国内旅行編(徳島 / 正観寺再々訪)

徳島県南部の牟岐町に正観寺という寺がある。この正観寺は、電動アトラクションによる日本一の地獄風景が見られることからB級スポットマニアの間では超有名な寺となっている。

なんとものどかな風景の中に突如としてリアルな地獄風景が現れるという変わった寺で、2002年と2004年の2回、ここを訪れたことがある。実によくできた地獄風景に感動したのを憶えているが、その後、地獄風景の一部がミニチュアに改装されたという話を聞いていた。いつか再訪したいと考えていて、3連休を利用して徳島へ行ってみることにした。


昼ごろ佐世保を出発し、特急列車と新幹線を乗り継いで徳島へ。以前だったら「青春18きっぷを使って、各駅停車を乗り継いで…」と考えるところだが、最近は快適さを金で買うようになってきた。佐世保~牟岐は特急料金を含めて往復で約3万円。

徳島市内で1泊し、翌日の朝、特急むろと1号で牟岐へ。ここでも特急列車を利用してしまうあたり、自分でも考え方が変わってきたことを感じてしまう。さすがに年齢的なものか。

11時ごろ牟岐駅に到着。約8年ぶりなので、駅舎を見るとなんだか懐かしい。

ここから歩いて正観寺へ向かう。駅の近くに「300m」という案内板があるが、信用してはいけない。駅からは1キロ近くある。

のどかな田園風景の中を歩いていると、なんだか気分がいい。やがて正観寺の門の前に到着した。周囲の様子は以前と変わっておらず、久しぶりに見ると懐かしい。

寺院内は八大地獄の他にもいろいろと建物があって楽しめるので、地獄風景を見る前に寺院内を一通り回ってみることにした。まずは本堂に参拝。

続いて光明精舎に参拝。見ての通り、本堂よりこちらのほうが立派。

近くに作られていた龍の手水所。かなり手が込んでいて、金がかかっているのが分かる。

石段の上にある天照殿。ここからは寺院内が一望できる。

寺院内で特に目立っているのが、この空堂。しかしこんな形の仏塔は他に見たことがない。実に斬新なデザイン。

空堂は中に入ることができる。螺旋階段を上がって最上階に行くと、壁にこういう絵が描かれていた。

こちらは水子供養塔。池の上に浮かぶ蓮の花をイメージしているらしい。

水子供養塔だけあって、池の中にはこういう子供の像も作られている。

どうでもいいが、後ろから見ると支柱がまるで尻に刺さっているように見える。

では、いよいよ八大地獄へ。前回来たときと比べて、看板が少し色あせていた。

いやあ、懐かしい。八大地獄の入口は以前と変わっていない。今回も受付に誰もいなかったので、インターフォンで連絡して僧の方に来てもらうことになった。

しかしながら、ここで予想もしなかった注意書きを発見。

写真およびビデオ撮影禁止!

何と、前回来たときは問題なかった写真撮影が禁止になっていた。地獄風景の一部がミニチュアに改装された後も、内部の写真を撮って紹介しているサイトはいくつかあるので、どうやら禁止されたのは最近のことらしい。どうして禁止する必要があるのか、理由はよく分からないが、もしかしたら何かトラブルがあったのかもしれない。

僧の方にシャッターを開けてもらい、料金の400円(これは安い)を払って中に入った、ただし、上述の理由により今回は地獄風景の写真はない。閻魔大王と脱衣婆から始まり、等活、黒縄、衆合、叫喚、大叫喚、焦熱、大焦熱、阿鼻と続く地獄風景は本当に素晴らしいだけに、写真と動画で紹介できないのが残念。

これだけ電動ギミックがたくさんあればメンテナンスも大変だと思うが、故障がまったく見られないのは本当にすごいと思う。前回来たときに感動した「体がダルメシアンで顔が人間になっている怪物」も健在だった。

ただ、後半がミニチュアになり、ガラス越しに覗くようになってしまったのは残念。やはり迫力がなくなってしまったと思う。地獄風景の写真を見たい人は、下でリンクしている正観寺公式サイトを参照してほしい。

地獄を出ると、仏像と絵が飾ってあるだけの極楽風景がある。

ここで、歩いてきた地獄のほうを撮ってみた。この中を紹介できないのが本当に残念。

というわけで写真は撮れなかったが、しかし地獄風景に関してはやはりこの寺が日本一だと思う。他に電動仕掛けのリアルな地獄風景が見られる場所は、福岡県久留米市の成田山久留米分院、台湾の麻豆代天府と南天宮、タイのワットプートウドム、ベトナムのスイティエンパークなど、世界でも数えるほどしかない。非常に貴重な場所なので、ぜひ多くの人に見てほしい。

正観寺の地獄風景が撮影禁止になった理由については、五十嵐麻理さんのサイトで原因を知ることができた。以下のページで説明されている。

私としては、原因となった「ネットの記事」が当サイトの2004年の訪問記でないことを願うばかり。


正観寺を一通り見た後、牟岐駅のほうへ戻る。徳島行きの列車までまだ時間があったので、周辺を歩いたところ牟岐川を鴨がたくさん泳いでいた。

しかし、こんなのどかな町に日本一の地獄風景があるのだから、日本というのは不思議な国だと思う。もっとも、麻豆代天府やワットプートウドムものどかな町にあるし、何も地獄風景が都会にないといけないという決まりもないのだが。

今後も、世界のどこかにまだ知られていない地獄風景があり、そこを発見して訪れる日が来ることを願っている。


徳島に戻り、続いて眉山(びざん)へ行ってみた。徳島市街を見下ろすことのできる高さ290メートルの山で、ロープウェイで登ることができる。展望台や小さな神社などがあるが、今回の目的はこの「パゴダ平和記念塔」。

結構本格的なパゴダだが、行ってみたら何と休館中で、中に入ることはできなかった。仕方がないので窓から館内を撮ってみた。

展望台から見下ろした徳島市街の風景。遠くに鳴門海峡大橋も見ることができた。

展望台に「眉華鏡(まゆげきょう)」という名前の巨大万華鏡があった。

下から見上げると、きれいな模様が動いているのが見える。こういうものは初めて見たが、アイディアとしては面白い。

もっとも、場所を取るわりに同時には1人しか見ることができないという、なんとも非効率な装置だが。


翌日の朝、出発する前に眉山ロープウェイ乗り場の近くにある徳島天神社へ行ってみた。

境内には「菅原道真公像」「知恵の牛」「ラジオ体操の像」などがあるが、ここでの目的は姫宮神社の絵馬。

最近、神社へ行くと面白い絵馬を探すのが定番の作業になっている。ここは絵馬自体がそれほど多くはないので、すごく笑えるような絵馬はなかったが、ちょっと面白いと思ったものを下に載せておく。

まあ、滅亡はしないでしょう。

「夜桜」は声優としての名前?

定番だが、遠くにいる2人が一緒に願っているところが面白い。

ということは後輩になるのですね。

「やり逃げられる人」かと思った。

昼ごろ徳島を出発し、来たときと同様に新幹線と特急を乗り継いで佐世保へ戻った。慌しい旅行だったが、しかし楽しかった。いつになるかわからないが、また正観寺の地獄風景を見に行きたい。

(2012.1.7~9)


2004年の正観寺訪問記はこちら。このページには地獄内の写真を載せている。