インド旅行記(スタクナ、マト)

ゴンパめぐりの後半はスタクナとマト。メジャーなゴンパであるティクセやヘミスと比べると観光客が少なく、落ち着いて見ることができた。ラダック旅行の際は、こういうちょっとマイナーなゴンパを訪問するのもお勧め。


ヘミス・ゴンパを出発して、荒野の中を進む。周囲は相当に雄大な光景が続くが、このスケール感は写真では伝わらない。

やがてインダス川が見えてきた。下流ではそれなりに水質汚染が起きているのかもしれないが、ここでは水はきれい。

インダス川を渡る。普通は世界史の授業でしか聞くことのない川を自分が渡っているのが、なんだか不思議な気分。ガンジス川を見たことのある人は大勢いると思うが、インダス川は少ないはず。

しばらく対岸を走り、再びインダス川を渡る。今度はかなり細い橋で、スリルがあって面白かった。写真からわかる通り、橋は車幅ぎりぎり。

しかし自分があのインダス川を渡っていると思うと、改めて遠くへ来たものだという気持になる。この水は、ここから約3千キロ離れたアラビア海まで流れていくことになる。

上の写真だけなら四万十川といっても信じる人もいるかもしれない。インダス川を間近で見ることができ、満足。


この日4ヶ所目のゴンパになるスタクナ・ゴンパに到着。見た目の印象としては、午前中に見たチェムレ・ゴンパに似ているような気がする。マニ車を回しながら本堂へ。

本堂の中を見学。ここは小さな中庭を回廊が囲むという構造になっていた。これまでに見た壁画はどれもくすんだような感じで、それがいい雰囲気を醸し出していたのだが、ここの壁画はカラフルできれい。これはこれでいい感じ。

階段を上がって2階の回廊を歩いているときに少し息苦しくなってきた。椅子のある部屋があったので、そこで休んでいると僧侶の方が話しかけてきて、少しだけ会話することができた。

少し休んだら気分も回復し、外に出ると空がきれい。

どのゴンパも眺めはすばらしく、タルチョがきれい。ただ、この景色からも空気が薄いのがわかると思う。

車のほうへ戻ろうとすると、入口近くで運転手に呼び止められた。入口横の小さな建物でお茶をもらえるそうで、ここで少し休憩。出してもらったのはバター茶ではなくスパイスが入ったミルクティで、かつてネパールで飲んだネパールティを思い出して懐かしい気分になった。


最後の目的地はマト・ゴンパ。平原を一直線に続いている道路を走る。

マトも小高い岩山の上にあるゴンパ。今回の旅行で見たゴンパは、ヘミス・ゴンパ以外はこの様式だった。

マト・ゴンパに到着。本堂の装飾は見事だが、ちょうど午後の休み時間に当たってしまい、中に入ることはできなかった。

運転手が「後でまた来る?」と提案してくれたが、それには及ばない。本堂の周辺を散策。

本堂には入れないが、階段の上までは上がることができた。壁一面のマンダラが見事。

直前まで子供の僧たちがドアの前で勉強していて、ホワイトボードに足し算の跡が残っていた。ゴンパでは黒板を使って勉強しているようなイメージを勝手に持っていたが、今はこの地方でもホワイトボードを使うらしい。

このゴンパからの眺めもすばらしい。インダス川に沿って延びる緑地帯と、遠くの雪山のコントラストが見事。

これで5ヶ所のゴンパめぐりが終了。それぞれに特色があるし、景色もきれいなので楽しめた。どのゴンパもインダス川の近くにあるので、インダス川を渡るという体験もできる。レーに滞在するときは1日はゴンパめぐりをやるのがお勧め。


ゴンパめぐりを終えてレーの町に戻る途中、運転手がこういう場所に立ち寄った。料金を払って写真を撮ったりラクダに乗ったりするラクダ牧場で、まあ運転手と何らかのつながりがあるんだろう。こういうのはチャーターではよくあること。

断ってもいいが、運転手とはそれなりに親しくなった後なので、写真だけは撮ることにした。

何でラダックまで来てラクダを見ることになるのかという気もするが、まあ珍しい体験かもしれない。入場料が10ルピーに写真撮影の料金が50ルピーだったが、小銭を持っておらず、運転手に立て替えてもらって後ほどチップに含めて払った。

午後3時、ホテルに到着。

運転手にはチップが必要で、先ほどのラクダの写真代を含めて400ルピーを払った。翌日はパンゴン・ツォへ行く予定で、この日と同様に朝6時に迎えに来るそうなので、挨拶して別れた。


例の異様に寒い部屋に戻って休憩し、午後5時に外出してレーの町を散策することにした。町の中心に向かって歩いていると、馬に乗った人たちが追い越して行った。騎馬隊ではないようだし、どういう人たちなんだろう。

街中を散策中、チベットマーケットがあったので入ってみた。チベットから逃れてきた難民の人たちがやっているマーケットで、主にチベット仏教のグッズが売られている。

ここでは卓上型の小型マニ車(1000ルピー)を買ってみた。今はPCの横において、ときどき右回りに回して楽しんでいる。ブリキ製の稚拙な作りで、回していると軸が外れたりするが、それは気にしない。ちゃんと経文も入っているし、効能はあるだろう。

最初は街中で夕食にするつもりだったが、まだ食欲が回復していないので、あまり重いものは食べる気がしない。ホテルに戻り、レストランで軽いものを食べることにした。しかしこの町では道端で普通にロバと出会える。

薄暗くなったころ、ホテルに戻ると月明かりがきれい。

レストランで野菜の煮物とフルーツサラダの夕食を終え、部屋に戻ると相変わらず異様に寒い。本当にベッドから出たくなくなるが、何とかシャワーを浴びて10時半に就寝。