モルドバ&ルーマニア旅行記(シナイア / ブチェジ山)

ルーマニアの観光地といえば、ブカレスト以外ではブラン城があるブラショフが有名だと思う。

もちろんドラキュラ城として有名なブラン城(ただしドラキュラのモデルとされるヴラド3世は実際には居住していなかったそうだが)にも興味はあるのだが、かなり観光地化されているらしいので、行ってみるか躊躇していた。

そこで、別の観光地を探したところシナイアという町にペレシュ城というきれいな城があり、こちらは静かな環境らしい。そこで、今回はブラショフではなくシナイアへ行ってみることにした。ブラン城は次の機会に訪れることにしたい。


朝8時10分に急行列車でブカレストを出発し、トランシルバニア地方の入り口にあるシナイアへ。車両には学校のイベントらしい中学生くらいの団体が乗っていて、グループでトランプをしたりして賑やかだった。

列車はブカレストを出発してからしばらくは平原の中を走っていたが、やがて山岳地帯に入っていった。トランシルバニア地方というイメージ通りの車窓を楽しみ、ブカレストから1時間半でシナイア駅に到着した。中学生の団体はさらに先まで行くようで、ここで降りた乗客はそれほど多くはなかった。

こちらがシナイア駅で、なかなかいい雰囲気の駅舎。

駅を出て、シナイア市街地へは道路の向かい側の坂道を上がっていくことになる。この石畳の坂道もいい雰囲気。

坂道を上がり、市街地を5分ほど歩くと予約していた RINA ホテルがある。予想よりも規模が大きくてきれいなホテルだった。

まだ午前中なので、フロントで部屋が使えるかどうか確認したところ、問題ないということだった。フロントに荷物を預けて外出することも考えていたので、すぐにチェックインできたのは助かった。

部屋はこんな感じで、かなり快適。

さらに、部屋には宿泊者用のルーマニアワインが1本置いてあった。これは部屋では飲まずに土産として日本に持ち帰ったが、予想以上のサービスに感動した。この部屋の宿泊料金は1泊4,650円。

部屋からの眺めはこんな感じ。天気もいいし、景色を眺めていると気分がいい。

部屋にあったエアコンのブランドが osaka になっているのが気になった。これはやはり大阪だろうか。

少し休憩してから外出。シナイアにはペレシュ城の他にシナイア僧院という観光地もあるが、他に行ってみたい場所があったので、これらは翌日に見ることにした。ホテルを出て市街地を少し歩き、まずはこちらの店でパイとケーキとカフェオレの昼食(12.5レイ)。

シナイアの町はこじんまりしていて、観光客も多くはなく落ち着いた雰囲気。この時点でシナイアの町が好きになり、ここへ来てよかったと思えた。ブラショフほど有名ではないが、静かな雰囲気が好きな人はぜひシナイアへ。この町はお勧め。

市街地の外れ、少し高台に上がったところにロープウェイ乗り場がある。この日の目的地はトランシルバニア山脈の一部になるブチェジ山。ここからロープウェイを2回乗り継いで標高2,000メートル地点まで登ることができ、ちょっとしたトレッキングができる。写真で見ると景色がかなりきれいそうだったので、シナイア1日目の目的地として選んでみた。

ブチェジ山はロープウェイではなく遊歩道で登ることもできるそうで、今回は往路は終点の COTA2000 までロープウェイで行き、帰りは途中の COTA1400(標高1,400メートル地点)まで下りてから遊歩道で市街地まで戻ることにした。ロープウェイの料金は麓から COTA2000 までが25レイ、COTA2000 から COTA1400 までが15レイ。

では、麓の駅をロープウェイで出発。

高度が上がってくると、シナイアの町が見下ろせるようになった。屋根の色が統一されているからなのか、ヨーロッパの町並みは本当にきれい。

さらに高度が上がると、シナイアが谷間にポツンとある町ということがわかるようになった。この眺めもなかなかいい。

麓から10分ほどで COTA1400 に到着。ここはちょっとしたレストランがあるエリアになっていた。

ただし、ここは往路では通過地点なのでロープウェイを乗り継いでさらに先へ進む。

さらに高度が上がると森林が消え、ところどころに雪が見えるようになってきた。ここが冬はスキーリゾートになることも、この景色を見れば納得。

COTA1400 から10分ほどで終点の COTA2000 に到着した。麓と比べると若干肌寒いが、気温は22℃と表示されている。雪が残っているのに22℃はないと思うので、この時は不具合が起きていたのかもしれない。

