インド旅行記(レー王宮)

レー到着翌日は、体を高地に慣らすためにあまり遠出はせず、まずはレー市街と王宮周辺を歩くことにしていた。その後、余裕があればバスで近郊にあるティクセ・ゴンパへ行ってみることにしていたが、勘違いでティクセではなくシェイ・ゴンパを見ることになった。


朝9時に起床。標高3,500メートルの町に滞在しているが、どうやら陸路での移動のおかげで体が高地に順応したようで、高山病の症状は現れない。前日はタグランラ峠で大変な思いをしたものの、今思えばそれもまた珍しい体験だったともいえる。

ただ、腸の調子はあまりよくはない。朝食後、予定ではすぐに出かけようと思っていたが、何回かトイレに行ったり、部屋がかなり寒いのでベッドで横になったりしているうちに時間が経ち、11時半にようやく外出した。

前日に到着したときは薄暗かったので建物の全体が見えなかったが、こうやって見るとかなりきれいなホテルということがわかる。

しかし外は多少肌寒い程度だというのに、あの部屋の中だけ異様に寒いのが不思議。本当に悪霊が憑いているのかもしれない。

まだレーの地理が頭に入っていないのでどちらへ行けばいいのかがわからないが、とりあえず坂道を下りていくと少し広い通りに出た。しかしこの町は道路を普通にロバが歩いている。

ここからは勘にしたがって歩いていくと、やがてレーの中心部に着いた。正直言ってあまりきれいな町ではないが、ラダック地方最大の都市だけあって活気はある。

ネット上には「インドの薄汚い辺境に町に過ぎない」という声もあるが、まあたしかにその通り。ただ、ラダック地方を旅行する人が必ず立ち寄る町だけあって旅行者には便利な店が並んでいる。まず、こちらの店でジャンパーを買ってみた。

ジャンパーを買ったのは、今後さらに標高の高いところでゴンパめぐりをやったり、パンゴン・ツォという湖へ行く際には必要だろうと思ったため。今回の滞在の最高地点になったチャンラ峠では雪が積もっていたので、この判断は正解だった。

続いて、近くに旅行者向けのこぎれいなカフェがあったので、ここでパンとカフェラテの昼食にした。なぜこのカフェを選んだかというと、腸に負担をかけないため。この後、レーの町で最大の観光地といえる王宮へ行くことにした。

王宮へはどうやって行けばいいのかを聞いたところ、この路地を歩いていけば案内表示が現れるという。

すると小さな矢印があった。おそらくこれが案内表示だろうと思い、トンネルのほうへ進むことにする。

トンネルを抜けると、斜面の上のほうに王宮の建物が見える。たしかにここを上っていけば王宮に着くのだろうが、はたしてここは道なんだろうか。多少不安に思いながらも、急斜面を上がっていくことにした。高山病の症状は現れていないといっても、あまり激しい運動はしないほうがいいので、ゆっくりと時間をかけて坂道を上がる。

レーの町が下に見えるようになってきた。さらに上に上がる。

やがて王宮に着いたが、観光客がバスで来れるようなルートではないから、予想通り裏口のようなところから王宮に入ることになった。おそらく、このルートはレーの中心部からの近道だったのだろう。

ここからはレーの町が一望できる。色のない町並みと、遠くの雪山がきれい。

こちらが王宮の建物。王宮といっても今は誰も住んでいないので、内部は廃墟になっている。

しばらくの間、景色を楽しみながら王宮内を散策。ここにいるとときどき日本人の旅行者もやってくる。五色のタルチョを見ると、ここがチベット文化圏であることを実感する。

遠くの雪山のアップ。この2日後、さらに高地にあるパンゴン・ツォという湖へ行くことを考えていて、その途中で標高5,360メートルのチャンラ峠を通ることになる。あんな風に雪が積もっているかもしれない、などと考えながら眺めていた。

王宮からは、山頂に「ナムギャル・ツェモ・ゴンパ」が見える。山の斜面にゴンパへ続く道があり、数人が歩いているのが見えた。ゴンパまで歩くかどうか少し悩んでいたが、この道を見てやめることにした。激しい運動はまだ控えたほうがいいし、景色だけなら王宮からで十分。

王宮内を1時間ほど散策した後、帰りは正面から王宮を出た。裏口と違って、こちらはちゃんと修復されている。

歩いていくと駐車場があった。バスで来るような観光客は、こちらから入るのだろう。ただ、歩いていくなら先ほどの裏口ルートのほうが近道。

こちらが、今回は諦めたナムギャル・ツェモ・ゴンパへの登山道。

ここからは、ゆっくりと坂道を下りることにした。いい感じの路地が続いていて、歩いているとかなり楽しい。

途中、すごくかわいい子犬がいたので写真を撮ってみた。

振り返ると、遠くに王宮が見える。先ほどの裏口ルートより遠回りだが、しかしこのルートも楽しい。街中から歩いて王宮へ行く場合、帰りはこちらのルートを通るのがお勧め。

やがてレーの街中に戻ってきた。正直言って街中は薄汚い。

これからどうするかだが、高山病と腸の調子を考えて、余裕があればバスで郊外のティクセ・ゴンパへ行く予定にしていた。現時点では高山病の症状はないし、体調もまだ大丈夫なので、ティクセへ行ってみることにした。

ただし、ティクセと思ったら勘違いでシェイ・ゴンパを見ることになった。続きは次のページで。