台湾旅行記(南投 / 萬丹宮)

台湾滞在4日目は台中からいったん南投県へ移動して萬丹宮という寺院を訪問、それから集集線というローカル鉄道路線に乗ってみることにしていた。

この日の宿泊は台中の南にある彰化という町で、来たことはあるが宿泊するのは初めて。なので、この町の夜市を見るのも楽しみ。


7時半に起床。9時過ぎにチェックアウトし、台中駅へ。前日、台中駅の様子がすっかり変わっていたことに驚いたが、旧駅舎は記念館みたいな感じで保存されていた。

日本統治時代の駅舎をきれいに残しておいてくれるのは嬉しい。

旧駅舎内には列車も残されていた。この時間はまだ開いていなかったので車両内は見ていないが、カフェや土産物店になっていると思う。

かつてのレールの上に作られていたベンチ。おそらく枕木が再利用されていると思う。このアイディアはなかなか面白い。

では、現在使われている台中駅へ。ここは新幹線の駅かと思うほど、すっかり近代的な駅に変貌を遂げていた。改めて、前回の旅行当時から駅周辺が大きく変わったことに驚く。

9時44分発の普通列車で台中駅を出発。この列車は途中の成功駅から海線に入って北上していくので、ここで彰化方面への列車に乗り換え。

しかしこの駅、「成功」という名前から日本人旅行者の間で人気になりそう。日本人は「幸福」「愛国」「今福」などの駅で合格祈願等の縁起を担ぐのが好きだから。

10時19分に彰化駅に到着し、ここで列車を下りた。目的地の萬丹宮はまだ先だが、ここで下りたのは宿泊先に荷物を置くため。この区間の運賃は23元。

彰化へ来たのは2016年10月以来7年ぶり。駅舎の形は変わっていないようだが、改装されているらしくガラスがかなり多用されていた。

この日の宿泊先は「Timios Inn 提米好旅」というゲストハウス。駅から歩いて5分くらいのところにあった。

中に入り、フロントで荷物を置くことができるか聞いたところ地下の荷物置き場を案内してくれた。これで身軽になり、再び駅へ。

次の列車は11時14分発。少し時間があったので駅構内のファミリーマートで中華まんを見てみたら、肉まんやあんまんに混じって「練乳まん」というものがあった。名前の通り練乳が入っているというもので、買ってみたら(20元)甘くてうまい。これって日本では見たことがないが、発売したら人気になると思う。

彰化始発の普通列車に乗り、南へ。11時43分、目的地の田中駅に到着した。運賃は34元。

ここが萬丹宮の最寄り駅だが、日本人は親近感を感じる駅名かもしれない。何しろ「田中駅」。

駅舎内にはこういうものがあった。日本で唯一、田中駅がある「しなの鉄道」と姉妹駅の関係を結んでいるそう。

それを記念する展示品もあった。

日本の鎧兜も展示されていたのはびっくり。

姉妹駅ということは旅行前に知っていたものの、予想外の展示品に驚いたところで目的地の萬丹宮へ向かうことにした。


ここが最寄り駅といっても、萬丹宮までは約17kmの距離があり、車で30分ほどかかる。もっと萬丹宮に近い南投という町まではバスがあるようなので、そこまで行ってからタクシーということも考えはしたが、もう面倒なのでここからタクシーに乗ることにした。

駅前で客待ちしていたタクシーの運転手に Google Map の萬丹宮の位置と写真を見せて説明したところ、運転手は萬丹宮を知らないらしい。運転手が自分のスマートフォンで萬丹宮への経路を調べ、田中駅前を出発。

しかしスマートフォンが普及してから海外での行動が劇的に楽になったことを実感する。もうほとんどの人間がスマートフォンを持っているので、言葉は通じなくても画面を見せるだけでこちらの意図をすぐに理解してもらえる。海外旅行を始めた当初と比べると、本当に時代は変わったものだ。

田中駅前をちょうど12時に出発。運転手もカーナビを見ながら移動し、12時半に萬丹宮に到着した。タクシー料金はメーターで565元。

タクシーを下りると、いきなり目の前に現れる金色の神像に驚く。

この寺院、タクシーの運転手も知らなかったためか、一緒に車を下りて写真を撮り始めた。言葉は通じないが、おそらく「なんで日本人がこの寺院を知っているのか?」と不思議に思ったはず。

こちらも寺院内のいろんな風景を見ながら歩いてみた。

本堂に入る前に、まずは屋外にあるいろんな風景を堪能。こちらは銀色のドーム。

周囲には金色の亀や銀色の龍がいる。ドームの中には入れないようだが、これはいったい何なんだろう。

しかし龍の造形は本当によくできている。近くで見ると鱗についても手を抜いていない。

こちらの円形の建物は、お札などを燃やす焼却場。

見上げると、天馬や鶴などの細かい造形が見事。

しかし、この焼却場で一番面白かったのがこちらの角がある人たち。

いったい、正体は何なんだろう。妖精みたいな存在かと思ったが、あるいは鬼か?

