【有名スポットの「不思議博物館」を初訪問】

福岡県にあるB級スポットといえば、おそらく一番有名なのは那珂川市にある「不思議博物館」でしょう。この博物館のことはもちろん知っていましたが、なぜか今まで訪れる機会がありませんでした。場所はここ。

不思議博物館は月に1日だけのオープンで、別の用事で福岡へ行く予定の日、思い立って調べてみたら偶然にも開館の日。ちょうど時間もあるし、今さらながらの初訪問を果たしてみました。


福岡市内での用事を終え、博多駅から博多南線に乗車。博多南線は山陽新幹線の車両基地までの区間を活用した路線で、新幹線の車両が通っています。この路線に乗るのも、実は初めて。

博多駅からレールスターで8分、終点の博多南駅に到着。

広大な引き込み線にいろんな新幹線の車両が留置されているので、マニアにはたまらない駅かも。

続いて、駅前のバス乗り場から那珂川市のコミュニティバスで移動。不思議博物館の最寄りバス停は「上別所」というところで、博多南駅からの直通はなく「山田西」というところで乗り継ぐ必要があります。

博多南駅から山田西まではマイクロバスでしたが、ここで乗り換えるのはこちらのハイエース。

なお、最初のバスで料金を払う際に乗継ぎ券をもらっておけば、次のバスは無料になります。

目的地の上別所バス停は、広い田んぼの横にありました。このポツンという感じがいいですね。田んぼの向こうには墓地も見えます。

ここから歩いて不思議博物館へ。10分ほどで到着。

月1回だけのオープンなのに、内容が面白いということで有名スポットになっています。この日は2024年2月11日。

坂道を上がって建物へ。

入口にはバス停が作られています。

バス停の案内書きには、以下のように書かれていました。

「不思議博物館」は2008年4月に開館しました。
館内には私の立体作品が収蔵、展示されています。また、そればかりでなく、数々の「私の好きなモノ」コレクションも充実しています。
そしてここには、マスコットキャラクターであり案内役である「不思議子ちゃん」が住んでいます。彼女は夢と現実のはざまに住んでいるような、とらえどころのない、だけどいつもあなたのそばにいる…そんな不思議な存在の、すてきな女の子です。
「不思議博物館」は、空想好きで、ものづくりを生業とする私が、長年想い描き続けた理想の博物館です。

館長 角孝政

つまり、ここは一人の夢想家が作り上げたパラダイスであり、規模は違うものの江戸川乱歩のパノラマ島にも通じる場所。そして、どちらもなくなってしまいましたが、淡路島ナゾのパラダイスや神秘珍々ニコニコ園の系譜に連なる正統派B級スポットというわけです(当サイトではB級スポットという呼び方は賛辞)。

バス停の先の階段を上がっていくと、不思議博物館の建物がありました。

では、ドアを開けて館内へ。まず目に入ってくるのが巨大なクマムシ。

クマムシの上に乗っているのが、わかる人にはわかるはずの「ころぺた号」。

ころぺた号とは、漫画家「ねこぢる」の作品「ねこぢるうどん」に登場する神様(?)のこと。仏様みたいな顔からは想像できないくらい無慈悲な行動を繰り返すのが特徴で、呼び出した人物の「神罰とは本来そういうものであろう」という説明に妙に納得してしまいます。

しばらく館内を見学。ねこぢるグッズが目立っています。

天井にあるのは唐辛子飛行機?

棚の中に並んでいるのは「にゃーこ」と「にゃっ太」。

これらの書籍は自分も持っています。旅行好きとしては「ぢるぢる旅行記」が面白いのですが、夫である山野一の「四丁目の夕日」も物語が悪いほうへ悪いほうへと進む救いのない展開が好き。

他に「どぶさらい劇場」のグロさも好きなんですが、「鬼畜系」と呼ばれる山野一の作品は人によっては精神崩壊しそうなほど癖が強いので、あまりおすすめはしません。耐性のある人だけどうぞ。

