台湾旅行記(慈玄聖天宮)

この日の主目的地は大崗山超峰寺だが、あと1ヶ所くらいは見ることができるので、何か面白そうな場所がないかと思って調べてみたら慈玄聖天宮という寺院があった。

超峰寺のわりと近くにあり、写真で見るとかなり興味深い寺院みたいだったので行ってみることにした。


大崗山超峰寺から車で25分ほどかかって慈玄聖天宮に到着した。車を下りたのは下の写真のような場所で、後でわかったのだがここは寺院の裏口だった。なお運転手に払った金額は300元。

ここから坂道を上がったところに慈玄聖天宮がある。「石頭廟」「海岩奇宮」と表示されていて、これでここがどういう寺院かわかると思う。

ここは寺院の壁や柱に石や珊瑚のかけらが張り付けられた強烈な見た目の寺院。写真では見ていたが、実際に見てみると眺めは圧巻。しかしこれだけの石や珊瑚を張り付けるのは相当な労力だったはず。しばらく驚嘆しながら寺院内を歩いてみた。

裏口から入ったので最初に寺院の内部を見たが、正面に回ると小さな池があり金色の龍がいた。コントラストがきれい。

正面の奇妙な造形も見事。寺院というよりもシュヴァルの理想宮みたいな脳内楽園という感じがする。ガラスケースの中に入っているのは観音像。

寺院の前には広場があり、その向こうには寺院の事務所らしい建物があった。昼食がまだだったので、何か店でもあればと思い、そちらへ行ってみることにした。この時点で時刻は午後3時。

広場から眺めた慈玄聖天宮。左右対称の作りが平等院鳳凰堂を連想させる。

建物に入ると奥に食堂があった。ここで何か食べようと思い、中に入ってみる。

食堂にはセルフサービス形式でたくさんの料理が並んでいた。当然、どこかで料金を払うのだろうと思ったが、それらしい場所がどこにもない。さらに他の参拝者たちを見ていると食堂に入ってきて自由に食べている。

まさかこれだけの食事が無料とは思えなかったが、確認したところこれらの食事は参拝者用に用意されたもので、なんと本当に無料だった。この信じられないサービスにはびっくり仰天。

というわけで遠慮なく食事することにした。上の写真の料理以外にご飯や麺類なども用意されていて、まさに至れり尽くせり。何度もお代わりし、無料で満腹になるまで食べることができた。台湾では2008年に金剛宮を訪れた際に参拝者用の麺類を無料で食べたことがあるが、こんな豪華な食事を見たのは初めて。味も十分にうまいし、これにはもう大感激。

台湾では参拝者用に食事が用意されている寺院は他にもあるのかもしれないが、さすがにこれほど充実しているところは珍しいと思う。この食事のためだけでも慈玄聖天宮を訪れる価値はある。

食事にすっかり満足し、再び寺院を歩いてみようと思ったが、次第に近づいてきている雨雲が気になる。しばらく建物内で様子をうかがっていると周囲は一転して大雨になった。濡れずに済んだのは幸運だったが、しかし建物から出られない。

しばらく建物内で待機することにして、こちらの神像に参拝。詳しくはわからないが、慈玄聖天宮の分院のような場所だろうか。

外は地面が泡立つほどの激しい雨だったが、30分ほどで急に雨足が弱くなり、やがて止んでしまった。熱帯地方のスコールは始めと終わりがはっきりしているので、日本の雨と違って対応しやすい。

雨が上がり、再び寺院内を散策。正面の「慈玄聖天宮」という文字も石で描かれている。

しかし散策していると本当に異世界に来たような感じ。直線だけでなく丸みも多用されているし、よくこんな奇妙な空間を作ったと思う。

先ほどの雨とは一転して晴れ間が見えているので、光と影のコントラストが美しい。

大崗山超峰寺と同様、この寺院も日本のガイドブックにはまったく記載されていないので参拝しているのは地元の人ばかり。ただし、この時は写真を撮っている観光客風の女性2人組を見かけた。声は掛けていないが、会話を聞くとおそらく地元台湾の人だと思う。

柱や屋根のアップ。本当に見事。

屋根の端はスライスした珊瑚できれいに装飾されていた。スペインには行ったことがないので比較はできないが、人によってはガウディを連想するかもしれない。

雨上がりの池と金色の龍も、なんだか幻想的でいい眺め。

寺院内にいくつかあるガラスケースには、観音様以外に羅漢さんも安置されている。大崗山超峰寺に続いてこの日3度目の出会いとなった、おなじみの眉毛が長い人。3人それぞれ表情が違っていて面白い。

そろそろ散策を終えて高雄に戻ることにして、最後は寺院内で寝ていた犬に別れの挨拶。「また会いたいね」と言って別れた。

これからタクシーを探さないといけないが、その前にこちらでアイスティ(30元)を買って休憩。

ある程度は予想していたことだが、この寺院でもタクシーはまったく見かけない。そこで寺院の関係者にタクシーについて聞いてみたところ、大崗山超峰寺と同様に Uber で手配してもらえることになった。この日の移動は地元の人たちに頼りっぱなしになってしまったが、それもまた楽しい。

それから、寺院の人たちは日本人が来たということに驚いていたようだった。どのガイドブックにも載っていない寺院だし、外国人が来ること自体が相当に珍しいことらしい。食堂での無料の食事を勧められたが、先ほど食べたばかりと伝えると「これを持って行って」と果物を渡された。

今回の旅行では台湾の人たちの親切心に感動することも多く、ますます台湾が好きになった。台湾は本当にいいところ。

やがて車が来たので、これで慈玄聖天宮を出発することにした。最後に正面から寺院を眺めてみる。時刻はちょうど5時。

寺院の人たちに礼を言い、車に乗り込んで出発。目的地は台湾国鉄の岡山駅で、そこからは列車で高雄に戻ることにしていた。約20分で岡山駅前に到着し、運転手に払った金額は300元。

岡山駅からは、キョ光号(キョは草かんむりに呂)で高尾駅まで移動した。運賃は37元。MRT でいったんホテルに戻り、寺院で頂いた果物を並べてみた。瓢箪みたいな形の柑橘系の果物は何という名前なんだろう。

翌日までの滞在なので、全部は食べきれない。できれば日本に持ち帰りたいところだが、果物は検疫証明書がないと持ち込むことができない。仕方がないので、食べきれなかった分は「自由に食べてください」というメモとともにホテルに残しておいた。おそらく清掃のスタッフが持ち帰ったと思う。

1時間ほどホテルで休憩した後、夕食のために外出して凱旋夜市へ行ってみた。続きは次のページで。