こちらの鏡張りのオブジェは船がモチーフだろうか。

周辺の建物も赤と金色と銀色の洪水。

建物内にもたくさんの神像が安置されていた。

では、そろそろ本堂に入ることにする。柱ではこういう人たちが招財金元寶を持ち上げていた。

本堂内に入ると、最初はちょっと薄暗い。所狭しと並んでいる神像を見ながら奥へ進む。

本堂の奥のほうは、明るく光っていた。

吹き抜けになっているところまで来て驚愕。壁や柱が細かい彫刻で埋め尽くされている。

この「途中に吹き抜けがあって明るく光っている」というのも、演出としてうまくできていると思う。まずはここで参拝。

吹き抜けエリアにあった渡り階段。階段部分の両側にある金色の龍がすごすぎ。もちろん、階段を歩いて向こう側へ渡ってみた。

吹き抜けエリアの先に祭壇が並んでいたが、どれも造形が細かすぎて感動してしまう。

感嘆しながら参拝。この稠密さが写真で伝わるだろうか。

決して、同じ形のものを繰り返して並べたものではない。近くで見ると一体一体が違っていて、相当な手間がかかっていることがわかる。

こちらの壁は、何かの物語に基づいた風景だろうか。いろんな仙人の逸話を表現しているようだった。

壁だけでなく柱の細工もすごすぎ。

本当に、一体一体の姿格好が違っている。先ほどから「すごい」を連発しているが、もはやそれしか言えない。

タクシーの運転手も感嘆しながら大喜びで写真を撮りまくっているようだった。地元の人にもあまり知られていない寺院だったようで、なぜか日本人が知っていることに驚いていたと思う。萬丹宮のことを台湾の人にも知ってもらうことができ、ちょっと嬉しい。

吹き抜けを通り過ぎ、薄暗いエリアに戻ってきた。こちらもいい雰囲気。

蓮台に並ぶ神様たち。

本堂内に広がっている驚愕の風景を見続けて、もう満腹状態。

訪問時は知らなかったが、旅行後に調べてみたらここは廃棄あるいは廃廟により引き取り手のない仏像や神像を祀っている寺院ということだった。そうであれば、薄暗い中にたくさん並んでいた神像にも納得。こういう事情を知らず、ただ珍寺と思って参拝してしまってすみません。
(参考サイト:徒歩進香

本堂の外に出ると、円形のステージのようなものがあった。僧侶の方が説法をする際に使うんだろうか。

ここで運転手から「田中駅まで戻る際もタクシーに乗る?」と(言葉ではなくスマートフォンの画面で)聞かれたので、こちらも時計アプリの「13時30分」の画面を見せて待ってもらうことにした。本当に、スマートフォンが海外旅行を劇的に変えたことを実感する。

残り時間はあと25分ほど。それまで寺院内を散策することにして、奥のほうへ歩いてみた。

この木からぶら下がっている巨大なピーナッツみたいなものは、おそらく熟する前のジャックフルーツの実。

奥の方にもいくつか建物があった。

こちらの造形も見事。柱に龍が巻き付いている。

半球形の屋根の上に並ぶ神様たち。

こちらにも焼却場があったが、先ほどと違って妖精さん(?)は立っていなかった。

この寺院はちょっとした丘の中腹にあり、景色が一望できる。遠くに見えるのは、おそらく南投の町並み。

外からよく見えるため羞恥プレイ状態になっているトイレに行き、あとは時間まで周囲を散策。

本当に、どのオブジェもよくできている。アクセスはそんなに簡単ではないかもしれないが、しかしたくさんの神像や本堂内の驚愕の風景など、来る価値は絶対にあると思う。このページを見て、行ってみようと考える人が現れたら嬉しい。

やがて1時半になったので、これで萬丹宮を出発することにした。ここに滞在していた時間はちょうど1時間で、運転手もかなり写真を撮ったらしくなんだか楽しそうにしていた。

帰りのタクシー料金については、運転手が「600元でどう?」と言ってきたのでそれで了承した。来たときはメーターで565元だったが、待ち時間を考えると少し多く払うことに異存はない。

来た時と同様、ちょうど30分かかって田中駅に到着した。運転手と挨拶して別れ、集集線の列車に乗るために駅構内へ。

繰り返すが、この萬丹宮は本当にすごい寺院なので多くの人にぜひ見てほしいし、私もいつか再訪したい。