タイ旅行記(3日目)

(2000.7.21) Lopburi ~ Bangkok

朝8時頃に起床。昨日買っておいたランブータンとマンゴスティンを食べてから、ロッブリーシティホテルを後にした。

最初に、近くにあった「国立博物館」へ。門を入ったところで入場料を払い、しばらく散策。

国立博物館

ガイドブックによれば、ここはもともと1677年に「ナライ・ラーチャニウェート宮殿」として建てられたもので、現在は国立博物館として一般公開されているという。城壁に囲まれた広い敷地内に建物が散在し、散策には最適。凝った建築様式や、修復されずに残っている廃墟を眺めながら散策するのは面白かった(建物のいくつかは内部が展示室になっている)。早朝ということもあり、見学に来たらしい女子中学生の団体とときどきすれ違った他は、ほとんど人に会うことはなかった。

約1時間後、帰ろうとすると下の写真のような象の植え込みに気づいた。なかなか良くできている。

象の植え込み(国立博物館)

国立博物館を出て、いったん近くの銀行へ行き、5,000円をバーツに両替。このとき、窓口の若い女性に「しばらくお待ちください」と日本語で(少し恥ずかしそうに)話しかけられたのが今でも印象に残っている。

10時頃、バンコクへ帰るためにロッブリーのバスターミナルへ向かうことにした。(なぜ帰りはバスにしたかというと、鉄道とバスの両方に乗ってみたかったため)

バスターミナルは新市街にあり、ガイドブックの地図の範囲外のため場所がわからない。そこで、シティホテル前の踏切付近に多く集まっていた「サムロー」に乗ることにした。これはバンコク市内でよく見かけるトゥクトゥクの自転車版で、人力車のような客席を自転車で引張るというもの。もうおじいさんと言っていいくらいの年配の男性が、こんなに重いものを引きながら、変速機もない古い自転車で走っている。バスターミナルまでは結構な距離があり「きついだろうなあ」と恐縮しながら乗っていた。

サムローで移動中

バスターミナルに着くと、ちょうどバンコク行きのバスが発車するところだったので急いで乗り込んだ。バスは大型で座席間がゆったりとしており、そこは快適なのだが、エアコンが効きすぎていてかなり寒い。さらに、ロッブリーの町を出ると車掌がすべてのカーテンを閉めさせたので景色を見ることができなくなった。続いて前方のモニターで映画が始まったので、映画が良く見えるようにカーテンを閉めたらしい。映画は007シリーズで、タイ語を喋るピアーズ・ブロズナンもいいのだが、私としては景色を見るほうがよかった。

途中、ミネラルウォーターの無料サービスがあり、ロッブリーから約4時間でバンコクの北バスターミナルに到着した。

まず、ターミナル内のフードコートで昼食。このとき食べた御飯と麺類は、とにかく辛かった。


続いてバンコク市街へ向かう。この北ターミナルはバンコク中心部からはかなり外れたところにあり、市街中心部へは路線バスもあるのかもしれないが、あまり遅くなると死体博物館が閉まってしまうかもしれない。そのため、ここはタクシーを使うことにした。

死体博物館はバンコク中心部から見てチャオプラヤ川の対岸にある「シリラート病院」の中にある。この病院の近くには「トンブリー駅」(別名「バンコクノーイ駅」)があり、こちらのほうがわかりやすいと思ったため、ターミナルの前に並んでいたタクシーの助手席ドアを開けて “Thonburi Station” と告げ(昨日のことがあったので)後部座席に乗り込んだ。

ところが、走り出したのはいいが運転手は行き先がよくわかっていなかったらしい。急に近くのホテルに入って行き、正面玄関前に横付けされてしまった。最初は行き先が間違って伝わったのかと思ったが、そうではなく、行き先がよく聞き取れなかったのでボーイに聞いてもらおうと思ったようだった。そこでボーイに “Thonburi Station” と告げ、ボーイがタイ語で運転手に説明してから、ようやく行き先が通じたらしくバンコク市街へ向かって走り出した。

タクシーは快調に走り続け、やがてトンブリー駅に到着。料金は80バーツほどだったと思う。トンブリー駅はタイ南部へ向かう列車の一部が発着するターミナル駅だが、ファランポーン駅よりもずっと小さく、閑散としていた。

トンブリー駅から、すぐ近くにあるシリラート病院へ。かなり大きな総合病院で、病棟がいくつもあり、歩いていると道に迷うほど。”Museum” や日本語の「博物館」という表示を頼りに、ようやく法医学博物館を見つけることができた。

法医学博物館でもらったパンフレットにより、シリラート病院内に「法医学博物館」「解剖学博物館」「寄生虫博物館」などが散在していることがわかった。ひととおり見学してきたので、興味のある人は下の写真をクリックしてほしい。

死体博物館(興味のある人はクリック)

シリラート病院を後にして、チャオプラヤ川の船着場の方へ向かう。ここは狭い通りに食べ物の露店がたくさん並んでいて、中学生や高校生くらいの少年少女が大勢歩いていた。いわば「買い食いロード」といったところ。

彼らに混じってバナナ入りクレープやパイナップルを食べ歩き、船着場に到着した。渡し舟に乗る前に、船着場前の寺院「ワット・ラカン」に入ってみた。そんなに大きな寺院ではなく、チャオプラヤ川の対岸ということもあって観光客はまったく見かけない。そのかわり、熱心な信者らしい人が多く参拝している。なかなか厳粛でいい雰囲気の場所だった。

