそうなので、そちらへ移動することにした。幹線道路を離れ、凸凹道を湖岸のほうへ少し走ったところで車を停めてから歩いて湖へ。

これが、湖岸から見たパンゴン・ツォの風景。

防水カメラを持っているので、水に浸けて写真を撮ってみた。この通り、かなり透明度が高いことがわかると思う。この湖の生態系は、小さな甲殻類がいるだけで魚は棲息していないらしい。ダイビングで潜ってみたい気もするが、何しろ中国とインドの国境にある湖だし(湖の中を国境線が通っていて、東側は中国)、それは無理だろう。

しばらく湖岸を散策。荒涼とした山肌の景色と、青い湖の対比が素晴らしい。よほど標高の高いところへ来ないと、こんな景色は見られないと思う。天候にも恵まれたし、空気は薄いが歩いていると気分がいい。

それから、この湖岸は きっと、うまくいく というインド映画のロケで使われた場所だそうで、インターネットでパンゴン・ツォを検索すると必ずといっていいほどセットで表示されるが、そもそも私はこの映画を見たことがない。なので「あのシーンの場所だ!」と感慨にふけることはなかった。

映画の中でそういう場面が登場するのか、湖をバックに何人かで一列に並び、いっせいにジャンプして写真を撮っている人たちも多かった。運転手とその妹さんたちと一緒にやってみようかとも思ったが、自分がそういうことをやったら高山病を発症するかもしれないので、自重しておいた。

ここで周囲を見渡して撮った動画を載せておく。

20分ほど湖岸を散策し、車に戻って小さな食堂が並んでいる到着地点へ移動した。食堂にトイレがあったので、いったんトイレを借りてからここでも周辺を散策してみた。なお、いくつかの食堂は「うちには FLUSHING TOILET がある!」というのを売りにしていたので、そこを選んでみたのだが、たしかに洋式便器はあったものの水は流れなかった。たまたま故障していたのかもしれない。

湖岸まで歩くと、タルチョがはためいていた。

インドの人たちも記念写真を撮っていたが、すごかったのがこの女性。よくあの場所まで歩いたと思う。水は相当に冷たいんだが。

30分ほど湖岸散策し、名残惜しかったがこれでパンゴン・ツォを離れることにした。湖に滞在していたのは1時間ほどで、できればもっといたかったのだが、レーまで数時間かかるので仕方がない。再びこの湖を見る機会はあるだろうか。


パンゴン・ツォを後にして、来た道をレーに戻る。

50分ほど走ったところで運転手が車を停め、ここで昼食にすることになった。時刻は1時半で、小川に沿って草が生えているような場所。川の流れの音が心地いい。

食事は運転手が用意していて、メニューはマトンのピラフ。腸の調子は万全ではないが、このピラフは味付けがおいしく、わりとたくさん食べることができた。

この川原は食事場所して知られているのか、ライダーのグループもやってきて近くで食事を始めていた。20分ほどで食事を終え、レーに向かって出発。


午後3時半、チャンラ峠に戻ってきた。せっかくなので車を下りて5分ほど周囲を歩いてみた。

しかし5,360メートルという数字を見ると、自分が本当にすごいところへ来たということを実感する。レーに滞在する際は、ぜひここで撮った写真を周囲に見せて自慢してほしい。こんな高地へ来る機会は滅多にない。

チャンラ峠を出発して、後はレーまで下り坂が続く。相変わらず落ちたら命はなさそうな崖沿いの道が続くが、こういう景色には慣れてきた。

チャンラ峠から1時間半、午後5時にレーの町に戻ってきた。運転手の妹さんたちは自宅で降りていったが、「次にここへ来るときはツォ・モリリを見たいので、またそのときに会いましょう」と挨拶して別れた。

街中に戻り、翌日の早朝にレーを出発するのでいったんヒドゥン・ヒマラヤに立ち寄って上甲紗智さんに挨拶しようかと思ったが、行ってみると上甲さんは不在だった。このため、スタッフの方に「帰国後にメールを送ります」を伝えてから、ヒドゥン・ヒマラヤを後にした。

午後5時半、ホテルに到着。出発したのが朝6時なので、11時間半の長旅だった。長い運転のお礼ということで、運転手には500ルピーのチップを払って別れた。

丸1日かかってしまうが、やはりレー滞在中にパンゴン・ツォには行くべきだと思う。 荒涼とした景色の中に突然現れる青い湖には本当に感動するので、このページを見て自分も行ってみようと考える人が現れたら嬉しい。


外出しようかとも思ったが、すでに薄暗くなっているし、土産物などは前日に買っているので外出は諦めた。土産として買ったのはTシャツ、チベットマーケットのマニ車、アンズジャムなどで、アンズはラダック地方で収穫できる数少ない果物。

ホテルのレストランでの夕食を終え、例の異様に寒い部屋でテレビを見ていると、こういう番組をやっていた。

見て分かる通り、これはインド版のミリオネア(CROREPATI はヒンディ語でミリオネアの意味だそう)。インドでミリオネアといえば映画の「スラムドッグ$ミリオネア」が有名だが、実はまだ見たことがない。映画に登場するのも、おそらくこの番組なんだろう。

この部屋にいると本当にベッドから出たくなくなるが、勇気を出して何とかシャワーを浴び、10時半に就寝。