ネパール旅行記(ダンプス~サランコット)

トレッキング2日目。ダンプス村からフェワ湖を見下ろすサランコットまで移動することになる。サランコットはポカラ近郊の景勝地だが、10年前のネパール旅行では訪れなかったので今回が初訪問。こちらも楽しみ。


ヒマラヤの日の出を見るため、朝5時に起床。部屋の外に出ると、空が少しだけ明るくなっている。

少し寒い中、眺め続けていると次第に日の出が近づいてきた。

この日の日の出は5時50分。山の稜線から太陽が姿を現した。10年ぶりに見るダンプスでの夜明け。

しかし日の出って神々しいものですねえ。しかも背景に見えるのがヒマラヤの山々なので、特に感動的な眺め。

ヒマラヤの日の出に感動し、続いてダンプスの村を歩いているうちにすっかり明るくなった。遠くに雪に覆われた高峰が見える。

ロッジに戻り、朝7時に朝食。この日のスケジュールをガイドと打ち合わせてから、7時半に出発した。雰囲気のいい村だったダンプスを離れ、トレッキング開始。このダンプスには、いつかまたトレッキングで来てみたい。

サランコットまでの所要時間は4~5時間ほどの予定。トレッキング前半は下り勾配が続き、道も歩きやすい。

なぜ下り勾配が続くのかというと、この日の目的地サランコットが隣の尾根にあるため。つまり、いったん谷底まで下りてからは上り勾配が続くことになり、トレッキング後半は大変そう。

ところどころに現れる人家や畑の景色を眺めながら、ゆっくりと斜面を下りていく。

ニワトリが放し飼いになっているところを薪を背負ったお婆さんが歩いているという、まるで昔話に出てきそうな風景。

この木は集落のシンボル的な存在なんだろうか。

畑で放牧されている牛と、それをのんびりと眺めている牛飼い。

さらに道を下っていくと、学校のグラウンドらしい広場が現れた。

この学校の入口にあったのが、以下の表示。まさかこういうところで “JAPAN” の文字を見るとは思わなかった。

Donated by Taizo and Tomoko Inoguchi, Irino Junior High School, Hamamatsu City JAPAN

帰国後に少し調べてみたところ、浜松市にある入野中学校の猪口夫妻が寄付を行って建てられた学校ということだった。子供たちの教育に貢献できているとしたら、ちょっと嬉しい。

学校を通り過ぎ、さらに景色を眺めながらトレッキング。この木も集落のシンボルなんだろうか。

横から見ると、段々畑は本当にきれい。それにしても、これを作り上げるのは相当な労力が必要だったはずで、それを考えると「きれいな景色だなあ」と思いながら歩くのが申し訳ない。

やがて、谷底を流れる川に近づいてきた。

ここで、衣類を満載したかごを頭に乗せて歩いてきた男性とすれ違った。これって、谷底の川で洗濯してきた衣類なんだろうか。そうだとしたら、かなりの重労働だと思う。

ダンプスを出発してから1時間45分で、川沿いのノーダラ(Naudanda)という集落に到着した。このノーダラは10年前のトレッキングでの出発地点で、つまり前回はここからダンプスまで登って行ったことになる。ノーダラで少し休憩し、続いてサランコットへ出発。

前述の通りサランコットは尾根の上にあるので、ここからは上り勾配が続くことになる。そして、この道が予想外の悪路だった。実はガイドもしばらく通っていなかった道らしく、入口がよくわからないらしい。あちこちを探し回ってから「ここのはず」といって登り始めたが、「本当にここなの?」と思うような草ぼうぼうの斜面を突っ切っていく。

ガイドが「ちょっと待っていて」と言って斜面の先を偵察に行った結果、どうやら間違いなかったようなので、こちらも急斜面を登る。

ここから先は、森の中をひたすら登っていく。写真からわかる通り、よく見ると獣道らしいものがあるといった程度。しかし、探検みたいな気分で楽しくなってきた。

途中、ガイドが「注意して」という感じで地面を指さしたので、見てみたらヒルがたくさんいた。ほぼ直立してうねうねと動いている眺めは、ちょっと気持ち悪い。

ヒルの写真は撮らなかったので、代わりに「動きはこんな感じだった」というのがわかるような動画を載せておく。これはヒルではなく、かわいいチンアナゴ。ダイビング中にチンアナゴがいる砂地を見つけると嬉しくなるんですよね。

なお、YouTube で「ヒル」を検索すると閲覧注意の動画ばかり出てくるので、気持ち悪いのが苦手な人はやめておくのがおすすめ。

斜面を登り続けて、谷底が遠くなってくるとヒルはいなくなった。川に近く湿気が多いところに多く生息している生き物だったらしい。しかし道は相変わらずワイルドで、よく見ると獣道があるという程度。

30分ほど登り続けると、獣道が少しずつはっきりしてきた。

そして、ようやく尾根の上に到着。谷底から1時間も歩いていないものの、ずっと上り勾配が続いたので疲れた。

少し歩くと、開けた集落に着いた。いったい、先ほどの獣道は何だったのかというほどの賑わいぶりで、実はノーダラからここまでは車でも来ることができる。つづら折りの車道をショートカットして直線状に登ってきたのが先ほどの獣道だったというわけ。