しかし、調べてみたら「夢の島で逢いましょう」「貧困魔境伝ヒヤパカ」「混沌大陸パンゲア」「どぶさらい劇場」などは軒並み絶版で入手困難になっているのが驚き。今持っている本を大事にしないといけない。

山野一の話はここまでにして、このテーブルのモチーフはウミサソリでしょうかね。

クモが嫌いな人間にとっては近くに置いておきたくないオブジェ。

梯子を上がった2階にも展示スペースがあります。

目立っていたのは「不思議子ちゃん」の等身大の人形。

正面から見つめてみました。

モチーフは「不思議の国のアリス」ですね。有名な文学作品のキャラクターがいてびっくり。

と思ったら現場猫もいました。この脈絡のなさが好き。

2階のスペースから見下ろした風景がこちら。

クマムシの全体像が見渡せます。

こちらはころぺた号の全体像。

ころぺた号の顔のアップ。本当に、ころぺた号の行動は容赦がないんですよね。穏やかそうな顔からは想像できないくらい、無慈悲そのもの。

梯子を下り、カフェで何か注文しようとしたら「庭はご覧になりましたか?」と言われたので行ってみることにしました。

建物を出て階段を下り、館長さんの作業スペースを横切って庭へ。なお、不思議博物館のトイレは作業スペースの中にあります。

庭に出ると、いろんなオブジェが点在。

目立っているのは恐竜。しかし尻尾を地面に着けて直立しているところが古いスタイルですね。

恐竜を背後から眺めた風景。

この人形の正体は不明。首から下げている名札には何も書かれていませんでした。

「宇宙人東京に現わる」のパイラ人かと思ったんですが、やはり違うみたい。

日野日出志の作品を想起させる軟体キャラクターもいました。

庭の散策を終えて、不思議博物館の館内へ。クマムシの正面のテーブルに座り、カフェで軽食。この不思議博物館は入場は無料ですが、カフェで何か注文するのがマナー。

注文したのは「クマムシパフェ」とコーヒーのセット(1,200円)。

パフェに乗っているクマムシのアップ。材料はチョコレートで、フルーツや生クリームと一緒においしくいただきました。

コーヒーのカップは「根カップ」という名前だそうで、植物の根に支えられています。

この根カップですが、欲しいと思ったので「売り物ですか?」と聞いたら現在は販売していないとのこと。残念。

このカフェの接客を行っているのは、メイドの格好をした「不思議子ちゃん」。本人の写真撮影は禁止なので写真はありませんが、イメージ通りに可愛い人でした。不思議子ちゃんの代わりに、座っているテーブルからのクマムシの眺め。

見上げると、ころぺた号。

これで館内を一通り見たので、土産としてねこぢるのキャラクターが描かれたクリアファイル(300円)を買い、館長さんに挨拶してから外に出ました。

有名スポットなのに今回が初訪問でしたが、噂通りに面白い場所でした。やはり、こういう「夢想家が作り上げた自分だけのパラダイス」は居心地がいい。オープンが月1回なのでタイミングを合わせる必要がありますが、また来たいものです。


不思議博物館から歩いて上別所バス停へ。運行本数が少ないので、予め時刻を調べておく必要があります。

やってきたハイエースで山田西バス停へ。この路線は付近の集落を周回する一方通行ルートなので、来たときの山田西~上別所はすぐだったものの、帰りの上別所~山田西はいろんな場所を経由するため時間がかかります。それはそれで、車窓風景を楽しめるからいいものです。

山田西で別のバスに乗り換え、博多南駅へ。この那珂川市のコミュニティバスの運行時刻と路線図については「かわせみバス」で検索すれば見つかります。バスで不思議博物館を訪れるときは、事前に時刻を調べておくことが必須。

博多南から博多へ移動。片道330円で新幹線車両に乗れるので、この区間はお得。

博多駅に戻り、今回の旅行は終了。不思議博物館は公共交通機関では行きにくい場所と紹介されることも多いようですが、コミュニティバスの運行時刻に合わせて訪問すれば意外と容易に行けます。

このページを見て興味を持った人は、月1回だけのオープンにはなるものの、ぜひ訪問してほしいと思います。

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