国内旅行編(和歌山 / 歓喜神社、淡島神社)

青春18きっぷを使った各駅停車の旅。今回は、前年の夏に予定していたものの結局行けなかった和歌山県を訪れることにした。訪れたのは白浜町にある「歓喜神社」と和歌山市内にある「淡島神社」。どちらも珍しいスポットを訪ね歩く人たちにとってはおなじみの場所。


早朝5時55分に佐世保駅を出発し、各駅停車と快速を乗り継いで小倉へ。ここから下関方面へ向かうわけだが、ここでアクシデントが発生した。この日の早朝に下関駅で火災があり、門司~下関間が不通になっている。門司港駅から下関駅へ代行バスが出ているということなので、いったん門司港駅へ行くことにした。(なお、後でこの火災は放火によるものだったことを知った)

門司港駅前から満員の代行バスに乗り、関門トンネルを通って下関駅へ。しかしここで新たなアクシデントが発生した。山陽本線の下関~小月駅間も不通になっていて、代行バスでの運行になっている。このことはJR九州管内の小倉駅や門司港駅ではまったくアナウンスされていなかった。(単に「門司~下関間が不通のため、下関へは門司港駅から代行バスをご利用ください」とだけアナウンスされていた)

下関から先は別会社のJR西日本になるため、JR九州としては関知しないということなのかもしれないが、だからといってこんな重要な情報を利用客に知らせないのはおかしい。下関から先は当然運行されていると思っていただけに、先の予定がかなり狂ってしまった。

とりあえず下関駅前から小月行きの代行バスに乗ったものの、当然ながら列車よりかなり時間がかかる。時間に余裕のある旅ならいいが、今回はまったく余裕がなく、宿泊予定の和歌山県紀伊田辺には最終列車での到着になる。仕方がないので、新下関駅で下りて新岩国まで新幹線で移動することにした。さすがに新幹線だとあっという間に新岩国に到着。

新岩国からバスに乗り、今回の旅行の3年前に訪れた錦帯橋を経由して岩国駅へ。ここで予定していた列車に追いつき、その後は三原~相生~大阪~和歌山~御坊と乗り継いで、佐世保から約18時間、日付が変わった深夜0時10分に紀伊田辺駅に到着した。

歓喜神社(白浜美術館)

翌日の朝、紀伊田辺駅前からバスに乗って白浜方面へ。ちょうどいい時間に紀伊田辺~白浜の列車がなく、行きは路線バスを利用した。白浜駅前を通り過ぎ、紀伊田辺から30分ほどで白浜桟橋バス停に到着。

ここから10分ほど歩いたところに歓喜神社がある。境内には「白浜美術館」という建物があり、ガイドブック等にはこちらのほうが大きく載っている。料金の500円を払い、まずは白浜美術館へ。

美術館に展示してあるのは「男神女神結合像」、「官能の女神像」、「密教の歓喜像」等々。これでわかったと思うが、つまりここは「性信仰の神社」になる。まあ、私が好んで訪れるのはいつもこういう場所なので、これを読んでいる人も大体予想がついていたのではないかと思う。

館内はそれほど広くはなかったが、世界中から集めたらしいたくさんの展示品が並んでいて、実に見事なものだった。これで入場料の500円は安い。写真撮影禁止だったためここで紹介はできないので、興味のある人は直接訪れて欲しい。

美術館を出ると、御神体を祀ってある社がある。かなり小さな社だが、ここが歓喜神社の本殿になる。

下の写真が御神体。

ここに祀られているのは約1300年前のものという男女陰陽のレリーフ。上の写真が女陰のレリーフで、その横に男性版がある(こちらはちょっとわかりにくい)。この岩は、社殿という形式が完成する以前の「祭祀礼拝所」だそうで、このような形式はかなり貴重なものだという。

本殿の先はちょっとした庭園風になっていて、東屋のような建物がある。この建物の中も男根の木彫りでいっぱい。

最後に、小さな土産物店がある。その土産物店の手前にあるのがこれ。

なかなか見事なもの。説明書きには「おさすりして夫婦円満を祈願してください」「男の方は女性の方を、女の方は男性の方をおさすりください」などと書かれている。私も女性の方をさすってきた。

下の写真は女性版のアップ。

土産物店では、絵葉書、キーホルダー、「歓喜仏と密教秘宝」というパンフレット、「エロ替え歌集」という小冊子などを買ってみた。この替え歌集には実に150曲ほどの替え歌が収録されているので、宴会芸などには需要があるだろう。