船着場へ戻り、渡し舟が到着するのを待っていると、近くで泳いでいる少年がいた。泳いでいるというよりも底に沈んでいる何かを探しているという様子だったが、この川に平気で潜ることができるのはすごいと思った。チャオプラヤ川の水は、ほとんど下水。

やがて渡し舟が到着し、チャオプラヤ川の対岸へ向かう。来た方向を振り返って写真をとってみた。

チャオプラヤ川

渡し舟が着いたところは、ちょうど王宮の裏側。渡し舟の運賃は2バーツだった。

ここから、今日泊まるホテルへ向かう。とりあえずファランポーン駅へ行き、そこからはタクシーを使うことにした。王宮前からファランポーン駅へは1番のバスに乗ればいいということは前日に調べておいたので、しばらくしてやってきた1番のバスに乗り込んだ。乗り込むとすぐに車掌が運賃を回収に来たが、市内のバス料金は一律3.5バーツ。約10円とは、バンコクの物価を考えても安い。昨日はゆっくりと見ていられなかったチャイナタウンを通り、ファランポーン駅が見えたところで下車。

ファランポーン駅に着いたのが午後6時前。ここでドンムアンへ行く早朝の列車の時刻を調べているうちに、午後6時になった。

この時刻にこういうことが起きるとはまったく知らなかったので、さすがに驚いた。荘厳な感じで音楽が始まり(おそらく国歌だと思う)、駅構内はそれまでと一転して厳粛な雰囲気となった。ベンチに座っていた人は全員起立し、微動もせずに音楽を聞いている。このとき動いているのは外国人だけ。そして数分間の音楽が終わると、厳粛な雰囲気は消え、再び元の雑然とした駅構内に戻った。

タイでは王室が極端なくらいに尊敬されているそうなので、このときも人々はタイ国家に対してというよりもプミポン国王に対して敬意を表したのだろう。私が高校生のころ、タイが植民地にならずに独立を通したのはイギリスとフランスの植民地政策により「緩衝国」として独立させられていたためと習ったのだが、実際には当時の国王の政治手腕によるところが大きかったと後に聞いたことがある。日本と違い、他国と国境を接しながら独立を通したのだから、たしかに相当な政治能力を持っていたのだろう。もっとも、後継者が同じように有能とは限らないところが世襲制の問題点だと思うが。

下の写真は、その直前のファランポーン駅。よく見えないかもしれないが、電光掲示板に “17 : 59” と表示されている。

ファランポーン駅(バンコク中央駅)

結局、早朝の始発列車でも飛行機には間に合わないことがわかったので、翌日はタクシーで空港へ行くことにした。その後、駅構内に停まっている列車をしばらく見てから、激しい夕立が降っていたためタクシーでホテルへ。

途中、大通りを走っているときに面白いことがあった。その大通りは時間帯によって中央線の位置が変わるようになっていて、通行できる車線かどうかを示す「〇」や「✕」の表示が道路上に出ているのだが、タクシーが走っている車線のひとつ隣がガラガラ。その車線には「〇」の表示が出ているので「こっちを走ればいいのに」などと思っていると、なんと数台の車がその車線を逆走してきた。

つまり道路上の表示が間違っていたわけで、一歩間違えれば正面衝突事故が起きそうな危険な状況といえる。その後、先のほうでUターンして再びその大通りを通ったのだが、今度はずっと「✕」のところを走ることになった。地元の人は慣れているらしくタクシーの運転手も余裕の表情だったが、私はかなりひやひやした。

ホテルは “THE RESIDENCE” という星4つのホテルで、さすがに設備はなかなかいい。しばらくTVを見ながら休憩し、雨がやんだころ、歩いて「サイアムスクエア」へ行ってみた。

サイアムスクエアはおそらくバンコク最大のショッピング街で、大型デパートが立ち並んでいるエリア。今回は乗る機会がなかったが「スカイトレイン」という高架の新交通システムも通っている。駅近くにあるスターバックスコーヒー前の階段には大型のTVモニターが設置してあることもあり(もう暗くなっているというのに)制服姿の大勢の女子高校生たちがたむろしていた。

この後、サイアムスクエアに立ち並んでいる「サイアムセンター」や「タイ東急」などを2時間ほど歩き回ってみたが、歩いているうちに現在位置がすっかりわからなくなるほど、とにかく規模が大きい。失礼ながら、バンコクにこんなに大きなデパートが立ち並んでいる一帯があるとは想像していなかった。途上国だと思って甘く見てはいけない。途中、どこかのフードコートで食事。

各店舗が店じまいをはじめたころ、CD店を見つけたので入ってみた。CDやカセットテープをしばらく見てから、とある女性シンガーのCDを買ってみた(価格は260バーツで、物価を考えたら高価なもの)。内容は軽いポップスだったのだが、タイ語の表記しかないので、なんという名前の人か未だにわからない。おそらく “KAN-NI-KA ZINE” という名前だと思うのだが、わかる人がいたらご教示ください。こちらがジャケット。

その後、歩いてホテルへ。部屋に戻ると、テーブルの上に置いていた缶コーヒーの空き缶に蟻が行列を作っていた。このクラスのホテルでも、こういうものは洗ってから捨てたほうがいいようだ。

その後しばらくTVを見てから、シャワーを浴びて就寝。


(2021年1月追記)

新サイトへの移転作業を行っている際に “KAN-NI-KA ZINE” で検索してみたところ、オフィシャル動画を見つけることができた。この5年後の旅行記に載せているので、そちらで見てほしい。なかなかかわいい子だった。