台湾旅行記(新竹 / 清泉寺、九天玄女廟、他)

普天宮を後にして、歩いて新竹駅へ。距離は3.5kmほどで、下り坂が続くので歩くのは楽。その途中、いくつかの寺院を訪問してみた。メインの目的は九天玄女廟を見ること。


道路に歩道がないので車やバイクに注意しながら歩いていると、脇道の先に神像が見えた。

いったん通りを離れて近づいてみると、見事な白髭の神像。あとで調べたところ「福徳正神」という神様みたいだった。手にしている巻物に書かれている言葉は「合境平安」。

福徳正神は道教で土地の守り神とされているそうで、不動産や財産の神として親しまれているという。特に寺院があるわけでもない場所(しかも道路の真ん中)にこんな立派な神像が立っているのは、さすが台湾という感じ。

清泉寺

少し歩くと「清泉寺」という寺院があった。早速、中に入ってみる。

門をくぐり、先へ進むと「存好心」と刻まれた坊さんの石像。これも後で調べたところ、存好心とは「良いことをして、人が嫌がることは話さない」という意味ということだった。

しかし最初に見たときは「土俵入り?」と思ってしまった。

境内に入ると、予想以上に広々とした景色にびっくり。ちょっとしたスポーツができそうなほどの規模で、台湾の寺院はどこも金を持ってる。

あの門の向こうは展望所になっているようだが、まずは本堂へ。

本堂も金がかかってますねえ。

本堂内で参拝。この空間では独特のイントネーションで「南無阿弥陀仏」が繰り返される音楽が常時流れていて、しばらくは耳について離れなくなってしまう。

マニ車もあったので、右回りに回してきた。

参拝を終え、本堂を出て不二門へ。

柵の向こうには芝生の広場が広がっていて、遠くに新竹の街並みが遠望できた。

しばらく景色を眺めた後、石像が並んでいるこちらの小径へ。

鐘を突く人、太鼓を叩く人、寝ている人などいろんな格好があって面白い。写真ではよく見えないかもしれないが、太鼓の上には大きなバッタが乗っていた。

寺院の規模の大きさに感嘆しながら寺院内を散策。さすがに、あれは寺院の電波塔ではなく公共施設だと思ったが、どうだろうか。

しかし高雄の佛光山みたいに自前のTV放送局を持っている寺院もあるから、案外ここの付属施設という可能性も否定できないかも。


入ってみたら予想以上に規模の大きい寺院だった清泉寺を出て、先へ進む。道路はつづら折れが続く道となったが、歩行者用に階段が作られていたのでショートカットできた。

このまま九天玄女廟まで歩くつもりだったが、途中で別の寺院に遭遇。

法源講寺

こちらも規模の大きそうな「法源講寺」という寺院。早速、立ち寄ってみる。

長いアプローチ道路を歩いていくと、まるで宮殿みたいな本堂が現れた。

本堂の前の広場には、羅漢さんたちの石像が並んでいた。こちらはおなじみの、眉毛が長い羅漢さん。

こちらの羅漢さんはロープを支える役割を担っていた。こういう使われ方をしている羅漢さんは初めて見たような気がする。

東屋風の建物で歴代住職の姿が紹介されていた。台湾の漢字はわかりやすいので、見ているとおおよその意味は推測できる。

現在の住職(真理法師)は5代目で、初代住職(斌宗上人)によって開山されたのは1942年(日本統治時代の昭和17年)だそう。

では、本堂に参拝。

この中も広い空間が広がっていたが、先ほどの清泉寺とは違って少しガランとした感じだった。写真は撮っていないので、見たい人は直接現地へ。

本堂入口の両側は、それぞれ「法雲慈雨」「揚佛之光」への入口になっていた。中に入ってみるとテーブルと椅子が並んでいる部屋があったが、さすがにプライベートスペースみたいだったので写真は撮っていない。