それから、以前淡路島のナゾのパラダイスで買った「引っ張るとチンチンが立つキーホルダー」をここでも見たが、これはこの種のスポットでは必ずといっていいほど売られているものらしい。製造元はいったいどこなのだろう。

これで神社内を一通り見たので、歓喜神社を後にすることにした。ここは、いつかまた再訪したい。

その後、バスで白浜駅へ行き、各駅停車で御坊へ。ここで乗り換えて次の目的地の和歌山市へ向かった。

淡島神社

和歌山駅から紀勢本線で和歌山市駅へ行き、ここで南海加太線に乗り換えて加太駅へ。ここから20分ほど歩いたところに淡島神社がある。人形供養で有名な神社で、ときどきTVでも紹介されるので知っている人も多いと思う。さすがに有名な神社だけあって、参拝者はかなり多かった。

本殿内や境内には大量の人形が置かれている。TVや写真では見たことがあったが、実際に見ると迫力がある。本殿内だけでなく縁の下や地面にも置かれていて、しかも人形の種類ごとに整然と並べられているのがすごい。このような光景を見ることができるのは、おそらく日本ではここだけだろう。

上の写真の他にも、博多人形、金太郎人形、風神雷神、各種干支の置物、大小さまざまの達磨、さらには北海道土産の熊の木彫りなど、本殿周辺は足の踏み場もないくらい。海岸沿いにあるためか境内はかなり風が強く(私はハードコンタクトレンズを使用しているため)ときどき目を開けていられないような状態になりながら30分ほど散策してみた。

本殿の脇に絵馬堂があった。正面に絵馬がたくさん掛けてあって、見た目は特にどうということのない建物。(旅行当時は絵馬堂だと思ったが、淡島神社公式サイトによると、ここは「末社」という建物だった)

しかし、格子の隙間から中を覗いてみて驚いた。なんと、こんなものが安置されていた。

ここは人形供養の神社であって性信仰とは関係ないと思っていたが、やはりこういった性信仰は普遍的に見られるものらしい。

それにしても、木彫りの男根はあちこちの神社で見かけるが、女性の腰の部分の像は珍しい。こういうものを見たのは初めてで、ちょっと衝撃的だった。

では、最後に本殿に並んでいた人形のアップを。

撮影したときはそれほどでもなかったが、写真を見てみるとちょっと怖い。夜中に一人で散策したりしたら、さぞかし緊張するのではないだろうか。


和歌山駅へ戻り、紀州路快速、新快速、各駅停車と乗り継いで岡山へ。この日は岡山で1泊し、翌日、各駅停車を乗り継いで佐世保へ帰った。

途中、下関で乗り継ぎ時間があったので、いったん駅の外へ出て火事の跡を見ることにした。下の写真が駅前の歩道橋の上から撮った火災跡。

かなり派手な火災だったらしい。報道によると、逮捕された74歳の容疑者の動機は「空腹でむしゃくしゃしていた」だそうである。まったく、新幹線代を請求したい気分だ。

10年後の2016年9月、この放火事件のことを取り上げた記事をネット上で見かけたので、久しぶりに当時のことを思い出した。事件から10年経って84歳になった元受刑囚は、記事を読む限りでは更生しているらしい。Wikipedia にも 下関駅放火事件 というページがあったので、興味のある人はこちらへ。

(2006.1.7~9)

淡島神社再訪

2015年8月に和歌山県へ行った際、9年半ぶりに淡島神社を再訪してきた。すでに夕方だったのであまり歩き回る時間はなく写真を撮っただけだったが、神社の雰囲気はまったく変わっていなかった。

たくさんの人形も健在。もちろん、9年前と同じ人形ではないはず。

こういうのを本当の「ひな壇」と言うんでしょうね。

正面に立つと、いっせいに見つめられているような気持ちになる。

本殿のまわりにも人形がたくさん。種類ごとにきれいに分類されているのが見事。

もちろん、絵馬がたくさん掛かっている末社も覗いてみた。

前回来たときに驚かされた下半身の像も健在だった。そして周りには木彫りの男根がいっぱい。

ここは人形供養の神社のはずだが、どうしてこうなったんだろう。ここに男根が集まることになった経緯を聞いてみたい。

こちらは人形の焼却場。自宅で燃やしたりゴミに出したりすると、いつの間にか家の中に戻ってきていたなんてことが起きそうだが、ここなら安心して燃やしてもらえる。何度も家に戻ってきてしまう人形に困っている人は、ここに持ってくるといいだろう。

では、最後に人形のアップを。

これで淡島神社を後にしたが、こういう景色は他では見られないので、いつかまた来たいと思っている。

(2015.8.16)