道路沿いのカフェでファンタを飲みながら少し休憩。ここで靴を脱いだところ、中にヒルが数匹いてびっくり。厚手の靴下を履いていたので血は吸われていなかったが、気を付けていたのにまさか靴の中に入り込んでいるとは思わなかった。

地面に落とし、カフェの人が慣れた感じで塩を持ってきて振りかけると、あっという間に動かなくなって見事に縮んでいった。話には聞いていたヒルの対処法を実際に見ることができ、ちょっと面白い体験だった。

カフェを出発し、サランコットまで尾根の上の道路を歩く。ここからはトレッキングというより完全にウォーキング。

畑に山羊がいたりして、道路沿いの景色ものどかで楽しい。

途中、選挙活動を行っている集団に遭遇した。ネパールでは数日後に選挙が行われることになっていて、カトマンドゥからポカラへ移動する途中でも選挙活動を何度も目撃している。このときに遭遇したのは、帰国後に調べたところ旗のデザインから「ネパール会議派」ということがわかった。

サランコットまで歩く途中、選挙のポスターがあちこちに貼られているのを見たが、どれも政党のマークが大きく印刷されていた。識字率が高くない国では、各政党がマークを決めて「このマークに投票してほしい」と呼びかけるのが一般的で、日本のように候補者の名前を書かせるのは「識字率がほぼ100%」というのが前提になっていることを実感する。

政党のマークはいろんな種類があって、鎌とハンマーは共産党ということがすぐにわかるが、他は「太陽」「樹木」「牛」などのデザインを見かけた。

平坦な道とはいえ、さすがに歩き疲れてきたころにフェワ湖が見えてきた。

ダンプスを出発してから4時間半、12時過ぎにサランコットに到着した。本格的なトレッキングをやっている人から見たら4時間半くらいは大したことはないのかもしれないが、それでもかなり疲れた。もう足がパンパン。

こちらが、サランコットで宿泊する VIEW TOP LODGE というホテル。

宿泊した505号室。かなり快適に滞在できた。

続いて、屋外で昼食。フライドライスとアップルラッシーを頼み、ガイドと一緒にフェワ湖とポカラの町並みを眺めながら食事を楽しんだ。景色がいいと料理もおいしく感じる。

昼食後、しばらく部屋で休み、午後2時に外出してサランコットの街中を自由に散策してみた。ダンプス滞在中と同様、ガイドは必要以上に世話を焼かず目的地に着いたら放っておいてくれるので、こちらとしては有難い。

ホテルの前にあるこちらの階段を上がっていくとビューポイントがあるようなので、行ってみることにした。

階段の途中からの眺め。足はパンパンだが、景色がいいので頑張って上ってみる。

階段を上りきったところに有料の展望所があり、50ルピーを払って中に入ってみた。ここからの景色はなかなかのもので、料金を払う価値は十分にあった。

いやあ、この景色はすごい。遠くに連なるヒマラヤの山々と、サランコットから続いている尾根、盆地にフェワ湖とポカラの町並みが一望できる。サランコットでは、この展望所には必ず入ってみてほしい。これで50ルピーは安いもの。

フェワ湖方面のアップ。翌日はポカラに戻ることになる。

しばらく景色を楽しんだ後、展望所を出てゆっくりと階段を下りることにした。翌日の朝、日の出を見るため再びここへ来ることにしている。

ホテルの前まで戻り、続いてホテルの横にあった小道を下りてみることにした。フェワ湖方面に関しては、先ほどの展望所よりもこちらの方が眺めがいいかも。

サランコットで体験できるアクティビティとしては、パラグライダーが有名。斜面に出発地点があって、観光客が次々と飛び立っている。ここからフェワ湖畔まで下りていくのが一般的なコースだそうで、今回はトレッキングのメニューの中に含まれていないため体験はしない。次回のネパール旅行ではやってみたいと思う。

ちなみにパラグライダーについては2019年7月(このネパール旅行の2年後)に北海道で体験してきた。当サイト別館に記事を載せているので、興味があればこちらもどうぞ。

パラグライダーを眺めた後、ゆっくりホテルの方へ戻る。途中、白と黒の模様がかわいい犬がいたので写真を撮ってみた。

その後しばらく、この犬が後ろをついてきた。犬は好きなので、ちょっと嬉しい。

こちらはフェワ湖をバックにした黒い山羊。

やがて犬は別の観光客の方へ行ってしまい、午後3時過ぎにこちらもホテルに戻った。部屋から外を眺めると、遠くで雨が降っているらしく虹も見える。

休憩してから再び外出しようかとも思ったが、さすがに疲れてきて足が痛い。そのまま夕食まで部屋で休憩することにした。

夕方6時半に夕食。メニューはチキンカレーとトマトスープ。味はもちろんうまい。

夕食後は部屋でのんびり。暗くなってから外を見るとポカラの夜景がきれいだったので写真を撮ってみた。夜景だけ見ると、手前に海が広がっていてポカラが海に面した町のように錯覚しそう。

トレッキングで疲れたのと、翌日も早朝に起きてヒマラヤの日の出を眺めたかったので、この日は10時前に就寝。