本堂を出て、続いて横にある上り坂のほうへ。金色のオブジェが目立っている。

両側には羅漢さんたちの石像。鹿に乗ったり象に乗ったり、格好が面白い。

この道の一番奥にある建物は、覗いてみたところ納骨堂になっていた。なので写真撮影は自粛し、通路があったので本堂の裏手方面へ。

当然ながら裏からは本堂に入れなかったが、こういう木製の階段があったので上ってみる。

一番上まで行ってみると、こういう建物があった。

「雲水寮」と書かれていて、僧侶たちの集合写真も掲示してあったことから、おそらくここは研修施設のような場所だと思う。興味深い建物をしばらく見学。

この日は研修期間ではなかったらしく、建物内には誰もいなかった。

階段を下り、本堂の周辺に作られている庭園を散策。

最後に、金色のオブジェの近くまで行ってみた。この形状にはどういう意味があるんだろう。

清泉寺に続いて、こちらも楽しめる寺院だった。普天宮を訪問する際は、法源講寺もぜひ参拝してみてほしい。

財神廟

では、メインの目的地となる九天玄女廟へ。と思ったら、よく見ると九天玄女廟の隣は「財神廟」という別の寺院だった。

というわけで、こちらの寺院にも参拝。

先ほどの清泉寺や法源講寺とは違い、こちらは庶民のための寺院という感じがする。本堂内の飾り付けも派手で、荘厳さとはまた違った雰囲気だが、こういう寺院も好き。

この満面の笑顔がいいですねえ。手にしているのは「財源廣進」で、つまり財運アップの神様。

なんだか「さあさあ、早くお布施を出しなさい」なんてことを言い出しそう。

本堂を出ると、横の通路には吊り灯籠がたくさん下がっていた。

金色と赤のトンネルがすごくきれい。

庶民的な雰囲気が楽しめる寺院だった。吊り灯籠のトンネルもいい感じ。

九天玄女廟

いろんな寄り道をして、ようやく九天玄女廟にたどり着いた。こちらが正面から見た本堂。

なぜ今回この寺院へ来たかったのかは、入口両側にある面白そうな物件を見たらわかるはず。ただし、まずは本堂に参拝。

九天玄女がどういう神様かは Wikipedia あたりを見てもらうとして、戦術と兵法を司る女神だそう。

まあ私も道教に詳しいわけではないので、ネットで調べたことを書いているだけ。

では、一番見たかったこちらへ。この寺院の特徴は上の階に上がる階段が龍の体になっていることで、近くで見ると威圧感がある。

今までたくさんの寺院を見てきたが、こういうのは珍しい。麻豆代天府や蓮池潭でも龍は作られていたが、それらはあくまで体内めぐりが目的であって、階段が龍というのは初めて見た。

では、龍の体内を通って上に上がってみる。壁は青に塗られていて、おそらく青空を飛んでいるところをイメージしているはず。

なんだか異世界に続く階段という感じがして、すごく雰囲気がいい。一方向にカーブするのではなく曲がりくねっているので、それがまた楽しい。

やがて2階が見えてきた。あの出口の先は異世界。実はこれはガリバートンネルで、みんな小さくなっているなんてことを妄想してみたり。

外に出てみてびっくり。なんと、日本式の鳥居が置かれていた。

本当に唐突に現れたので、しばらくは頭の中に「?」が浮かんでいた。これはいったい何だろう。

名前は「祈福鳥居」らしい。朱色が鮮やかなので、大切に扱われていることがわかる。新竹市の「龍港水族公司」という企業の奉納品らしいが、この会社と日本にどういう関係があるんだろう。ネットで調べてもよくわからないので、知っている人がいたら教えてほしい。

「TAIWAN LONGKONG AQUARIUM」というワードもヒットしたが、かつてこういう水族館があったんだろうか。

不思議な気分のまま振り返ると、龍の体内からの出口はこんな感じ。

いったん反対側の龍の体内を通って下の階に下り、本堂内から龍を見てみた。建物に絡みつくような感じがすごくいい。

再び龍の体内を通って2階へ。鳥居の向こうには、すごく立派な建物があった。1階にあったのは旧本堂、こちらが新しい本堂だろうか。

では、こちらの本堂に参拝。建物内の写真は撮ってないので、荘厳な雰囲気を見たい人は直接訪れてほしい。

見上げると、屋根の装飾がものすごく稠密。神像の格好と神像が載っている台座の形が一体一体違うことにも感嘆する。

本堂の前で振り返り、鳥居と2体の龍を撮ってみた。

しばらく周辺を散策。四面佛もあった。

この通路は何だろう。今はロープが張られているが、「七星平安橋」「無災無厄」などと書かれているので祭りのときに使うんだろうか。

2階の本堂周辺を歩き回った後、龍の体内を通って1階へ。何度見ても、この龍は格好いい。

では、これで参拝を終えて新竹方面へ戻ることにした。

Google Map で普天宮周辺の面白そうなスポットを探しているときに見つけた寺院だが、ここは予想以上によかった。階段を龍の体内めぐりにするという発想が素晴らしい。

龍だけでなく色鮮やかな鳥居も見ることができるので、普天宮を訪問する際は立ち寄ってみてほしい。

開天宮

あとは新竹市街まで歩くだけだと思っていたが、山を下りて市街地の端に着いたあたりで後ろを振り返ってみてびっくり。屋根の上に見たこともない姿の巨大神像がある。

急いで引き返し、神像に近づいてみると「開天宮」という寺院だった。

階段を上がり、屋根の上の神像と対面。

手に持っているのは斧とノミ。この姿を元に調べてみたところ「盤古」という神様だった。

詳しいことは Wikipedia を見てもらうとして、なかなか異様な姿だと思う。

本堂に入り、煌びやかな本尊に参拝。

本堂を出て、盤古の像を見上げてみた。斧とノミは天地開闢を表しているという。

偶然、後ろを振り返ったために気付いた寺院だったが、この神様の姿を見られたのはよかった。普天宮の関羽像を見る際は、帰りにここに立ち寄って盤古像を見るのもおすすめ。


この後、いったん新竹駅近くのホテルに戻って休憩。外出して城隍廟夜市へ行ってきたが、それは次のページで。