ロープウェイ乗り場付近で驚いた光景がこれ。車が雪の中に埋まっている。どうしてこんなことになったんだろう。

では、犬に挨拶してから山歩きに出発。

ロープウェイ乗り場から少し歩くと周囲は広々とした景色になり、これには感動した。今でも十分にきれいな眺めだが、冬のスキーシーズンは一面が真っ白になるんだろう。その景色も見てみたい気がする。

遠くには雪に覆われたトランシルバニアの山々が見える。写真ではあまり迫力は伝わらないかもしれないが、実際見てみると感動する。ブチェジ山に来てみてよかった。

しばらく周囲を歩いてみることにして、まずはこちらの山の上へ。後で案内地図で確認したところ、ここは Mt. Furnica という標高2,103mの山みたいだった。

山頂からの眺め。いや、これは迫力があってすごい。シナイアに来たらブチェジ山には登るべきだと思う。

近くを歩き回っていた犬をモデルに写真を撮ったりしながら、山頂でしばらく休憩。

その後も周辺をしばらく散策。このところ足が遠のいているが、自分にはスノーボードという趣味もあるので(道具は一通り持っている)、いつかここで冬にスノーボードをやってみたい。

1時間半ほど散策し、そろそろ山を下りることにしてロープウェイ乗り場へ。

名残惜しいが、これでブチェジ山を出発。いつか再訪したいものだが、その機会はあるだろうか。

今はオフシーズンなので動いていないが、横にはスキーのリフトも見える。この斜面をスノーボードで滑ったら、さぞ爽快だろう。

COTA1400 に戻り、ここからは歩いてシナイアの町まで下りることになる。その前に、ロープウェイ乗り場の近くにある Popas Alpin というレストランに行ってみた。

山歩きでちょっと空腹になったので、ここでポークフィレとアイスティを注文してみた(27レイ)。テラスで周囲の景色を眺めながら本日2回目の昼食。味は十分うまい。

というより、この景色を見ながら食べたらなんでもおいしく感じるはず。

昼食後、市街地までの下山を開始。最初はこういう車道が続く。

途中で驚いたのがこれ。ここは熊が出るのかね。

しばらく歩いたところで車道を離れ、こういうトレイルロードに入っていく。

ところどころに設置してある Old School Trail という案内板を見ながら、ゆっくり歩いてシナイアへ。いかにも山歩きという感じがして、歩いていると楽しい。

こういう綿毛に覆われた植物もあった。植物には詳しくないから名前はわからないが、タンポポの複合体みたいで面白い。どういう植物か知っている人がいたら教えてほしい。

市街地までは意外と距離があり、下り坂だから楽だろうと思っていたら予想以上に疲れた。COTA1400 を出発してから1時間ほど、本当にシナイアの町に向かっているのか不安に思ってきたところで地元民らしい女性2人に遭遇し、この人たちが「町はこっち」と教えてくれたのでほっと一安心。

この2人についていくと、シナイアの町が見えてきた。COTA1400 から1時間10分かかって、ようやく市街地に到着。

女性2人と別れ、いったんホテルに戻ることにした。その途中、こういう面白い形の家があったので写真を撮ってみた。ここに住んでいると、なんだか平衡感覚がおかしくなりそうな気がする。

午後5時、ホテルに帰り着いた。予想以上に疲れたが、しかしちょっとした山歩きを体験できたので楽しかった。シナイアではトレッキングもお勧め。


すっかり暗くなった午後8時過ぎに外出し、レストランを探してみた。小さな町なので、レストランは何軒もあるものの街中は静かな雰囲気。ボリュームがあるものを食べたい気分だったので、ここでは American Steak Rocky Mountain というステーキレストランに入ってみた。

ポークリブとビールを注文し、値段は34レイ。普段はほとんど酒は飲まないが、旅行中だけはときどき地元のビールを注文することがある。ポークリブは濃厚な味付けでうまい。

夕食後、歩いてホテルへ。小さな町なので、暗くなってから外を歩いていても危なそうな雰囲気はまったくない。ホテルの部屋から外を眺めるとこんな感じで、本当に静か。

翌日はペレシュ城とシナイア僧院を見てからブカレストへ戻ることになる。この日は深夜1時に就寝。